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04.ダンジョンチラシ

 デイリーミッションは普段のカチュアが毎日必ずやっていることだ。

 だけど乳酸菌飲料を貰ったのはこれが初めて。

 とすれば、これは昨日覚醒したスキルの効果じゃなかろうか?

 ステータスボードの説明文をちゃんと読まなかったのでまったく分からないが。


「そういえば……?」


 昨日、がま口とポイントカードの他に何か紙も拾った。あれには何が書かれていたのだろうか?

 今更カチュアは気になってきた。


「見てみましょう」


 カチュアは玄関入ってすぐのサイドボードに適当に置いたがま口を開いて、『ダンジョンチラシ』を取り出した。



 派手派手なチラシにはスキル【主婦/主夫】をお持ちの方だけの特典です! お見逃しなく! と書かれている。


『毎週金曜日は肉の日! お肉が美味しいモンスターの出現、ドロップ率が大アップ!!』

『毎週水曜日は魚の日! お魚モンスターを捕まえる大チャンス! 魚・甲殻類モンスターの出現、ドロップ率が大アップです! お見逃しなく!』

『4のつく日は、幸運の四葉のクローバーの日、薬草デーです! 指定のポイントで採取すると必ず薬草が採取出来ます。珍しい薬草を手に入れるかも?』

『7の付く日は、モンスターポイント三倍! たくさん貯めて豪華景品を貰っちゃおう』


 などなど。お得情報満載だ。


「あら、そういえば」

 カチュアはモンスターポイントカードを取り出してみた。

「ポイント三倍デーなら、四体モンスターを倒したら10ポイントに届くのねぇ」


 カチュアの息子、エドは学校で流行っているという『スライム帽子』を欲しがっている。

 だけど『スライム帽子』は中級のスライムを倒した時に低確率で落とすドロップアイテムで、そんな『スライム帽子』は市場で買うと1万ゴールドもする。

 カチュアのポーターの一日の日給は五時間働いて、大体5000ゴールドである。


 二日分のポーター代だ。

 さらにエドの分だけならなんとかなっても、

「きっとバーバラも欲しがるわねぇ」

 そう思うと、安易に買ってあげられないカチュアだった。


 ちなみにカチュアは毎日ポーターの仕事をしているわけではない。

 大体一週間に三、四回で、半年働いているから、昨日でちょうど100回くらいだ。


「ああ、だから私、100回ログインだったのね」


 今更納得するカチュアだった。






 ***


 その後も忙しく家事をするカチュアだが、夕食の片付けも終わった後、一息ついたカチュアは食卓で『ダンジョンチラシ』を見ていた。

 明日はポーターの仕事が入っている。


 そして明日は4日。幸運の四葉のクローバーの日、薬草デーなのだ。

 薬草が採取出来るという指定ポイントはダンジョンの四階だった。


 四階はダンジョンの中ではまだまだ下層で、初級ポーターでも立ち入ることが出来るエリアだ。カチュアも何度も行ったことがある。

 指定ポイントの場所も分かっている。花畑になっていて、よく冒険者達も採取に寄る定番スポットである。


 明日、カチュアはそこに行ってみるつもりだ。

 ポーターは荷物運びが仕事なので、当日冒険者が薬草採取はせず、花畑に立ち寄らなかったら無理だが、もし冒険者達が花畑で採取するなら、ついでにカチュアもちょっと採取させてもらうことくらいは可能だ。



「でも本当にあるのかしら?」

 四階のポイントで採取出来る薬草は『マッスル草』という筋力を増強してくれる薬草らしい。本来十階以上の層でしか採取出来ないはずの薬草が本当にあったら……?


 カチュアはちょっとわくわくする。


「お母さん、何を見ているの?」

 エドがやってきて、カチュアの手元をひょいとのぞき込んだ。


「チラシを見てるのよー」

 秘密でも何でもないので、カチュアはそう答えたが、

「…………?」

 エドは怪訝そうに首をかしげた。


 そしてまたカチュアに尋ねる。

「……何見てるの?」

「チラシよ」

「チラシ? 何もないよね……」

「えっ?」

 カチュアは目をぱちくりする。


 こんなにはっきり見ているのに、エドはそう言う。


「……お母さん?」

 何か察したエドが不安そうになる。


「何でもないのよ、さあ、お風呂の時間よ」


 カチュアはチラシを置いて立ち上がり、エドと側にいたバーバラをせき立てた。


 小さな疑問は胸にしまって。


 ――このチラシ、他の人に見えないのかしら?





 ***


 翌日、カチュアは家事のついでにデイリーミッションもこなし、乳酸菌飲料をゲットした。


 とりあえずがま口の中にしまっておき、カチュアはバーバラを保育園に送り届けた後、急いで冒険者ギルドに向かう。

 今日カチュアを雇った冒険者達は、時々カチュアを指名してくれるお得意様パーティだ。

 男女混合の男性も女性も同年代で話しやすい。


「きょうは薬草が欲しいのよ」

 パーティの女性冒険者にそう言われた時は飛び跳ねるくらい嬉しかった。



 早速一行は、ダンジョンの中に入る。

 四階に行き、冒険者達は花畑で採取を始めた。


「あのう」

「何?カチュアさん」

「私も少し、薬草を摘んでもいいですか?」

「もちろんよ、構わないわ」

「でもあまり遠くに行くなよ、カチュアさん」

 男性の冒険者に釘を刺される。

「はい、ありがとうございます」


 お礼を言って、カチュアは冒険者達の目が届く範囲で少し離れた。

 がま口からチラシを取り出し、採取ポイントを探す。


「あった!『マッスル草』だわ!」


 カチュアは薬草を手に入れた!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 見えないチラシを見ている、と言ったママさん 子供たちから見ると「かなり疲れが溜まってるのかな?」とか心配されそう
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