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家族との晩餐

 使用人に晩餐の用意が出来たと知らされ、向かう事にした。

 ダイニングに入ると、既に家族は食卓の席に着いていた。


 通常の晩餐を食べられるか心配されたが、数日間寝たきりで何も食べてなかった上、昼食は病人にも優しい軽食。

 今のわたしの胃袋は、食べる事を求めている。



 晩餐は前菜から始まって、クリームソースと彩の野菜が添えられた、ヒラメのグリエや肉料理が順に運ばれる。


 残してもいいから少しでも食べなさい、と出された食事だが、私は元気に全て平らげた。

 これには家族も驚いていたようで、お父様も安堵の笑顔で話しかけてきた。


「食欲も戻ったようで安心したよ。これで再来週のフレデリック殿下との交友会にも、無事出席出来るね」

「げっ」

「どうしたの、セレス?」


 令嬢らしからぬ一声にすぐに反応したのは、鮮やかな赤髪に、アメジストの瞳の匂い立つような美女。ジュリア・フォン・スフォルツィア公爵夫人ことお母様が訝しげに尋ねてきた。


「いえ、何でもありませんわ」


 出来るだけ平静を装って返答した。

 台本上の演技は出来ても、日常的に咄嗟に取り繕うことは苦手である。


 お茶とデザートを完食してから、食後用の飲み薬を渡されたので、出された水と共に流し込んだ。



 私室に戻ると、私の脳内は再び作戦会議が開始される。


 そういえば、自分の知る『エリュシオンの翼』のストーリーは、無数のエンディングの中の一部。

 アニメの脚本は真エンディングに近いルートがシナリオとして選ばれたものの、大分端折られていたらしい。アニメとはそういうものだ。

 ゲーム一本分をアニメのワンクールに収めるのは中々難しく、特にキャラクターそれぞれにエンディングがあり、真ルート、裏ルート、隠しキャラなど複数のエンディングが存在するとなると、作品を表現しきれないのは仕方がない。


 当然セレスティアの役が決まって直ぐに自分でもこのゲーム『エリュシオンの翼』をプレイはしてみたが、攻略したのは一人のみ。

 しかもそれはフレデリックではない。


 生前の微かな記憶によると、真エンディングやフレデリックルートだとセレスティアは途中行方不明になるらしい。酷くない?


 アニメは真エンディングルートが放送されたが、尺の問題で気付けばセレスティアは、知らないうちにフェードアウトさせられていた。酷すぎない?


 どういった経緯でセレスティアは、ヒロインから婚約者を奪われるのか検討もつかない。もしかしたら生前の自分なら、知っていた可能性もあるが覚えていない。前世の記憶は曖昧な部分も多く『エリュシオンの翼』は受けた仕事の一つに過ぎない。


 そこでわたしが考えた未来に向けての作戦は「最初から婚約しなければいい」というもの。


 その後、体調に変化が見られなかったと判断されたため、夜はゆっくりとお風呂に入る事が出来た。

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