5.秘策発動
フットサルとか、したい。
「おいっ。
どう考えても、あのショベルカーみたいな両腕が邪魔なんだよっ!」
アントニオの囁きに、マースデンの長い耳と、ムーディのまるくおおきな耳が揺れる。
(なにを仕掛けてくるつもりか知らないけど……とめるっ!!)
作戦会議を終え、ふたたびピッチに散ってゆく、レーシングカー・トリオを見て、深まるぶたまろの警戒心。
彼のキーパーとしての直感が、これから降りかかるであろう怒涛の攻撃を予知し、激しくドラムを鳴らしていた。
「こいつがラストチャンスだ。
仕掛けるぞ!!」
定位置である、右サイドラインぎわにもどったマースデンは。パスをうけると、今回はクロスをあげるのではなく、ドリブルで斜め鋭角的にゴール前へと切りこんでゆく。
自分の体躯がくぐれるほどタイヤを、みごとに蹴り転がして。数的に勝るはずのキャッスルズの守備も、なんのその。
ついに、最後のディフェンダーも抜き去り、キーパーぶたまろにと迫る。
(右か? 左か??
それとも、ループシュートで上を狙ってくるか???)
うかつにとびだすことを選ばず。どっしりとかまえて、シュートコースとその瞬間を読むことに集中するぶたまろ。
ところがだ。
マースデンからシュートの気配は、白いおそうめんの束に忍ばせた、ピンクの 1本ほども感じられず。あろうことか、ドリブルのまま、突っこんでくるではないか!?
ボール、蹴りたい。