獄潰し ~Aという小説とBという小説~
前書き:多分、読者に対して注意を促すとても大切かつ、はずしてはいけない部分。そういう理由で大切なお知らせ。この小説は作者雨月が見聞ではなく聞いたことのみを参考にして書いたものであり、獄潰しシリーズに出ている時雨、賢治という登場人物たちはある意味看板キャラである。『天道時時雨』というブランドを一時期は持っていたのだがもはや彼の事を覚えている読者が居ることはないであろう……短編小説は単発で……(中略)……ともかく、この小説を笑うことが出来たならばあなたはものすごい人間であるということだ。
Aという小説とBという小説
賢治「ここに実にファンタジーである小説、Aがあるとしようか?」
時雨「ふんふん、それで?」
賢治「まぁ、説明するのが面倒だから作者もAさんとしておくけどね」
時雨「うん、それから?」
賢治「そして、別にこの小説Aを読んだ一人の作者Bさんを出しておこう」
時雨「はぁ……?」
賢治「ここからちょっとややこしくなってしまうかもしれないけど、作者Bさんは作者Aさんの小説を参考にして小説Bを書いた。ま、簡単に言うならば真似て小説を書いたんだ。時代背景、ストーリー、登場人物の性格……そして、誤字脱字のくせまでね」
時雨「最後の奴は真似をしなくていいと思うけど?」
賢治「ま、そこは人それぞれということで……話を戻すけど小説Aはファンタジーな小説だね?そして、それを真似て書いてみた小説Bも勿論、ファンタジーな内容」
時雨「それはまぁ、そうだね。真似て書いて他のジャンルは無理なんじゃないかなぁ?」
賢治「文章能力としては作者Bさんのほうが作者Aさんよりもよかった……しかし、やっぱり似ている箇所が多すぎるという批判なんかも受けてしまう」
時雨「考えられることだね」
賢治「作者Bさんは勿論、そのことを知っている……実際、真似て書いているのは自分だからね。しかし、その批判を無視したというか……よくある設定ということで流したんだ」
時雨「ははぁ、なかなかやるね?」
賢治「そして、気がついてみれば作者Aさんは姿を消してしまった……こうなってしまったらどうなるかわかるかい?」
時雨「オリジナルが消えてしまった今、面白い小説は作者Bさんだけなんだから……」
賢治「そうだね、とりあえず人気になるってわけ。ま、小説を書く人によって自分が小説を書く理由はそれぞれあるからね。多分、小説Aの作者であるAさんにもっと文章能力があったならば未来は変わっていたのかもしれない……僕はそう思うんだ」
時雨「……そっかぁ……そういったこともあるんだね」
賢治「逆の場合もしかりだよ」
時雨「逆?逆って……」
賢治「真似ていないけど、真似ているんじゃないかって誰か一人でも言ったとしよう」
時雨「ふんふん……」
賢治「小説の信用問題に値することだからね。似てないというか、真似た覚えがないけどとりあえず僕が作者だったらあやまるって思う」
時雨「何で?真似していないんでしょ?謝る必要なんてないよね?」
賢治「確かにそうかもしれないけれど、謝るだけで済む場合よりも無視して何か爆弾を抱えるのはよくないと思うんだ」
時雨「爆弾?」
賢治「そう、爆弾。あの作者は猿真似が多い!とか掲示板に書かれてそれが見事に流行……荒れるとやっぱり精神的なダメージを受けるからね。言葉のナイフが心を抉るのさ」
時雨「ま、まぁ……流石にそんなことは起きないんじゃないかな?」
賢治「甘い、甘いよ時雨君……火事はすぐさま火を消して風邪は引き始めが肝心なのさ……打てるときに手は打っておかないと、文字通り後で悔やんで後悔じゃあ、遅すぎるんだよ」
時雨「そ、そうだね……」
賢治「だけどね、この二つの問題には共通点があるんだ」
時雨「共通点?何?」
賢治「どっちも、人気が出なかったら意味がないってこと」
時雨「あ、ああ……そっか」
賢治「赤ん坊が持つ爪楊枝と達人が持つ爪楊枝はぜんぜん違うからね」
時雨「いまいち判り辛い例えだね?」
賢治「ま、もしもこの話を誰かが聞いて何かを思うかもしれない。だけど九割がたそれは自分の中の思い過ごしでそう思う人が多ければ多いほど巷ではこういった話があふれかえっているということなんだよ」
時雨「まぁ、確かにそうかもね」
賢治「いつ、どこから、矢が、槍が、弾丸が……飛んでくるかわからないからね」
時雨「そうだね、僕も気をつけておくよ」
賢治「そう、それが一番だよ」
時雨「で、さぁ……ちょっと気になったことがあるんだけど?」
賢治「何?まだ注意して欲しいの?」
時雨「これってどこらへんで笑えばいいの?」
賢治「それは…………」
時雨「考えて……ないんだ?」
賢治「考えているよ?考えているとも!」
時雨「本当?」
賢治「……次回は『家庭で簡単三分小説』をお送りします♪」
時雨「……それオチ?」
賢治「続けばオチなんて要らない筈さ」
この小説のどこで笑うのだろう?小説を書き終えたアマの小説家である雨月はそう思った。笑えないな…鼻で嗤った後にどうやったらみんなが笑える小説を書くことが出来るのだろうかと一人、ディスプレイ前で考える……が、もちろん答えは出てこない。答えが出ているならば、きっと今頃全世界の人間たちを雨月は笑殺していることだろう。みんなを引かせる小説は書くことが出来るのだが、惹かせる小説は書くことが出来ない小説家、雨月。もう、すごく前に書いていた『時雨くんシリーズ』も他の小説に埋もれてしまって読み返す気力もない、というか、読み返してみてまるで小学生が書いた小説だと実感。ああ、そういえば小説を書き出すきっかけとなった人物は高校一年生のときに出会った一人のオタクだったなぁ……そう、実感する。もし、あの時出会わなければ、自分はこの道を歩いていることはなかっただろう。この世界にもしという言葉が通用しないことを雨月はもちろんしっている。だから、前を向いて歩くしかないのである。隠れオタクだろうと何だろうと、周りにその気があると察知されては居ないのである。ガン○ム?何それ?ははは、ちょっとわからないなぁ……。これでいいのか?と問いかけてくる自分がいるが、いいのである。侍より忍者のほうが好きだから。隠れて過ごす、それが忍者……。もはや、小説となんら関係のない話になっていたことにようやくきづく。おいおい、ここまで読んでくれている心優しい人なんて誰もいないぜぇ?いつものようにため息をつく。ため息をつけば幸せが逃げていくといわれているが……不幸は口から漏れたりしないのだろうか?幸せのみが出て行くというのはちょっと酷な話だろう?年始にひいた大吉のおみくじで全部の運を使い果たしてしまったのかもしれない……もうそろそろバレンタインデーのCMとかあるんだろうなぁ……ええ、もらったとしても義理チョコですよ。ぎりぎり、義理チョコですよ!誰か嗤ってくれ!こんな自分を誰か嗤ってほしい……小説家、雨月はバレンタインデー廃止をここに訴えます……あれ?で、結局どういった話をしていたんだっけ?