24.衛星
マイナーチェンジで、バリエーションがある技は好きです。
しつこいようだが、いま一度っ!
アイザックの両肩の髑髏が、赤黒く輝くと。ただでさえ美白なアントニオの顔から、たちまち血の気がひいていく。
かつて、おのれの全身の骨を砕いた技だ。怯んでしまうのも無理はあるまい。
恐怖というものは勇気のガラスを曇らせる、いわば霧のようなものだ。纏わりつくのをふりはらっても、その場に足を止めていては、霧を晴らすことなどできないだろう?
そして、アントニオはだれよりもそのことを知っているからこそ——立ち竦むでもなく、逃げるのでもなく、まっこうから立ちむかう!
そうだ。恐怖をふりはらうには、意を決して突っ切るしかないんだ!!
「ふんっ、たいした度胸だなっ!
ならば、こちらも見せてやろう。
52の超獣技その2の3っ、髑髏廻纏弾ォォ!!」
襲いかかる髑髏の彗星をかいくぐって、魔牛に突攻するはらづもりのアントニオだったが、凶弾の軌道が前回とはちがうために、あわててブレーキをかける。
赤黒い衛星たちは、禍々しき巨星、アイザックを中心にして、護るように廻っているではないか。
「せっかく手術がおわったおまえを、また壊したくないんでな。
博士にしたって、まだ3匹ぶんも仕事がのこってるわけだし。騒ぎにきづいた連中が駆けつけるまで、おとなしくしておいてもらうぞ」
これでは突破するどころか、魔牛に近づくことすら叶わない。
もしも、むかってくる軌道の攻撃だったら。接触は、はちあわせる一瞬なので、よけようもあるというもの。けれども、捨て身の覚悟を決めたアントニオだろうと、周廻軌道の弾幕をくぐりぬけるのはとうてい無理である。
しかし、それもこれまでの彼ならばのはなしっ!
「アントニオっ、トルネードだっ!!」
(——博士っ!)
クロップスのことばに目醒めるのは、誕まれ変わったアントニオの新しい力。
だが、白き機体に秘められた26の秘密が解き明かされるのは、まださきのことだ。
これから垣間見せるのはただ、その片鱗にすぎない。
イメージはあっても、絵におこすのはたいへん(汗)