入学式
そして王立学園の入学と共に、いよいよヒロインのエリカが現れるかもしれない。
この世界はエリカをヒロインとして、攻略対象の異性と恋愛をするゲーム『エリュシオン の翼』と酷似しているのだから。
今は現れるのかもしれないし、現れないかもしれないとしか言えない。
わたしは預言者ではないのだから、未来の事までは分からず、断言出来ない。
もしエリカがこの世界に現れて、学園に入学すればゲーム同様、攻略対象者はやはり自然と彼女に惹かれていくのだろうか。
それとも現実を生きる彼らは、ゲームに左右されずに自分の意思で未来を選ぶのか。
そもそも「モテる」とは何だろう?
異性を惹きつける容姿と、モテる技を会得している事はイコールではない。
不倫相手が妻よりも大分劣った容姿をしていたり、若くて美しい妻がいながら大分歳上かつ、容姿もいまいちな女性と不倫したりする事例はとても多いと聞く。
若くて可愛い女性が人気と思いきや、不倫相手となると別なのだろうか?
そしてそのような女性達は、どのようにしてモテているのだろうか?
彼氏いない歴がそのまま年齢だったわたしでは知る由もない。
ちなみに自分の姿がメディアに出れば、ネットで可愛いという声は必ず上がっていた。なのに彼氏は出来た事がなかった。つまり本気でモテない。そういう事だ。
そんなわたしだが、実はある程度売れれば、いつか自分も恋愛してみるのもいいかも。と思ってもいたが、ある程度も売れなかった。つまりそういう事だ。
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入学式の日だけは、両親と共に学園へと向かう。
わたし達親子を乗せた馬車が学園敷地内へと入っていく。校舎である建物の中央には、印象的な大きな薔薇窓が輝いている。
馬車を降りると本日は教室には行かず、ホールへと向かう。
祝いの花で飾られたこの大きなホールには、年に何度か舞踏会など、催しが開かれる。
中では既に新入生の多くが集まっていた。
王都に住む貴族の子女は、入学を義務付けられているとあって新入生、上級生に関わらず顔見知りも多い。
式は恙無く進行していき、途中フレデリック殿下が読み上げる新入生の挨拶などもあった。
挙動不審にならないように気を付けつつ、生徒達の中から『エリュシオンの翼』のヒロイン、エリカらしき人物はいないか、何度も探した。けれど見当たらず、結局その日エリカを見つける事は叶わなかった。