22.洗脳
悪の組織、洗脳好きですね。
ベッドにベルトで拘束されたアントニオの背中には、鎧のしたからコウモリの羽がのびていた。
手術によって植えつけられたそれを見て、じぶんとおそろいだと気分をよくしかけたアイザックだったが、すぐにその表情がふてくされることになる。
「おいっ!
こいつのしっぽはどうゆうわけだ?!」
羽とならんで、悪魔超獣のトレードマークである、スペード型のしっぽ。
なのに、アントニオのキュートなおしりからはえているのは、まるっこいパンダのしっぽのままではないか。
「あれだけこいつの骨をばらばらにした本人が、よくゆってくれるものだな。
無傷なら、ずっと楽だったものを。
骨格を組み立てなおして、運動系に異常が出ないように再構築したんだぞ」
だんだん、魔牛のあつかいにもなれてきたのか。
怒りをあらわにするアイザックをなだめるクロップス。
「たかだかしっぽの1本とはいえ、もとあるほうをわざわざ切りおとさなきゃならないのでな。
負担を考えれば、せめてこれくらい、洗脳がすんでからでもよかろう?」
そう言われてしまうと。けっしておもしろくはないものの、納得せざるのをえないのも承知の魔牛。可哀想(?)に、おやつどきの朝顔みたいに、しょんぼりしてしまった。
ひきさがるアイザックに、博士はひそかにため息ひとつ。
(そうだ。せめて、しっぽくらいは……)
可愛い寝顔のアントニオに、ステレオからのびるヘッドフォンがはめられる。音密性が高く、音漏れしない最高級品だ。
再生ボタンを押せば、はじまる、密閉された轟音の洗礼。
異形の戦士として、変貌をとげる機体が。びくんっ、びくんっと、脈打つように跳ねあがる。
さあ、今度は魂まで変わり果ててしまうがいい。
睡眠学習?