新農場とフードコート 完成
カレーを作ったあの日から、アッと言う間に現実時間で一週間が過ぎた。ゲームの時間で二週間が過ぎた訳だが、振舞った食事の回数は計28回。肉・野菜ばかりでは、ナンボ料理が美味かろうと飽きてしまう。全速力のクロベェに牛車を牽かせ、一路【海のある街・アル】まで海鮮を大量に買い付けに向かう。
流石に最前線のプレイヤーが束になっても敵わない暴突丑である、その最高速はゆうに時速60キロを超え、荷物を乗せた牛車を牽いてもスピードが落ちない馬力?と持久力を兼ね添えている。途中で休憩を挟んでも、日の出前に出発すれば昼食の仕込みに十分間に合うように帰ってくることができる。まぁ。ササキさん特性の牛車じゃなけりゃ、途中で私ないし積荷が放り出され、只では済まない状況になってしまう危険な旅路になってしまうが…いやぁ、河岸に仕入れに行っていた現役時代が懐かしい。
そんなこんなで、プレイヤーの胃袋を十二分に満足させただけあり、作業が捗るわ捗るわ。そして本日、総ての作業が終了しました。因みに、料理をサポートしてくだすったプレイヤーの皆さんは〈料理〉のスキルレベルが軒並み上がり、中には〈上級料理〉にまで進化したプレイヤーもいて感謝されたりもした。食堂のご主人も暇をみて手伝いに来て下さり、やはり〈上級料理〉にスキルが進化したみたいだ。
拡張した農場は、合計20町歩。内15町歩を農業に、残り5町歩を牧畜に回せるように厩舎も拡張した。【始まりの街】から農場までは、切り出した石畳で舗装し立派な道路が完成。他、希望者の為の工房や簡易宿泊施設も追加した。
そして、今回の目玉でもある、街より移転した食堂・通称【フードコート】が完成した。場所は農場の入口付近で道路に面した行き来のし易い場所で、ログハウス調の建物だ。席数は全部で100、メインはご主人と女将さんが運営する食堂だが、貸出用の調理場が三箇所あり、希望者に貸し出す事が出来る様にしてある。勿論、客層は街のNPCだけではなく鎧を纏ったプレイヤーも視野に入れており、座席間は広めに作ってある。
ご主人達の引越しの兼ね合いと、NPCの従業員の訓練・メニューの選定等とまだやる事が有る為、営業開始はもう少し係るようだが、順調に話は進んでいる様だ。NPCの服装にプレイヤーから意見もあったが、そこら辺は、女将さんが主体にヤルとの事で私はスルーした。
最後に弟に運営さんに連絡をしてもらい、翌日には無事に【始まりの街】の一部として組み込まれましたと連絡が入ったので、参加したプレイヤーの皆さんに後日慰労会を開催する旨と感謝の言葉を伝え、解散の流れとなった。
私は、そのまま希望者と伴に【海のある街・アル】に向かい、食材を大量に買って来ることにした。この作業期間中、一度と被らせる事なく料理を作っては来たが、皆さんより熱烈にリクエストが来た料理を慰労会で振舞う予定である。




