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お呼ばれ②

「このお料理は、何で頂くのがいいのかしら?」

「塩などが主流なのですが、この国の方々なら何に付けて召し上がって頂くのが良いか、今後研究しなくてはいけませんね。

 それに塩とは別に、天つゆという専用のつけ汁のような物も、作り出せればいいのですが……」


 色々と思案しているエリカさんの話を聞きながら、わたしは天麩羅を頂くためにカトラリーを手にした。


 かき揚げをナイフとフォークで切り分けながらふと思う。かき揚げほどのボリュームのある物を、箸を使って齧り付くなんて、口周りが汚れそう。箸だと逆に食べ辛いのではないだろうか?前世なら全く気にならなかった事が、妙に気になり始めてきた。


 今となっては何を食べるにしても、ナイフとフォークの方が断然食べやすいに決まっていると思うまでになっている。

 殻付きの海老料理や海老の香草焼きなどを食べる際も、ナイフとフォークさえあれば手が汚れず、楽においしく食べる事が出来る。


 しかし──


 塩をまぶしたサクサクのかき揚げを一口食べた瞬間。わたしは無性に白ご飯を欲した。


 前世わたしは一人暮らしの時、家では丼物を食べる事が多かった。

 洗い物も少なくてすむし、何よりガッツリした料理が好きだった。


 そして、丼といえば箸である。

 お米と肉といった牛丼、豚丼しかり。お米と天麩羅の天丼、かき揚げ丼をフォークで食べて美味しい訳がない。断然丼は箸が至高である。


 先程まで箸よりもナイフとフォークの方が食べやすいと、宣っていた同じ人間とは思えぬ、自分でも驚きの高速掌返しだった。


「サクサクしていて、とても美味しいわっ」

「お口に合いましたでしょうか!?」

「えぇ、とっても」

「良かった、実はこの国の方々の味覚に合う日本料理を思案している最中なのです!セレスティア様にそう言って頂けるととても参考になります!」


 和食なら大抵の物が大好きである、元生粋の日本人であるわたしの意見が、本当に参考になるのだろうか?申し訳なくなっていた。


 代わりに。和食を試食するエリュシオン人代表みたいな立ち位置にされているみたいなので、真剣に意見を述べる事にした。

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