とりあえず考える 行動指針 編
さて、〈スキル〉を手に入れた。それと同時に【神殿】よりその〈スキル〉にマッチした、所謂〈初期装備〉なるものを受取った。
内容として…
・初心者の短剣 ATK+5(素手よりマシな程度?)
・初心者用回避リング DEX+5(チョット回避しやすい?)
・お料理セット (文化包丁・俎板・フライパン・小さいお鍋・菜箸)
・最初のポーション×5 回復量 HP+10
・1000G (G=ゴールド この世界の通貨)
いや、装備の説明に“?”が付いて良い物なのか?
〈料理〉の初期装備って誰でも持ってないか?って思ったが、このゲームでは、〈スキル〉がないとその装備が使えない、又は使えてもかなり能力が下がるとの事で、調理道具は〈スキル〉がないと使えないんだとさ。
【神殿】から出て、街をゆっくり歩いてみる。街の中央部、中央に噴水のある大きな広場には結構な人がいる。その一角には食べ物屋の屋台が何軒か軒を連ね、旨い食物にありつこうと黒山の人だかりができている。
どうやらこの世界では、匂いも確りと判るようで、何かの肉を焼く旨そうな臭いを醸し出す屋台の列に並んでみた。その屋台では、塩・胡椒で味付けし焼いた肉を、縦に切れ目を入れたコッペパンに挟んだモノを売っていた。
一つ200Gとの事で二つ購入。金を払い、噴水の縁に腰掛け早速一つ目にかぶりつく。
『…旨い』
この言葉が総てだった。退院してからは、心が死んだように適当な…味も素っ気もない固形食や栄養剤位しか胃に入れなかったせいかもしれない。
挟んでいるパンは工場生産の適当なものかもしれないが、軽く温めており柔らかく、克少しでも美味しく食べられるような工夫をしてある。そして、この挟んでいる肉が…塩と胡椒だけと、シンプルな味付けにも関わらず噛むと溢れる肉汁と焼いた事による香ばしさが確りとその存在をアピールしてくる。滴る肉汁と、其れを受け止め、吸収したコッペパンが織り成すハーモニー…長くなるので辞めよう。
アッと言う間に、二つのコッペパンを平らげてしまった自分に、驚いてしまう。食事に夢中になったのは何時以来だろう。自然に口角が上がってしまう、他人が見たら気持ち悪いかもしれないが知ったこっちゃない。
旨いものを喰うと、心が弾むし笑顔が増える。今までは自分が他人(お客)にしてきた事だが、今回は自分がされた側。悔しくもあり、嬉しくもある。
今度は、俺が旨いものを喰わせる番だ。そのためにも、まずは食材の確保だ。いざ往かん、街の外へ。
長々と前フリをしてみました。
癖の有る文体と、慣れない為の誤字脱字があるかもしれませんが
ひとつ宜しくお願いいたします。