さぁ 出発だ
さて、〈雇われ妖精〉が思った以上に良い仕事をしてくれる事が判ったので、今度は此方の番だ。現在我々は、クロベェの引く馬車ならぬ牛車に乗り、一路、【海のある街・アル】を目指している。因みに、最先端の攻略組のいる【王都ジパング】とは反対方向だ。
【海のある街・アル】は、小さな漁村に毛の生えた位の街で、港はあるが、船で商品を運ぶ商船は泊まらない。主に漁港として、付近住民のお腹を満たすために存在している、街である。そう、付近住民のお腹を満たす街なのだ!!
豊富な魚介類・・・漁港の為、新鮮なソレを乾物でなく生で食べることも可能なのだ。行くしか無いであろう。食堂の女将さんと大将に、しばらく留守にする旨を伝へ、〈雇われ妖精〉に畑仕事をお願いし、ハクを頭に乗せ、クロベェに牛車を牽かせ、シロに後を付いてこさせ、我ら一行は【海のある街・アル】をめざした・・・
のが、現実時間で午前6時(ゲーム内時間で正午)、只今現在時間で午後6時。ゲーム内では
24時間が経過し、到着しました【海のある街・アル】。ゲーム内時間では翌日の正午・・・丁度お昼の為、食堂らしき処は大賑いです。
食堂は何処も畏も混んでいる為、入れない。が、こんなことも在ろうかと、ササキさんにお願いして作って貰った・・・
『テテテテン・・・簡易調理セットぉぉぉぉ』
スイマセン、アカツキさんもオオガキさんも引かないでください。ちょっと悪乗りしただけじゃないですか。因みに私はこの青狸の声優はダミ声で刷り込まれていますので、新しい青狸は今ひとつだった記憶があったりする。其れは置いとくとしといて・・・
ササキさん御謹製の簡易調理セットの中身は・・・俎板・水瓶×2(洗い物用・調理用)・七輪×2・焼き物用の金串10本・金属のボウル・鍋(大・中・小)・フライパンと超豪華なラインナップとなっています。コレを使い、レッツ野外でクッキング。勿論、包丁と調味料一式はしっかりと持ってきているので心配なし。
さて、全員で港の傍の市に来てみたが、殆んど魚は売れてしまったみたいで、店は片付けをしている状況だ。が、その中で眼に付いたものは、40センチ位の腹部が銀色に輝く鰹が入った箱だった。
『すまないがご主人、この魚は何故売れ残っているんですか?』
「あぁ、鰹かい?この魚は、アシ(鮮度が落ちるの)が早いくせに、イキ(鮮度)が良い状態で食べようとすると味が全くしないんだ。だから、節にする以外は余り好まれないんだ。」
『なのにどうして店頭に並べて有るんですか?』
「いやぁ、漁師が調子に乗って釣りすぎたもんだから、売ってくれと無理矢理もってきたんだよ。」
・・・こいつ等、鰹の食べ方を全く判っていないみたいだ。大方、鮮度の良い状態で、血合を取った身を刺身にでもしたんだろう。
知らないなら知らないで、食べ方を教えても良いが、言葉で言ってもしょうがないから、実際に食べてもらうとしようか。それに、後ろに控える三人もいい加減何か喰わせろと目が語っているしな。
『ご主人、この鰹全て戴こう。』
ご主人は、目を白黒させて、異常者を見るような眼で見てくるが、知ったことではない。美味い鰹を喰わせてやろうじゃないの。って事で、調理できるスペースを紹介していただき、ご主人や、そのご家族も招待してみた。




