青空食堂? 青空割烹?
ほぼ料理を作るだけの回になりました(笑)
さて、先ずは一度やってみたかった、漁師汁。大きな鍋に水を入れ、豪快に叩っ切った伊勢海老・渡り蟹・色々な魚をブチ込み、酒・ショウガも刻んで入れておく。鍋が沸いたら丁寧にアクを取り除き、味噌を溶かし込む。味噌の風味が飛ばない様に弱火で少しコトコト煮れば、海鮮の出汁が染み出た、滋味豊かな海鮮漁師汁の完成。
わざと大きめな鍋に味噌汁を作り、時間の調節や火の管理を簡単にするのが、大人の裏技だ。鍋が沸くまでの間に出来る事をしっかり行うのが出来る料理人ってもんだ。
鮪は4枚に卸したら、頭は弱火の竈でじっくりと焼いていく。背・腹の身はサクに取り刺身にするが、此の儘では今ひとつなので、【闇魔法】で熟成させる。脂と旨みの元が合わさり蒼く脂が輝けば食べごろ。赤身・トロ・中トロ・大トロと一サクづつ確保しておくのは内緒だ。尻尾付近の筋肉質の身は、マグロステーキ用にニンニク・ショウガ・胡椒・塩と下味を付け馴染ませておく。
大量の鯖は、半分は頭・内臓を取り、ブツ切りにした後、沸いているお湯を潜らせ、血を洗い落とす。あとは、酒・味醂・砂糖・味噌・ショウガで鯖味噌だ。コツは味噌はある程度煮上がってから溶かし込み、味噌の風味が逃げないように炊き込んでいくのが旨さの秘訣だ。
残りの半分の鯖は、3枚に卸して、塩を積もった雪のごとく思いっきり振りかける、寄生虫怖い。塩が馴染んだら、塩を落とし、酢で締める。
これだけでも十分に旨いのだが、半分は串を刺し、藁で炙る。所謂〆焼き鯖って云う奴だ。
穴子は塩で滑りを洗い落とし、目釘を打ち背開きで下ろす。穴子は血液に毒が有るので其の儘では生で食べられないが、流水で長時間よく晒すと、血液と毒が抜けて刺身でも食べられる。ただ、穴子特有の旨みがイマイチ感じられないので、今回はパス。今回は煮付け・焼き物・天ぷらでいただきます。煮付けは酒・味醂・砂糖・醤油で煮ていくが、寿司屋のように秘伝のタレが無いので濃厚な味付けではなく、アッサリ目で煮上げる。
焼き物の方は、串を打ち、塩を振り、焼く。関東の鰻の様に蒲焼にしないのは、単に、身の質が違うから。皮目はしっかり、身はふっくらと焼き上げ、柑橘の絞り汁と、醤油で召し上がれ。
他にも食材が有るので、無駄にしない様に、刺身・煮物・揚げ物に仕込んで行く。
勿論、内蔵ですらも無駄にしない様に、塩辛(酒盗)に仕込んだりするのを忘れない。
では、今回の献立です。
肴 ・・・鮪の酒盗、イカゲソ和え・鮫と鱈の蒲鉾・鯏バター焼き・
刺身 ・・・旬の魚俎板盛り合わせ:鮪(赤身・漬け・トロ・中トロ・大トロ)・烏賊・〆サバ・鯛・栄螺・鮑・他
煮物 ・・・煮穴子・鯖味噌煮・鯛兜煮
焼き物 ・・・焼き穴子・鮪の頭丸焼き・鮪の尾山賊風ステーキ・焼き蛤。
揚げ物 ・・・旬の魚の天婦羅:穴子・烏賊・鰺・海老・他
飯 ・・・寿司10貫 鮪(赤身・漬け・トロ・中トロ・大トロ・骨ぎし軍艦)・煮穴子・〆鯖・烏賊鹿子造り・鯛
汁 ・・・海鮮漁師汁
見事にほぼ和食?で固まったな、持ち寄られた材料でだけで作ったから、大分偏りは有るかも知れないが、よく作ったもんだ。そして、【闇魔法】大活躍。
50人を超える客?に対し、料理を一片に全部を出すことは叶わなかったので、献立の上から順番に出して行った次第だが、案外ウケは良かったみたいだ。給仕をしてくれた女性陣や、サポートしてくれた方々に感謝だ。私の〈料理〉スキルも鰻登りで急上昇、サポートしてくれた方々も〈スキル〉のレベルが大分上昇したみたいだ。
後はこの流れで、生鮮な魚介類を【始まりの街】に流通させて貰えば、苦労した甲斐があるってモンだけど。店主のオッサン曰く乾物は需要があれば取引してもOKだけど、生鮮は、距離的(陸路で丸ゝ一日)な問題で無理との事で、泣く泣く【海のある街・アル】を後にする事になった。
悔しいからと云って、色々な乾物をコレでもかって位買い叩いたのは良い思い出だ。街を出たところで、アカツキさん達が待っていてくれたので、クロベェの牛車に乗り、スルメやエイヒレなんかを齧りながら【始まりの街】へ帰ろう。




