表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/30

14.クロップス

 ()いておいて、心が痛みます。

 彗星(すいせい)と流星では、その威力もバズーカ砲と散弾銃。直撃をくらって気を失ったものの、リチャードのケガは軽いようだ。

 なるべく無傷で連れ帰りたかったのであろう。手加減するのも楽じゃないとばかりに、気怠いため息をひとつつくと、アイザックは彼を抱えあげた。

 ひと仕事終えたはずの魔牛であったが、浮かんだ「やれやれだな」といった表情は、すでに消えている。

 何故(なぜ)なら、アイザックにはまだ、もうひとりの標的(ターゲット)が残っていたのだから。



 悪魔超獣と残虐超獣をまとめて、悪辣(あくらつ)超獣と称することがある。対義語として善良超獣という概念があるが、こちらが総じるのは正義超獣と天使超獣。

 さて、この悪辣(あくらつ)超獣たちというのは、悪の秘密結社とやらを設立するのが大好きな連中で、この邪悪な民俗舞踊イーヴル・フォークダンスもそのひとつ。

 組織を構成する六部族の一角である、つの部族の前線基地、つの天閣。その一室にとある超獣がいた。


 研究室と手術室と鍛冶場を詰めこんだような。手術台のベッドに薬品棚、大量の機材に、なんと()まであるではないか。

 趣味的と呼ぶにも、あまりにも巨大すぎるスピーカーからは——しばしば、クラシックをかけながら執刀する外科医がいるように——ヘヴィ・メタルの重厚なギター・リフが、大音量で刻み続けられていた。

 多機能ということばでも不充分なこのラボの所有者は、やはり常人ならざる頭脳と肉体のもちぬしにちがいない。(きた)えおわったプロテクターの強度を測定する彼は、博士であり、鍛冶屋であり、デザイナーでさえあった。

 鼻っ柱に立派なつのをもつ、(ひと)()のサイ = クロップス。


 孤高の天才が苦悩と恍惚のうちに()み出すのは、芸術にも似た、狂気じみた凶器。



※ 部族:「部活のような、家族のようなフレンドリーな共同体」を意味します



挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

 出ました、博士!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 博士、ドヤ顔がキマってまつぬ♪w
[良い点]  クロップス博士登場ですね!  苦悩…博士が苦悩しているところはあまり想像がつきませんね。  デザインも悩まず決めそうなイメージです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ