表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/46

約束②

「そうだ!今度セレスティア様をダンドリュー家のお屋敷に、ご招待させて頂きたいと思っているのです。わたしの故郷の料理を振舞ってお持て成しさせて頂きたいのです!

「まあ、故郷のお料理……

「以前お話しさせて頂いた卵焼きなどです!」

「美味しそう。食べてみたいわ……」

「今度お作り致しますよ!」

「ほ、本当?」

「はい!」


 ──あの懐かしい卵焼きが食べられるというの……?


「でも、伯爵夫妻にご迷惑ではないかしら?」

「仲のいい学友が出来れば、是非屋敷に招待するようにと言われております。仲の良い学友を招くのは、社交を学ぶ一貫としてとても理にかなっているようでして」


 確かに、今後社交が必要となってくる事もあるだろう。最初に仲の良い学友で練習するのは、とてもいい案だと思った。


「お、お養父様とお養母様に、セレスティア様のお名前を出してみたら、大変驚かれてしまいました。まさか最初に招待したい方が、国の名門貴族のご令嬢セレスティア様とはって」


 陛下から、エリカさんを預けられた程の信頼を寄せられているダンドリュー夫妻と交流を持つのは、我が公爵家からしても悪い話ではない。


「伯爵夫妻は、とても貴女の事を考えていらっしゃるのね。食事のマナーの上達も眼を見張るものがあるし、養子先をダンドリュー家にお決めになられた陛下のご英断には感服する思いです」

「はい、ご夫妻はとても親切にして下さいます。

 それと毎日出して頂いているお料理も、とても美味しくて、感謝しても仕切れない程です。ですが今まで自炊して生きていたわたしとしては、たまには自分で作って故郷の味を再現したいと思いました。

 私の生まれ育った環境にも親身に耳を傾けて下さり、料理が趣味だというわたしの事も理解して下さりました。たまに厨房に入って、料理を振る舞うことを許可して下さったのです」

「そうだったの」

「最初こちらの厨房は使い慣れた自国の台所とは、ずいぶん使い勝手が違ったりして戸惑いましたが、料理人の方々に使い方を教わりました」


 急に元の世界からこの異世界へと飛ばされ『エリカ』としての人生を強いられているエリカさんだが、基盤を築きつつある彼女を応援したい気持ちがより強くなった。


「社交の練習だけど、お茶会とかではなくていいの?」

「あ……」

「お茶会はその次という事にしましょうか」


 わたしはクスリと微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ