ボーナストラック ある日の昼下がり
「そういえばグンジさんって、甘いものってあんまりってか殆んど作んないっすよね~。」
慰労会が終わり、はや一週間。午後の何気ない一時、たまたま農場に遊びに来ていたコウタロウくんが私に声をかけてくる。
「暇だったら何か作ってくださいよ~、スウィ~~~~~~ツを。」
コウタロウくんは唐揚げの一件依頼、何かと農場に遊びに来ては食事を食っていく。まぁ、アカツキさんやササキさんの手伝いをしっかりとしていくので、私としては何も問題視はしていないのだが。食事を作る際に、事細かいリクエストをしてくるのだ。
そして、今回はこの甘いもの食べたいとの事で注文が入った訳だ。オマエ サッキ シコタマ カラアゲ タベタデショウニ マダクウンカイ・・・
「あっ、それとも流石の料理人さんもスウィーツは苦手だったりします?。」
ぷちーん!!。コウタロウくん、其れは私に対し喧嘩を売っているという事でいいね。OKその安っぽい喧嘩は、私が大人買いで買い叩いてあげようじゃぁないか。目にものを魅せてあげよう。
すくっと立ち上がり、先ずはコウタロウくんの所に向かい・・・
『先に、これでも喰っとけ。』
無理矢理口の中にねじ込んだのは、パンの耳のラスク。サンドイッチ等で余ったパンの耳を乾燥させて油で揚げる。きつね色に揚がったら、砂糖をまぶして出来上がり。私の簡単おやつだ。未だ残っているラスクを袋のままコウタロウくんに渡し、一路、外の石窯に火を入れる。
まずやることは、かなりの量の小麦粉を篩いに掛けよく空気を含ませる事をする。次に、小分けにした小麦粉と同量の砂糖・バター・卵を混ぜ合わせ、型に流し込む。最後にある程度の温度になった石窯に放り込んでじっくり焼き上げれば、パウンドケーキの完成。
冷めたら、ある程度の大きさに切り分け、生クリームとフルーツを添えて出来上がり。
小分けにした別口の小麦粉に、今度はクリームチーズ・レモン果汁・生クリーム・卵を混ぜ合わせ、パウンドケーキと同じように型に流し、石窯でじっくりと焼き上げる。こちらはベイクドチーズケーキ。
冷えたら切り分けて、果物で作ったジャムを添えて完成。
さて、折角石窯に火を入れたので、勿体無いから他にも作りましょう。オーソドックスに、卵をシッカリとかき混ぜて裏漉ししたら、牛乳と混ぜ合わせる。これも一定の割合があるのが、私はちょい固めが好きなので、ミルク少なめ。コレは小さいカップ型の型に入れ、水を張ったバットに並べ石窯に入れる。石窯から出すタイミングが遅れるとすが入ってしまうので、時間管理には注意する。
勿論出来上がったのはプリンだ。カップから外し、皿にフルーツと一緒に盛り付け生クリームでトッピングすれば、プリン・ア・ラ・モードの完成だ。
ハッキリ言おう。私は、甘いものが大好きだ!!
一度作り始めると見境が無くなる程に、作るのもソレを食べるのも大好きだ。
気が付くと、周り一面スイーツだらけになったり、食べた後の食器が散乱したりするくらいなので。自戒の為、普段は甘いものは余り作らないようにしている。
まぁ、ラスクのように、他の料理をしている最中に作れるものは別だが・・・本格的に作ってしまうと、ほぼ一日中スイーツを作っては喰べるを繰り返す奇っ怪な行動をしてしまうので、大変危険である。
「わかりましたって、グンジさんがスウィーツも得意だって判りましたから、それ以上作らなくていいですからっ。」
そして本日は、傍から作業を見ていたコウタロウくんに止められた様だ。まぁ、大分と言っても所詮3品位のもんだから、今回は【フードコート】に来たお客さんに振舞ってしまおう。ご主人・女将さんも召し上がってくださいな。
本編の前に、ムラムラっと湧き上がったスイーツ回を掲載いたします。




