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 二度目のあれー?だ

 連れていかれた

 乗せられた

 公爵家の馬車に

 

 どうしてこうなった

 さっきまではトイレの個室

 今は公爵家の馬車の中、そして座席は公爵令息

 シートベルトは勿論公爵令息の腕だ

 私も随分この短期間に出世したものだ

 ねぇおかしくない?

 私、公爵令息の膝に抱えられて座ってるんだけど

 幼児みたいに足なんてブラーンとしてるし…………逃げられないし

 

 気を使って遠回しにお茶会へ戻れと告げた私だったが

 「挨拶はしたからもうよいのです。そんなことより貴方が心配だ」

 綺麗な顔に優しく微笑みを浮かべて王族をそんなこと扱いする公爵令息は又私を姫抱っこしようとする

 抵抗を試みたが軽く否された

 いつの間に呼んだのか馬車はホールの出入り口で待っていた

 そして今にいたる

 

 今は大人しく膝の上にいる私

 抵抗はした

 シートベルトに防がれて駄目だった

 恥ずかしいから降ろして欲しいとお願いしたら

 「体調が悪くて会場を出ようとしたんですよね?」

 「はい………」

 今さら嘘だとは言えません

 「馬車は揺れます。振動が更に体調を悪くしてしまいます。私の上ですと振動は軽減され僅かな揺れで済みます。大人しく座っていましょうね」

 目元と口元を三日月に変えて笑う令息

 目の中は笑っていません

 仮病ですと言えない私

 反論など出来るはずありません

 中身アラサーな私は少年の膝の上

 嘘を付いた罰でしょうか

 それともご褒美でしょうか

 ところで私、こんなに親切な公爵令息の名前覚えてないんだけど……ど、どうしよう……もう一度名前聞いたら失礼だよね……………

 膝の上でモンモンします

 主に自分の海馬に

 「ぁっあの………すみません………なっ名前を……もう一度、お聞きしても宜しいですか?……すみません、苦手なもので………覚えられないんです……………す、すいません!」

 何度も謝る私に令息は優しく微笑んでくれた

 申し訳なさ過ぎて土下座したくなる

 名刺とかあればいいのにね

 名前が分からないとお礼も出来ない

 「クククッ正直者ですね。益々面白い、私の名前はフッフフフフッ」

 「ヒャッ……ファ……ンン………ヤッ………」

 耳元に息を掛けられくすぐったい

 「クルーヒルズ・デェアビタス」

 「うにぁうう……クニューヒヒッ!」

 息を楽しげに私の耳に吹き掛ける令息は上機嫌で喉を鳴らす

 「クフフフフフフッそうです。クルーヒルズですよ」

 「ヤッ……ヤメテ………くだ…さい……」

 「これは罰です。名前を覚えない貴方への。もう一度言いますよ。私の名はクルーヒルズ・デェアビタス。クルーとお呼び下さい」

 涙目になる私をうっとり見詰めるクルーに背筋に冷たいものが走る

 やっぱり怖いよぉぉぉぉぉぉぉぉ


 


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