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準備

 いくら月の女神の如き美しさと称えられたセレスティアであっても、今や中身は前世を思い出してしまったわたし。雰囲気も話す時の声も違う。お陰でオーラも強キャラ感も、すっかり消え去ってしまった。


 流石わたし。自分の性格はお淑やかと言えば聞こえは良いが、地味でアウトドアより断然インドア派。

 休日は引きこもってアニメ、漫画、ゲームを中心とした日々。

 ただしギャグアニメは大好きだったりと、楽しい事は好き。

 エネルギーが外より内に向くのである。

 周りの声優は明るく、外で遊ぶのが好きな人々も多かったのでこれは職業は関係なく、わたしの元々の性格。


 そんな気弱な自分は、一時的な演技なら大いに自信があるが、日常的に元のセレスティアを演じるとなると確実にボロが出る。

 そもそもセレスティアボイスは地声ではなかったので、日常的に出すのは厳しい。


 地味で根暗なわたしが王太子妃に選ばれるなんて有り得ないし、はっきりいって目立つ事が好きではない。

 声優となればイベントだったり歌ったりと、何かと目立つ事をしなければいけなかったが、それは目立ちたくてしたかった訳ではない。


『演技が好きだったから』これにつきる。

 沢山の苦手を克服すれば、演技をさせて貰え、素晴らしい作品への参加権が与えられる。作品の一部に自分がなれる、何という素晴らしいご褒美だ。


 それに対し王太子妃とかいう、何のご褒美も楽しみもなければ、わたしに得をもたらさない立場なんてごめん被りたい。


 高熱で寝込んで以降、ドレスや髪型の好みがガラリと変わったセレスティア。

 そんなわたしの本日の予定は、王宮で開かれるフレデリック殿下とのお茶会である。


 たった今侍女達の手によって髪を整えられたりと、支度を終えた。

 ぱっつんに切り揃えられた前髪。後頭部は控えめな青のリボンが、艶やかな銀糸の髪に飾られる。

 鏡に映る姿はどうみても気の強い氷の美女ではなく、容姿が可憐な事以外、特に印象のない令嬢だ。


 普通の仕上がりに満足した私は、侍女が後ろにいる事も気にせずほくそ笑む。


 ──よし、これで……これで王子の婚約者に選ばれる、強キャラで有能な令嬢には見えない筈よ。

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