17.4つの被験体
衝撃!
ひとつめのカプセルにはコアラ。とんがった耳と、まぶたを閉じていてもわかる、やんちゃそうな目つき。可愛らしい顔をしているが、その手足に備えた大きな鉤爪が、血染めにふるわれることをおもうと寒気がする。
ふたつめのカプセルには猫。知的をとおりこして、むしろ意地悪そうな顔だちが、これまたキュートだが。基本性能は、とくに武闘派というわけでもなさそうだ。
そして、みっつめとよっつめのカプセルを目にしたとき。我々は運命の、その残酷さに絶句する。そこには、双子のように仲良く眠る白と黒のパンダ——アントニオとリチャードの姿があったのだから。
場所はかわって隣人パーク。タイヤサッカー超獣杯、決勝戦は不穏な空気が充満していた。
絢爛レジェンズ、日輪ホイールズの両チームとも、エース・ストライカーが会場入りしていないのだから、無理もあるまい。
チームメイトの動揺に、観客たちのブーイングが拍車をかける。
けっきょく、寝坊だろうとゆうことで。定刻どおりに試合は開始されたのだが、なんとも目を覆いたくなるほどのワンサイド・ゲーム。
リチャード不在を感じさせない選手層を誇り、超獣強度の高い残虐超獣たちを主力にすえたレジェンズに対して、レーシングカー・トリオの一角を失ったホイールズは、あまりにも無力。
(アントニオっ!
おまえともあろうものが、目醒まし時計をかけ忘れただなんてっ!?)
彼が駆けつけてくれたらと願う、マースデンとムーディの想いも虚しく、スコアボードには非情な現実が刻まれていく。
ちなみに、アントニオがいてもかないませんでした。
……一矢、報いることくらいなら。