7.完璧とはほど遠い
サッカーマンガ好きなのです。
宙を舞うマースデンが墜落するよりはやく、こぼれ球となったタイヤにむかうアントニオ。すばやいトラップから、駆けつけたスピードを殺すことなく、ドリブルにはいると。まだ右肘を尖らせて、背をむけたままのぶたまろの隙を突く!
狙うは、マースデンとは逆のゴール左すみ。
仕掛けは完璧に近かった?
だが、この世に完璧なものがあるとしたら、正義超獣の友情だけ。それ以外は、どちらがより完璧に近いかだけでしかない。
そして、哀しいかな。ぶたまろの防御力はこのピッチ上で、もっとも完璧に近い芸術品だったのだ。
ゴールを確信したはずの、アントニオは困惑していた。
いや、むしろ混乱していたといったほうが正しかろう。
鋭利な衝撃にタイヤごしで貫かれたかとおもえば、さかさまに反転した景色が見える。自分が宙を舞っているのにきづいたのは、ひと足さきにふっ飛ばされたマースデンと眼があったときだった。
虹式背面肘撃は、左右の振り撃ちによる連撃。右肘をマースデンにくらわすと、返す刀で左肘がアントニオを襲い(もちろんタイヤごしに)、かくして2匹の超獣は、仲良くさかさまにお空をというわけだ。
ところが、2度あることは3度あり。ここにもまた、3度目の正直者が! レーシングカー・トリオの最後のひとり、ムーディが詰めている。
ふりむきざまに、タイヤを両手でおさえこもうとするぶたまろ。
だが、どうしたことか?!
「ぐあぁっ!!」
苦悶の表情に顔を歪ませるぶたまろの両肘には、火花が見えるほどの激しいしびれが疾走していた。
必殺シュートで、キーパーぶっ飛ばすのも好き(笑)