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あれもつくりたい

俺とアカツキさんは現在、草原で野菜と香辛料の採取をしていた。目に付く野菜・香辛料となるモノを片っ端から袋に収めていく。


あれから、弟の助言でアカツキさんとパーティーを組んだ俺たちは、手っ取り早く〈スキル〉のレベルを上げる為の仕事を請け負うために、【冒険者ギルド】と云う処の門を叩いた。此処は、ゲームを行う者達に仕事を斡旋する場所であり、情報交換や仲間を募る場所でもある。一応仲間の募集をかけたものの、誰も集まらなかった為、一番簡単な採集の仕事を請負って草原へと出てきたのだ。


戦闘能力が殆ど無いものが行う、超初心者向けの仕事(クエスト)で報酬も雀の涙程のモノの採集の仕事だ。だが現実世界での知識と経験が、其処ら辺の小童共と比べるでもない俺たちにしてみれば、この草原は宝の山に変わる。


「おっ、こんな処に片栗が群生しているぞ。」


『ぬぁにぃ、アカツキさん。根っこだ。根っこを採るぞ、採り尽くすぞ!!』


「おいっ、待て…」


『大丈夫だ。何故だか知らんが、明日には生えている。』


この世の不条理(おそらく裏技?)を逆手にとった乱獲大作戦。袋が一杯になる頃には、辺り一面が雑草しか生えていない、見るも無残な姿を晒す草原になっていた…ってか此処、草原じゃん。


そんなこんなで、アカツキさんの〈植物知識〉のレベルが20と面白い位上がってしまったので、(きょかくけい)を狩る為に森に行くことにした。今日は鶏居るかな?と、いつもの狩場に行くと…居ましたよ巨嘴鶏(きょかくけい)が。本日の親子丼が作れますね。サクッとヤっちゃいますか。





そして何時もの仕込みの時間。今回はご主人に無理を言って、大きな桶と濾し布を借りる事にした。

先ほど採集したカタクリの根を、刻んで叩いて濾し布で包み、水を張った桶の中に入れておく。時折包を揺すってやると、出てくる出てくる白い物が。これが片栗粉の元になる訳だ。

袋から出てきた白いものが沈殿してきたら、桶の余計な水を捨てて乾燥させるだけ。これで片栗粉が手に入ることになる。


食堂の閉店間際に、ギルドに向かったアカツキさんが顔を出した。先ほどの採集した植物を、【冒険者ギルド】に渡したら結構な金になったとの事だ。なにやら、甘草や弟切草等の漢方にも使える薬草関係が、高価買取につながったとの事と、その漢方薬達の使用方法に関する情報料が合わさり、売上金額がなんと150000Gで、土地を15町歩買える金額だった。


今回は、どれだけアカツキさんが動けるのか、またどれだけの知識を有するのかを見せてもらった様なもんだ。しかし、やはり年の功だ、思う存分アテにさせていただこう。大分遅い時間になったので、明日また落ち合う約束を取り付け、本日はログアウトする事にする。



翌日、朝食を食べ終え、簡単な家事をした後、すぐに《無限世界の住人》へとログインをする。今日の予定としては、昨日と同じ平原に実る山野草の乱獲だ。その為、仕事を請けるならと【冒険者ギルド】を待ち合わせ場所にしている。

【冒険者ギルド】は24時間営業で、何やら時間限定の仕事も有るとの事で、何時行っても人が居る。今日みたいな比較的朝早い時間でもソコソコ人が居る訳だが…なんでアカツキさんは、おなじテーブル座るおっさん達と楽しそうに茶など啜っているんだ?あのおっさん(アカツキさん)は人見知りなんじゃないのか?まぁいいか、もうすぐ約束の時間だし、声をかけるか。


「おぉ、やっと来たか。待ちくたびれたぞぃ。」


いや、時間通りって云うか、10分前なんだが…


「こっちゃ来い、張り紙を見て仲間に入れて欲しいと云う者が来ておるんじゃ。」


其処のおっさんふたりだろ?同じテーブルについているんだから、だいたい想像つくさ。


「元大工をしていた“ササキ”だ。なんか楽しそうな事をしているみたいだったので、アカツキさんに声を掛けさせてもらった。力になれると思うんで、仲間にして欲しい。」


ササキさんは、いかにも捻り鉢巻と半纏が似合いそうな、典型的な日本人体型のおっさんだ。


「“オオガキ”です。何度か親子丼を食べさせていただいてます、あんな旨い親子丼は食べたことありませんでした。動物園の飼育員をしていましたが、定年で引退しました。暇にかまけてこのゲーム(無限世界の住人)をしていたところ、面白い募集がかかっていたのでアカツキさんに声をかけさせていただきました。」


オオガキさんは、オーバーオールにバケツと長靴が似合う、優しい顔のおっさんだ。


「改めて自己紹介をしようかのぉ、“アカツキ”じゃ。農家をしていたが、婆さんが亡くなって畑仕事は引退したが、このゲーム(無限世界の住人)で出逢った其処のおっさんの提案で、この世界でもう一度。一から農家をしてみたくなり、こうして仲間を募った次第じゃ。ほれ、自己紹介せぃ。」


おっさんがウインクなんかするな、気持ち悪いぞ…まったく。因みに、アカツキさんは、麦わら帽子とオーバーオールが似合う、典型的な農家のおっさんだ。


『“グンジ”と言います。以前は料理人をしていましたが、ちょっとした事故で料理ができない身体になってしまった為、こうしてゲームの世界でもと思い始めました。こんなふざけたような募集に集まって頂き感謝の言葉もありません。これから宜しくお願いいたします。』


初めて名乗った気がするが、気にするまい。俺はというと、白衣に前掛けが似合うナイスミドル(おっさん)だ。決してエプロンではないのだ、エプロンでは。


こうして一気に二人も仲間が増えてしまった次第だが、これからが本番だ。












追加で書き足しました。今回は、新たに2名の新キャラが登場しました。上手く書き分けられるかが不安ですが、頑張ります。

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