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嘘笑い

作者: 秋乃しん

凄く短く、僕の伝えたいことを詰め込みました。


           『 僕 』


  「人を忘れた奴らが大嫌い」


「悩み事を聞いてやる」そう言ってくれたお前にどうしようもないことを言ってみる。


「わかるよ。俺も人が嫌いだよ」


「黙れよ、お前も同じ人だろ」


「えぇ。それ酷くね?」


悩み話を当たり前にも、聴く側として合わせてくれたお前の言葉を裏切る。別に反抗期じゃないし、批判的な意見がかっこいいと思っているわけでもない。ただ、僕は人の弱さと汚さと本能を、そんな人間的本能を誤魔化す為の言葉も共感も綺麗事も。それが嫌いなだけ。

忘れてしまう人達が嫌いなだけ。


 「僕の考えがわからないならいいよ」


「いや、話せよ。安心しろよ、今度は無理に共感しないから。ただお前の、その間違えてるとは言えない考えってやつ、ぶった切ってやるからさ」


指の関節を鳴らしながら、楽しげにそう言うお前は、僕が何よりも求めた、僕と言う思考の敵役になってくれた。


          『 思考 』


 人って言うのは自分の為になる事しかしない生き物なんだよ。例えばさ、誰かを喜ばせようとするだろう?そんな時働くものは、お前ら人が勝手に決めた[優しさ]なんて言う言葉だ。

だけど、その優しさは僕から言わせれば偽りだ。

だってさ、「優しくしろ」って、そんな事、誰が頼んだ?勝手に[優しい]を求めたのはお前らで[優しい]と言う満足感に浸りたいだけだろう?

褒められたいが為。「俺は優しい」そんな世間的に生きられているという証が欲しいだけだ。

ただの傲慢なものだ。

自分の欲を隠して、世間的に認められる欲を表に出しているだけ。そしてなによりも、[優しい]なんて言葉を、そう正当化させたのもお前ら人だ。

いや、いいんだよ別に。それが平和一番平和で、「愛」なんて言葉に筋を通せる理由なんだから。そんな世界にしてくれているならいいんだ。それ以上なこともない。それに僕だってそんな世界に甘えて、助けられて生きてきたんだから。偽って生きてきたんだ。

1人じゃ生きられないから。


『偽りで完結した世界だ』


だけど、お前らはそんな根本的な人間的な者を忘れてしまったんだ。人の本能も弱さも汚さも。

人が勝手に決めた綺麗な言葉、思考、定義、理性によって。

都合のいい事ばかりを残してしまった。世間に認められない人も、自分の本心も殺してしまった。

優しくすることも共感することも泣くことも笑うことも愛することも怒ることもぜんぶ。

それを人の為になんて言うなよ。


人が決めた定義に沿って生きることを人の為だなんて思うな。


お前らはこの世界で誰の為に生きてるんだ。


それを忘れちゃいけないだろ。


          『 嘘笑い 』


 「こんな感じだよ」


他人からすれば、僕の勝手な価値観の中で終わる話であり、故に僕以外の人には意味のわからないだろう話だ。そんな話を終えると、眉間に皺を寄せたお前は少し悩んだ末に、不気味に笑った。


「お前は間違ってねーよ、でも反撃するぜ?」


そう言って態とらしく、息をゆっくり大きく吸い出した。


「…っ」


そんなお前の反撃に、態とらしくも面白く身構えてみる。


「世界を!人を!そんな風に見てるお前が、他の誰でもなく俺を親友だと思ってくれてて俺はめちゃくちゃ嬉しいぜ!」


にひっ!


白い歯をいっぱいに、無理やりにも見せつけたお前。そんな、漫画のような嘘笑いをつくる親友を見て、その親友の声を聴いて。僕は自分の緩む口元を我慢することなく、真似して笑って見せた。


にひぃ!

世界は綺麗だ

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― 新着の感想 ―
[一言] 共感出来るとは言えないけれど 拒絶するなんて言うことでもない 世界がそんなふうに見えていることだってある たった一人でも、 それでいいじゃんって言ってもらえる人がいるなら それでいいじゃん…
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