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黒猫な俺の異世界生活とおっさんな俺の現代生活が楽しくてたまらない!  作者: TB


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第32話 早速?

 サンチェスさんの一行は、快晴の初夏の日差しの中を王都へ向けて出発した。

 海まで続く川と二キロメートルほどの距離を空けて平行に進むような街道だ。


 なんで川沿いじゃ無いのかな? と思ったけど、現代日本の様に治水事業が発展していたりする訳じゃ無いので、その辺が影響しているのかもね? と勝手に納得する事にした。


 出発から一時間ほどは魔物が現れる事もなく平穏無事な旅立ちだった。

 街道沿いに主に養鶏などを営む農家も散在しているけど、魔物の居るこの世界の農家は、何処も高い塀で囲われていて、中の様子まで見る事は出来ない。


 俺は先頭を騎乗で進むチェダーとゴーダの会話に聞き耳を立てながら、馬車のペースに合わせて小走りで付いて行く。

 レベルの影響なのか身体強化の影響なのかは良く解らないけど、時速十キロメートル程度の移動では疲れがたまることも無い。


 農家の影が見えなくなった辺りで魔物の気配を感じた。

 すぐに『ラビットホーン』の斥候ゴーダも気づいたようで、チェダーに伝えていた。


「グレーウルフだな何匹くらいいる?」

「十匹以上だ」


「ちょっと面倒だな、マリボ達も呼ぶか?」


 そんな会話が聞こえてきたが、ここはご挨拶変わりだな! と思って俺は気配のする草むらにミスリルエッジを咥えて飛び込んだ。

「ちょっ、おいマリアの従魔が一匹で飛び込んだぞ? 相手の数が理解できて無いのか? 急げ援護するぞ」


 そう言いながらチェダーとゴーダが追いかけてきたが、二人が追いついたた時には、すでに六匹の喉を切り裂き残り六匹になってた。


「おい、ゴーダ。この猫きっと俺達より全然強いぞ。ちょっと戦い方を見させて貰おうぜ」

「ああ分った。馬車の進行は止めなくていいか?」


「大丈夫そうだな、ここが収まったらすぐに追いつけばいいさ」


 俺は残る六匹のグレーウルフを相手に、一匹ずつ確実に仕留めて行くと一匹だけ色の黒い体の一回り大きな個体が居た。


 ブラックウルフ、レベルは28か。


 群れの統率者の様だな。

 血走った様な赤い目をしたブラックウルフが低いうなり声を上げながら襲い掛かって来た。


 俺は初撃の牙を躱し潜り込むように足元を通過する。

 後ろ足を一本斬り飛ばして態勢を崩した所に、再び走り寄り首筋を切り裂き止めを刺した。


「ヒュー、凄いな……こいつは俺達の出番もなさそうだぜ」

「任せてもいいよ」


 って返事をしたけど、当然「ニャニャニャァ」としか聞こえなかった。

 さて死体どうしようかな? と思ったけど、どうせ隠しきれる訳じゃ無いしね?


 と思ったから、さっさとインベントリに十二頭分の狼の死体を収納した。


「おい、見たか今の……この猫アイテムボックス持ちだ」

「ああ、信じられないが本当の様だな。マリアって子はこのアイテムボックスを利用できる子なのか? 凄いお宝の様な子だな。頑張って今回の護衛任務中にパーティに誘おうぜ、回復魔法も使えるし、何より巨乳だし、俺達に必要なすべてが揃ってるじゃ無いか」


「男仲間は必要ないぜ」


俺はそう口にしたが当然「ニャァニャニャン」としか聞こえなかった。


 隊列とは二百メートルも離れて無かったので直ぐに追いつき、また先導をする形で進んだ。

 今日の予定地はファンダリアから六十キロメートルほど離れた町で、夕方には到着する予定だが昼食と馬の休息を兼ねて、お昼過ぎには一度隊列を止めた。


 比較的見晴らしの良い広場で、食事の準備を女性の従者の人達が始めた。

 馬たちも一度金具を外され大量の水と飼葉を与えられている。

 この世界の馬は賢く、逃げ出したりは滅多にしないそうで、一応ロープで木に繋いではあるが、大人しく餌を食べてた。


 チェダーがサンチェスさんと何やら話している。

 きっと俺の事だな? あの後も度々魔物は現れたが、総て俺が倒し、そのままインベントリに放り込んでいる。


 総数で三十匹以上だ。

 俺は、マリアの側に行き話し掛けた。


「隠すのが面倒臭かったから、途中の魔物全部倒してインベントリに放り込みながら来ちゃったけど、まずかったかな?」

「うーん。どうなんだろ途中で私とリュミエルのレベルが上がってたから、リュミエルとも話してたんだけど、しょうがないんじゃないかな? きっとあの人達なら秘密を守ってくれそうだし?」


「そうか、それなら気にせずにやっていくね」


 最初の食事だからどんな物を食べているのか興味が有ったので、弁当は出さずに用意されるのを待っていた。


 やっぱり……

 これはきついな。


 干し肉をスープでふやかして野菜と煮込んだような料理と、余り柔らかくないパンの簡素な食事だった。


 取り敢えず火は起こしてあったので、俺は今倒した魔物の中から(つの)うさぎの肉を三匹分程取り出し、マリアに渡して塩コショーで焼いてもらう事にした。


 従者の人達がびっくりした様に見てる。


「それってコショーですか? そんな高価な物を惜しげもなく振りかけて……」


 全員にウサギ肉を焼いた物を配り終えた頃に、サンチェスさんが話し掛けて来た。


「マリア、美味しい食事をありがとう。結構テネブルが目立つ行動してるけど大丈夫なのかい? アイテムボックスの事なんかは広まるとそれなりに面倒だよ?」

「隠そうとしても、どうせ何処からかバレるもんだから良いとテネブルは言ってます。この子は猫だし無理に言う事を聞かそうとしたら逃げるだけだから、大丈夫だと思います」


「そうか、マリアがそれでいいなら構わないけど、一応ラビットホーンの連中にはここで知り得た情報は漏らさない様に伝えてあるから安心しなさい」

「はい、ありがとうございます」


「ねぇマリア、チェダーさんとこに行って、ちょっと話をして貰って良いかな?」

「良いよテネブル。どんな話なの?」


「この旅の間に倒した魔物は魔石だけは俺が貰って、後の素材は売った分をマリアとラビットホーンで半分ずつ分けるで良いですか? って聞いて欲しい」

「解ったよ、聞いて来るね」


 マリアが話をして戻って来たけど、チェダーさんは「俺達見てただけで何もしてないし、そもそも今回の護衛料だけで十分高額だ。普通の護衛だと魔物は倒しても、持ち運びなんか出来ないから元々0だからいらない」とか言ってるそうだ。

 まぁそれでも途中の街のギルドで換金したら、ちゃんと分けようと思ったぜ。

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