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人員募集 農協?発足

さて、農地の拡大や新食堂の建築などで、ほぼ毎日ゲームにログインしている訳だが。何はともあれ仲間が4人では人手が足りないのが現状だ。って事で考えたのが、【冒険者ギルド】に仲間・協力者の募集をかける事だった。

従来の農作業全般は〈雇われ妖精(こびとさん)〉が頑張ってくれているので問題ないのだが、こびとさん達は決められた〈スキル〉で仕事を代行するだけなので、こと細かい指示や複数の〈スキル〉を用いる作業などを一緒にやっていただけるものではないらしく、其処ら辺はNPCやプレイヤーに頼った方が都合が良い。



[応援急募:農地拡張・食堂の新築などの生産職プレイヤー若干名、昼・夜の食事付  なお、新築食堂はフードコート様式を採用のため、吾こそはと思う〈料理〉スキル持ちは応募されたし。 場所:【始まりの街】郊外の農地・・・



と、ここまで求人広告を書いてふと気がついた。なぜなら、問い合わせ先に、所属団体名・責任者の項目が有ったからだ。そういえば私達の団体名称って決めてないな・・・と。そんな事をアカツキさん達に相談したら。


「農業・林業・畜産・飲食に関係する協同体・・・略して農協でええじゃろ。勿論、責任者はグンジくんじゃがな。」


はぁ?と固まっている間に、多数決で3:1とあからさまな出来レースで団体名と責任者が決まってしまった。おい、っこら、まて、ちょっとまて、非道くないか?泣くぞ?



[応援急募:農地拡張・食堂の新築などの生産職プレイヤー若干名、昼・夜の食事付  なお、新築食堂はフードコート様式を採用のため、吾こそはと思う〈料理〉スキル持ちは応募されたし。時間:現実世界での翌日午後4時(ゲーム時間の午前8時)  場所:【始まりの街】郊外の農地  連絡先:農協 グンジまで]



決まってしまったものは仕方が無いので、諦めて求人広告をギルドに提出させていただきました。しかし、農協はないよな農協は・・・



【冒険者ギルド】に募集をかけてから、現実世界での翌日の午後3時。ゲームにログインし農場に行ってみたところ、募集を見て駆けつけてくれたと思われるプレイヤーが結構待ってくれていた。何処かで見た事あるような顔もチラホラと見受けられた。


コウタロウくんパーティーも見受けられたので、最近の状況や情報の交換などをして時間を潰していく。徐々に人も増えて行き、最終的に30人からの団体になってしまった。時間になったところで、集まって戴いた方々に農協の代表者として挨拶をする。


『大体の方は初めてお目にかかるかもしれませんので、ご挨拶を。この農場を運営しています、紛らわしいですが、チーム名農協のリーダーのグンジと申します、恐らくこの街(始まりの街)の食堂の親子丼の開発者といった方が判りやすいかもしれません・・・ヨロシク。』


自分で料理の宣伝をするのはイマイチ恥ずかしくて好きではないのだが、ササキさん曰く、一番判り易い自己紹介との事で、話しに組み込んでみたのだが、存外、集まった方々のウケが良かったから良いとしておこう。流石に歓声があがったのにはびっくりしたが。


『さて、この度は、我が農協の募集にお集まりいただき有り難うございます。募集要項に書きました通り、今回この農場の拡張に伴い、街なかの食堂の移転・・・新しくフードコートとして改装。また、運営さん許可の元、【始まりの街】への組み込むために、街までの道路の整備を行う事になりました。』


ここで一息つく。長い挨拶は苦手なのだがな、一応、昨日のうちにアカツキさん達と考えた内容を思い出す。


『しかし、これは我ら農協が自主的に行っている事で、皆さんの労働に対価として報酬をお出しすることは出来ません。しかし、私が責任を持って皆さんに美味い昼飯と晩飯を提供させていただきますので、皆さんの協力をお願いします。』


ここで頭を下げ、挨拶をして一旦挨拶を終了する。

次は、各個人から所持〈スキル〉を聴いてゆき、仕事を割り振っていく。〈農業〉・〈木工〉・〈鍛冶〉・〈石工〉等のスキル持ちは優先的に、そうでない方達はそのサポートに。中には〈料理〉

のスキル持ちがいたので、私のサポートに来てもらうことにした。


アカツキさん・ササキさん・オオガキさんの3人が、集まった方々を引率しそれぞれの仕事に向かって行った。勿論、私も自分の仕事・・・炊き出しを行う準備をする。


本日のお昼ご飯は饂飩にする予定だ。アカツキさんのご謹製の小麦粉を、一度篩いに掛け小麦粉によく空気を含ませる。其処に塩水を少しずつ足していき練りこんでいく。この時点でよくビニールに入れ体重を掛け踏みつけるように練りこむとコシのある饂飩になると云われるが、そうでもない。

要は小麦粉のグルテンの結びつきが強ければ饂飩にコシが出るものなので、幾重にも生地を重ねるように丁寧に練りこみ熟成させるのが重要なのだ。多少の力は必要だがね。最後、麺に得意の〈闇魔法〉をかけて熟成を早めておく。


次は出汁の作成だ。沸騰したお湯に【海のある街・アル】で買い込んだ、昆布とカツヲ節を使う。両方共買ってから、更に【闇魔法】で更に熟成させてあるので、味に深みが出るようになっている。

昆布は表面をさっと濡れ布巾で拭いて、細かく切れ目を入れてからお湯に潜らせる。煮込みすぎても、エグみが出るので、そこそこで取り出す。ここら辺は料理人としてのカンだ。

鰹節は薄く削り、結構な量を火を止めた鍋に突っ込む。鰹節は煮込むと鰹の生臭さがでてしまうので、鰹節全体が鍋に沈んだ位で、布で濾しておく。


濾してできた黄金色の出汁に醤油・酒・味醂を加え饂飩用の出汁として味を整える。付け汁なら出汁5に対し、醤油・酒・味醂が1。かけ用の汁なら出汁が8~10で他は1。後は好みで砂糖などで味の加減をしてくれればOKだ。

今回はかけ饂飩用で出汁を作る。


さて、熟成が完成した饂飩を延ばし始めよう。これは直ぐに茹でられるように、麺茹で用のお湯を用意しておこう。

大きめの板に打粉を振り、饂飩の塊を置く。その塊に打粉を振りながら麺棒で四角に伸ばしていく。大体1cm程度で、厚さを均等に延ばす。伸ばしたら包丁で切れる程度の長さに折り返し、厚さと同じ幅で刻んでいく。麺切り包丁が手元にないため、切り付け包丁で行うが、其処はそれ。

切り終えた麺は、一気に茹でてしまおう。提供する前に再度温めるので、時間は短めで。

最後は具材だが、海鮮はないので、サツマイモやシュンギク、町で仕入れてきた鶏肉を天麩羅にして提供する。後は月見用に卵か?コレで準備はOKだ。



結果・・・プレイヤーの皆さん大熱狂。

なんか人によっては、TKGの新しい世界が開けたとか叫んでいる人もいた。後からコウタロウくんから聞いた話だが、その叫んでいたプレイヤーが、美味いもの掲示板でキングオブ?TKGとか云われているサカキと云われるプレイヤーで、うまい食事(主にTKG)のために最前線まで赴く高レベルの〈鍛冶〉スキル持ちのプレイヤーだそうだ。


昼食後、コウタロウくん達から夕食のメニューを聞かれたので、唐揚げを予定していると答えたら、それが他の皆さんに伝わり、目の色を変え、雄叫びを上げながら作業に戻って行ってしまった。


これは、期待を裏切ることはできんな。いつもより気合を入れるとしようか。


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