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エピローグ

 騒がしい告白劇から一夜明けた金曜日。今日が終われば、また連休となる早朝。静樹は突然携帯に掛かってきた電話に起こされた。

「んん? 誰だ、こんな朝早く」

 ねむけ眼を擦りながら、畳に敷いた布団から静樹が腕を伸ばして携帯電話を掴み取る。着信の画面には、静樹の父の名前が浮かんでいた。

「うわ……」

 静樹にしては珍しく、あからさまに嫌そうな表情が浮かぶ。一瞬、このまま電源を落としてやろうかと本気で考えたが、どうせその時は家の電話に掛けてくるだろう。

 小さく溜め気を漏らしながら、静樹は通話ボタンを押した。

「はい、もしも……」

「グッイブニンっ! 今晩はっ、マイ、スイートサム。元気だったか?」

「父さん、悪いけどこっちじゃ今が朝。しかも早朝だよ」

「おろ、そうか。じゃあ、グッモーニングだな」

 電話の向こうで軽快に笑う父の声に、静樹ががっくりと肩を落としながら「しかたないな~」と言わんばかりに微笑む。朝から飛んだモーニングコールだが、一カ月ぶりに聞く父の声は、やっぱりホッとした。

「どれで。どうしたんだ、父さん。いきなり」

「ん? いや、そろそろ我が不肖の息子が根性見せる頃かと思ってな」

「根性?」

「そ、根性。それで、マイ、スイートサム。お前は、ノコちゃん、ツカサちゃん、みのりちゃんの誰を選んだんだ? お前のことだから、クソ真面目に『お嫁さんにして~』って約束に振り回されてたんだろ?」

 まるで見ていたかのように語る父の言葉に、静樹は思わず――ガンッ――と額を畳に打ちつけた。

「父さんっ! 父さんは三人が俺に約束したの覚えてたのかよ!?」

「ん? 何を言ってる、マイ、スィートサム。息子の恋愛事情だ、憶えてるに決ってるだろ。父さんはてっきりお前が約束を果たすために残ったんだと思ったぞ」

 電話の向こうで、父が意外そうに話す。なるほど、嫌にあっさり田舎に帰ることを許したのは、そんな誤解があったのか。

 もし、引っ越しの前に父がその話をしてくれていたら……と静樹は一瞬考えたが、すぐに頭を横に振った。おそらく、引っ越し前に聞いても、今の自分と大差はなかっただろう。考えるだけ野暮というものだ。

「それで、静樹。お前は誰を選んだんだ? ん? ん? ん?」

 楽しげにしつこく聞いてくる父に、静樹はしばし思案すると、小さく笑って答えた。

「内緒だよ」

「なんだと。マイ、スィートサム。お前、とうとう父さんに書く仕事をするようになったのか? くぅー、知らない間に大人になったんだな。うんうん」

 何か納得したように、電話越しの父が頷く。

 予想外の態度に静樹が戸惑っていると、不意に父の声が柔らかくなった。

「静樹。そっちは楽しいか?」

「ああ。楽しいよ」

 即答だった。

「そうか。だったらけっこう。残してきて正解みたいだな。んじゃ、また電話する。バイビィー」

「あ、ちょっと。父さん……て、なんなんだよ。もう」

 一方的に掛かってきた電話は、これまた一方的に切れた。

 とは言え、別段悪い気もしない。少し早いが、静樹はもう起きることにした。昨晩のうちに用意しておいた制服に腕を通し、身なりを整えてから台所へと向かう。

「おはよう。綾ばぁ、源じぃ」

「おうっ、おはよう」

「おはよう、静ちゃん。今日は早いのね」

 割烹着に身を包んだ静ばぁが、今日も栄養満点な純和風の朝食を拵える。美味しいご飯、絶品のたくあん、脂の乗った焼き魚、ダシの良く効いた味噌汁。

「はい、これお弁当。忘れないでね」

「ありがとう、静ばぁ。今日も楽しみにしてるよ」

「ふふ、嬉しいこと言ってくれるわね。じゃあ、行ってらっしゃい」

「今日も暴れてこい。静樹」

「はははは。んじゃ、行ってきます」

 玄関で靴に足を通す静樹。今日の足取りはなんだか軽い。

 と、その時。静樹が玄関を開けるよりも早く、ひとりでに玄関の扉が横に滑った。

「お前らっ!?」

 驚く静樹の眼に、朝日の逆行を浴びた三つのシルエットが浮かび上がった。

「し・ず・き。おっはよ―。ほら、さっさと行くよ」

 今日も野球帽を被ったツカサが、朝日にも負けない晴れ晴れとした笑顔で静樹の腕を引く。

「静樹。今日は一緒に登校しましょうね」

 ツバの広い麦わら帽子を被ったみのりが、有無を言わさない口調で静樹のもう一つの腕に自分の腕を絡める。

 しかし、残されたノコも黙ってはいなかった。助走を付けたノコが、タックルさながらに静樹の背中へと飛び乗る。

「静樹、学校までおんぶだ。いいな」

「な、こら。我がまま言うなよ。ほら、ツカサとみのりも離れろ」

「やーだ」

「いやです」

「断る」

「お前らな~」

 突きつけられた完全拒否。朝から超高密度にスキンシップを取ってくる三人に、静樹が困り顔を浮かべたまま、仕方がないと歩き出す。

 その後ろ姿を見送った源じぃは、その野太い腕を組みながら、心底楽しそうに呟いた。

「はっはっはっはっは。これなら早く孫の顔が見れそうだっ!」と

                                          (了)

 ここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございました。

 これにて【ハットトリック】は終了です。

 楽しんで頂けましたでしょうか?

 とにかくまず、誤字脱字の数々を深くお詫び申し上げます。



 正直、まっとうな長編ラブコメは初めてでした。なので、今回はかなりスタンダードにまとまっているんじゃないかな~っと思います。

 だからこそ、やっぱり売りが足りないですね。感想を書いてくださった方にも、言われましたが、まさにテンプレ。もうちょっと、独創的なキャラや設定が欲しいところ。僕自身も、今回の作品ではその点を強く反省しています。

 当初は《帽子っ子》というジャンルを作ろうと始めたのですが、帽子を被った女の子のかわいらしさが上手く表現できませんでした。ここは大きな反省点。推敲でとにかく強調していきたいです。

 あと、ハーレムモノと言うか、複数ヒロインというのも初めてでけっこう悩みました。全体の出演率バランスとか考えると、やっぱり難しいですね。このへんも、まだまだ力不足。構成力をつけていかなければと思います。

 あと、ご指摘にもありましたが、「静樹がノコを選んだ理由」。ここはもっと強調すべきでしたね。ご指摘本当にありがとうございます。ここは、イメージ通りに書けなかった。もっと、盛り上がりを作りたかったのに流れちゃった感じ。あと、最後の方になるにつれ、ちょっと流れすぎか……。もうちょっと、しっかりとした書きこみが必要です。

 むぅ……、まだまだ成長すべき点が多い! まぁ、だからこそやりがいがあって面白いんですよね~♪



 反省ばかりじゃ申し訳ないので、自分の中で良かった点。

 コメディーがけっこう上手く書けたと思います。まぁ、まだまだ爆発力には難がありますが、これまでよりもたくさん思いつくことができたし、組み込むことができた。やっぱり、ラノベは読んでいて楽しいことが第一。この点は成長を自分で感じられました。

 それと、心情描写。自分は情景描写がいつも先行して心情がおざなりなので、その点でいえば今回は良く書けた方。以前知り合いから注意された点が向上したのは、かなり良い点だったと思います。

 後は何と言っても、持続的に早く書きあげられたこと。確かに荒荒しい形ではありますが、約1か月で長編12万字は自分の中でかなり書きあげた方です、この点も、良かった点だと思います。



 さて、長々と書きましたが。

 最後まで読んでくださった方々。改めまして本当にありがとうございました。

 一応、稚拙ながら自分もプロを目指してます。

 なので、ご指南・ご感想いただけたら幸いです。

 もし興味があったら、他の小説もよろしくお願いいたします。

                               野生

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