クラン【農協】 そして・・・スウィーツパラダイス
スイマセン、勢いでやってしまいました。
2週間に渡る農場拡張工事も無事終わり、アッという間に一週間とちょっと。工事終了後も何かと農場に関わってくれる生産職プレイヤーが結構居残ってくれたので、いっその事この農場を一定の目的・思想を持って集まる団体=クランへとしてみないかと弟より打診が入った。全員の意見を聴き、反対がいないようなので了承の返事をし、クラン【農協】が誕生した。
まぁ、やっていることは以前と殆んど変わらないが、人が増えたので、相互の手伝いをしたり、手伝いされたりの幅が思いっきり拡がった。なんといっても、私が鍛冶のスキルを持っているからと、鍛冶工房で槌(と言っても向こう槌なんだが)を振るわされたりしている。
これの原因はアカツキさんで、耕運機無双の所為で農機具をガッツリ壊してしまうのだ。農機具は買うと結構するため、プレイヤーで〈鍛冶〉スキルを持っているサカキくんに相談したところ、作った方が安価で頑丈な農機具が出来るとの事なので、こうしてサカキくんの向かいで鎚を振っているわけだ。
暇ができたら、麺切り包丁でも打ってもらおうかな。
さて、改めてクラン【農協】に所属しているプレイヤーを紹介しよう。因みにメインスキルの後ろの()は、元になる〈スキル〉で換算したレベルを記載してある。そう、()が付いている人の〈スキル〉は最低一度はクラスチェンジしている〈スキル〉なのだ。
・グンジ :メインスキルは〈料理の鉄人〉レベル25(〈料理〉換算225)
・アカツキ :メインスキルは〈上級農夫〉レベル85(〈農業〉換算185)
・ササキ :メインスキルは〈大工の棟梁〉レベル58(〈大工〉換算158)
・オオガキ :メインスキルは〈飼育〉レベル80
ここまでが、今までのパーティーの面子になり、新しくクラン【農協】に加わった職人さん達が以下になる。
・サカキ :メインスキルは〈鍛冶〉レベル45
・ミソカツ :メインスキルは〈革職人〉レベル43
・マスラオ :メインスキルは〈木工職人〉レベル40
・ナミヘー :メインスキルは〈海の男〉レベル30(〈魚漁〉換算130)
・ナナセ :メインスキルは〈上級料理〉レベル2(〈料理〉換算102)
以上の方が職人として加わってくれたプレイヤーで、皆さん何らかの形で有名な方らしいのだ。因みにナナセさんは、【始まりの街】の広場で惣菜パンを販売していた方で。私的には再起の切欠と食事に対する感動を頂いた大恩人様だったので、お礼をさせていただいたのだが、料理の腕が大幅に上がったと逆に感謝されてしまった。
で、最後が職人系の〈スキル〉は低いが、クラン【農協】に参加したいと申し出た面々だ。まぁ、コウタロウくんのパーティーのメンバーが主だ。まぁ、農場の拡張工事の際に率先して動いてくれていた面子なので、やる気は十分。職人系〈スキル〉も修得済みとの事だから、それぞれが頑張ってくれれば良しとしておこう。
・シザンケツガ:メインスキルは〈大剣〉レベル25
・コウタロウ :メインスキルは〈長剣〉レベル52
・マサカツ :メインスキルは〈大盾〉レベル46
・エツジ :メインスキルは〈火魔法〉レベル30
・リンリン :メインスキルは〈斧〉レベル48
以上の総勢14名のプレイヤーに、【フードコート】のご主人・女将さん・従業員の女性4名を合せた合計20名が、クラン【農協】のメンバーとなった訳だ。
さて、【フードコート】はプレイヤーの方々以外に一般のNPCの方々も食事を摂りに来る訳だが、先日のとある事件の一件を見た・・・食べた?NPCさんが居たみたいで、これまたクチコミで話が広がり、店の前に人だかりが出来てしまった。
ログインして【フードコート】に行ってみたら何処かで見たことがある景色。思わず引き返そうとしたが、時すでに遅くNPCさん達に見つかり強制スウィーツパーティー(作る方)になってしまった。まぁ、女将さんや従業員さん達から、この《無限世界の住人》には砂糖が在るのに甘味の種類が少ないと聞いていたので、もしかしたらとは思っていたんだが・・・
どぉれ、張り切って作っちゃいますよ。っとその前に、【フードコート】の仮厨房で作業しているナナセさんを引っ張ってこようか。彼女(そう、ナナセさんは女性のプレイヤーなのです)にも手を借りましょう。
まずは前回同様、石窯に火を入れましょう。いつも私の頭に乗っている、ハクのブレスが便利ですね。
次も、お約束の小麦粉を篩いにかける作業です。今回は量が量なので、キロ単位でタップリと丁寧に行います。
先ずは、焼き菓子の代表作品であるクッキーから始めましょう。小麦粉にバターと砂糖をしっかりと練り込む。このまますぐ焼くとパサパサの食感になってしまうので、一旦冷暗所で寝かせましょう。他の作業が片付いたら、半分は生地を伸ばして型に抜き・・・では詰らないので、紐状に延ばした生地を四本作り、ツイストさせて適当な長さに切って焼き上げる。
残った半分は、タルトの台にする為、専用の型に入れたらサッサと焼いてしまおう。
その間に、卵多め・砂糖・小麦粉を混ぜ合わせ、鍋で温めながら牛乳でのばしていく。好みの固さになったら火から下ろし、冷ましておく。これがカスタードクリームで、焼いて冷ましたタルト生地にタップリ乗せ、さらにフレッシュな果物をコレでもかって位に詰め込んだら、薄く水飴をかけて色良く艶やかにコーティングする。
果物タップリなフレッシュタルトの完成です。
次はパウンドケーキの準備だ。小麦粉と同量の砂糖・バター・卵を混ぜ合わせるまでは一緒だが、ここからひと工夫。生地を入れる型ごとに、種類の違うドライフルーツ等を混ぜ入れる。モノによってはナッツも混ぜ込んで、食感を足したりもする。
自分の為にプレーンに焼いたパウンドケーキにアルコールを含ませ、ジャムやクリームでトッピングをしたなんちゃってサヴァラン風のパウンドケーキも作ってしまおう。
砂糖・小麦粉・卵・バターを合せた生地に、角が立つくらいにシッカリと泡立てした卵白を切るように素早く混ぜ込み、型に入れて焼き上げる。焼きあがったら、冷めるまでは自重で潰れる可能性が有るので、逆さまにしておくのが大事だ。これがプレーンのシフォンケーキ。
チーズケーキも同様に、小麦粉・砂糖・バター・クリームチーズを混ぜ合わせるが、半分は卵をそのままで混ぜ合わせて焼き上げる。これは普通のベイクドチーズケーキで食感はしっとりしている感じだが。もう半分は、シフォンケーキ同様に卵白を切るように素早く混ぜ合わせて焼き上げる。こちらはスフレチーズケーキと言い、ふんわりとした食感を楽しめる。
洋菓子だけでは盛り上がりに欠けるので、和のテイストも入れようか。
こんなこともあろうかと・・・っていうより自分用に作っていた、アカツキさん御謹製の小豆で仕込んだ餡子と、【海のある街・アル】で仕入れてきた棒寒天で。
棒寒天をお湯に溶かし、砂糖を入れてジックリと煮詰める。型に入れて冷ませば、まんま寒天になる。コレを賽の目に切って、器に入れて、餡子・果物をトッピング、蜜をかけて餡蜜。
餡子と棒寒天と砂糖で煮詰めて型に流して冷ませば、羊羹の出来上がり。
・・・と、まぁやり過ぎた感は無きにしも非ずだが、今回も調子に乗りすぎた様だ。スウィーツって恐ろしい。白々しく言ってはみたものの、ナナセさんの視線が痛い。
結果的に、大量に作りすぎてしまったので、外では皿を並べるところが無くなってしまい、【フードコート】テーブルもお借りして、立食形式のスウィーツバイキングとなってしまった。
(物量的に)お客さんだけでは二進も三進も行かなくなったので、クランの皆さんにも集まってもらい、一生懸命食べて頂いた。年若いコウタロウくん達は、気持ちが良いほど良く食べてくれた。
誰が一番食べたと聴かれたら、間違いなく私が食べた量が一番だと他のみんなは答えるかも知れないが、イヤイヤ甘いものは別腹でしょう?。
あぁ、まんじゅうが恐い。
・・・次、こんな事があったら作ってみよう。いや、絶対作ろう。
この小説は、料理人のサクセスストリーです。
間違っても、お料理教室ではございません。
重々承知してはおりますので、ご容赦ください。




