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カシュペリド  作者: namakemono
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1-5

目を開けると丁度朝日が出始めた頃なのを確認出来た、抱きついていた奴を起こさないように手を離し家の中に食料が無いか確認する、どうやら村長の家と言っても良いぐらいには少し贅沢をしていたらしい、ワインと燻製肉の塊を取り出し小型の氷を敷き詰めている冷蔵庫からチーズと豆を引き出した後に燻製肉を一口サイズにする為に台所にあるナイフで切る、豆は鉄製の鍋にいれ火を起こし少し炙る。

手を少し上げて指輪に話しかける。

「この豆は炙れば良い?」

『あー……丁度良かった、何か口にしたかった所だ」

指輪を外し封印を解除する、少し回復しきっていないのか顔色が少し悪い。

「調子は?」

「完全には行けてない、後少しマシな魔力を寄越してくれたら完全に修復出来た」

「大きな村だから結構な量取れた筈ですよ?魂まで魔力化させて吸い取ったのですから」

「後は味が最悪だ、なんだあの味」

「『司狂』(アルファド)その体は正直どうなんです?」

「『時狂』(クシェル)自体はどうなんだ?」

「私は上々ですね、素体が良くて適正もありますからね」

「同じだな、それにしてもいつから目が覚めてた?」

「兄様と接触した辺りから少しずつ記憶が戻って、今回の村人から直接魔力吸収して完全に戻りました」

「それも同じか、どうやら禁忌書(我々)を生み出したのはなんとも言える事が出来ない存在のようだ」

喋っていると炙り終えたので皿に移しテーブルに置き、チーズを小分けに切り分けた後、少しずつ摘みながら思い返す。

あの黒い光を体に入れた後からどうやら一体化し始めており、解読していくたびに記憶が入り込んで完全に定着したらしい。

大元のクシェルの性格や考え方などは少し残っているが、上手く一体化出来たので良しとする。

「それにしても『司狂』良くあんな所にいれましたね?」

「色々と都合が良かったのもあるが昔と違う魔術回路を研究する期間が必要だった、途中で『時狂』が来るとは思わなかったがその時は寝ぼけている状態に近かった感じだ」

「私の場合は起きてすらいませんでしたから仕方ないですね」

切り分けた燻製肉の最後を口に放り込む。

「それにしても、やっと味が分かり始めましたよ『司狂』」

その言葉を聞きながらワインを飲んでいたアルファドは飲み終えグラスを置くと返事を返す。

「兄様って呼んでくれないか?『時狂』案外お前から言われると悪い気分がしないな、クシェル」

その言葉を聞いて呆れながらも話しかける

「兄様、そっちは味を感じますか?」

「いや、同じく微妙、なんとも表現しずらいな」

そうどうでも良い会話を繰り返しながら外を見ると完全に明るくなっていたらしく、寝室から気配が動くのを感じ席を立つと台所に向かう。

「あぁ、あの子供が起きたのか…あれをどうするつもりなんだ?」

少し冷える朝のようだからシチューを作る事にして、作業している手を止めずに答える。

「『狂存』の器に使います」

「あぁ……あいつのか、待て、まさか寝ていなかったのか?あいつ」

「そのようですね、酷く生物……人間に辟易してましたよ、まぁ人間の体を器にするのは皮肉ですけど」

そうこう話していると姿が見えたので声をかける。

「おはよう、良く寝れた?」

「ん…おはようございます……?その人は誰ですか?」

寝ぼけているのか目を擦りながらアルファドに近づき良く見ようとしている。

「わぁ?!」

「ふむ、名前は?」

「え?え?」

「その人私の兄だから安心して良い」

少し何がなんだか分からずに困惑しながらも返事をした。

「ハリソン・カーターです……偽名ですけど…」

「本当の名前は?教えないと床に埋まる事になるよ」

「ヒェ、ケニー・カーターです…女みたいな名前で騙してました」

まぁどうでも良い理由だと思いながらシチューが出来上がるのを待ちながら適度に鍋をかき混ぜながら、ケニーを膝の上に乗せて微笑むアルファドを殴りたくなる感情を我慢し、これからどうするか考える事にした。


とりあえず約2時間綿密に予定を組み立て『予知』を使いある程度のシュミレーションを行い一応5通りの行く末を確認したので早速行動に移る。

「ケニー、今から殺すけど死ぬ訳じゃないから安心してね」

「え」

体が硬直する前にケニーの胸に腕を貫通して心臓を掴み頭の中にある禁忌書の黒い光を心臓に纏わせた後はアルファドに修復を任せて(物凄く面倒くさそうにしていたが)シチューを作っているのを思い出し、冷えているシチューを温めなおしてケニーが起きるまで別の物を作る為に村中から食材を必要な程度に拝借する。

「おい、貴重な魔力がどんどん吸われているんだが、あいつどこまで耐え忍んでいたんだ…」

「さあ?私にはそこまで興味がありませんね」

「それをあいつの前で言うなよ、うるさくなるからな」

「それぐらいわかってますよ、兄様」

正直な所、私が修復したらいいだけの話だが、こっちの方が都合がいいのでお茶を二人で飲みながら修復されていっているケニーを見ながら少しため息をして家に置いてあった本を読み時間を潰す事にした。

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