6話 『終焉ノ迷宮』突入前
ついに、主人公に仲間(美少女)が·····
ダンジョン攻略の為に、シルファーの元から出発した紫炎達は現在戦闘中である。
『マスター、右側から、敵対反応を感知しました』
黒煉が、敵対反応を感知し、それを紫炎に伝え、紫炎が黒煉を使ってそれを切り捨てる。
「『黒煉』まだ敵はいるか?」
『いえ、そのような反応はもうありません』
このような作業とも言える魔物退治を実に三時間行った。理由としてはレベル上げである。
何故レベルを上げる必要があるのかと言うと、今回挑むダンジョンに問題があるからだ。
今回、シルファーに攻略してこいと言われた、ダンジョン『終焉ノ迷宮』は、最難関を誇るダンジョンだ。
ダンジョンとは、魔素の溜まり場である。そして、各ダンジョンには、ボスと呼ばれる魔物がいる。
魔物が生まれる原因は、魔素である。無から臓器などを生まれ、最終的に魔物という生物になる。それを、最初に行ったのは、大昔のある男性だ。ここまでは以前説明しただろう。
では、その時に生まれた、知性在りし魔物は、何処へ行ったか? 答えは、ダンジョンという魔素の溜まり場だ。
知性と、理性を兼ね備えた魔物達は、欲望のままに暴れ回る魔物のせいで、人に追われることになった。
ならばと、自分を守る為に魔素が溜まる場所に建築物を築き、そこに居座った。そして、魔物を生成したのだ。
もちろん、人間が作ったものでは無いから、そこに理性や知性は無い。が、親に等しい、知性在りし魔物を襲うことはしない。
自分の防衛が為に魔物を生成し、そこに居座る。まるで王のように、それらを総称し人は、ダンジョンマスター、或いはボスと呼ぶのだ。
そして、シルファーが紫炎にやれと言ったのは攻略。そうボスの撃破である。
攻略は、ボスを倒さねばならないのだ。言えば、ダンジョンの機能停止を攻略と呼ぶ。
そして、この『終焉ノ迷宮』だが、今まで、数多くの冒険者を、ことごとく死へと追い込んだ最難関のダンジョンだ。
そんなダンジョンに挑めと言うのだ。多少のレベル上げは必須、と言うか足りないぐらいである。
そして、今、現在の紫炎のステータスは、
黒井 紫炎 16歳
職業 勇者?
称号 転移者 絶望シタ者 理不尽ヲ憎ミシ者 魔王ノ弟子
レベル15
攻撃 45000
防御 30000
抵抗 2250
魔攻力 2250
魔力量 150
能力 絶望 魔王(未継承)
となった。
(とりあえず、慢心せずにやっていくか)
そうこうしている間に、ダンジョン『終焉ノ迷宮』に到着した。
「なかなかにでかいダンジョンだな」
そう言って見上げると城がある。『終焉ノ迷宮』と言うから、迷宮つまり迷路みたいな物を想像したのだが、全く違う立派な城。
全体的に黒で統一され、所々白で装飾されていて、この森に合っている外装になっている。非常にカッコイイ。
『このダンジョンは、レベルが非常に高く、私を持っていても安易に攻略できると思わないでくださいね?』
『黒煉』が、城に見とれている紫炎に、釘を刺す。
「あぁ、分かっている。だが、しかし困った。俺は剣術なんて教えて貰っていないし、当然刀なんて振れる訳では無い。せめてもう一人ぐらい仲間が欲しいところだ」
このダンジョンは、最難関と説明したが、本当に危険なダンジョンなのだ。それは、紫炎も分かっていることで、
(確か、勇者ですら、攻略は不可能だと、シルファーが言っていたな)
そう、勇者ですら、攻略が不可能だったのだ。
もちろん、称号での勇者ですらだ。
そんなもん、どうやって攻略するんだ? という話だが、結局根性論である。
"やれば出来る!"そう信じ込むぐらいしか道はない。が、この男·····紫炎は違う。
(とりあえず、このダンジョン攻略して、あのクソシルファーを、見返してやるか)
そう、常人的な思考はもはや彼には存在しないのだ。やるか、やられるかの勝負。それは、紫炎が最も理解している話だ。
"弱者が地に這いずり、強者が天に立つ"
これは、紫炎が大臣や修行から学んだこの世界で生きる為の掟、いちいち、他人に情を移したらキリがない。であれば弱者は捨ておくのだ。
それが、この世界の常識、人の命が酷く軽いこの世界で生きる為に自身が定めた掟。
だからと言って、人としての定義と言うものを忘れてはいないのだが·····
とりあえず、今、紫炎は仲間が欲しいのだ。
(こんな所に、一人で行っても良いが、さすがにそれは死んじまうからな。まぁ、ここで、異世界で望むのは、美少女な仲間だが、そんなもんいないしな·····)
そもそも、最初から仲間なんて居ないと、そんな存在は無いのだと分かっている上での囁きであったのだが、
『なるほど、マスターは、仲間が欲しいわけですか、ならば不本意ですが、私が力になりましょう』
『黒煉』がそこに待ったをかけた。
変わらない、可愛らしい声が脳内に響き、急に、刀が発光し始める。淡い光でシルエットとなった細長く、鋭い切っ先があった刀が、人の体へと徐々に変化し始める。最高潮の輝きを終え、
そこには、髪は綺麗な黒色で肩の所で揃っている。目は、綺麗なルビーを思わせる程真紅の光を放ち、服装は、蝶が描かれた着物を着ている。顔立ちは、少し幼さを感じさせているが、非常に整っている。背丈は、紫炎より2、30cm小さい、紫炎の身長が、約170cmなので、140から、150cmぐらいだろうか?
胸は絶壁ではないが少し膨らみを感じさせる程度の少女が立っていた。
そんな黒煉に少し疲れた様子を含ませる声音で、紫炎が囁かな不満を呟く。
「なぁ、黒煉これができるなら、なるべく早くなって欲しかったんだけど」
実際、早くこの姿に黒煉がなっていた場合、スムーズに魔物退治が出来た。
「すみません、この姿になるには、自分が認めた真の主様じゃないと見せられないので無理でございました」
「じゃあ、俺を真の主だと認めたのか?」
「いいえ、まだ認めかねています。今回この姿を見せる時、不本意だと先程申したでしょう」
どうやら、まだ真の主とはまだ認めてないらしい。実際、紫炎の性格には難があるから、それは正しいと言える判断である。
「分かった。なら、これから決めてくれ·····それよりもだ。お前のステータスを知りたい」
「でしたら、主従契約で確認するのが、よろしいかと」
紫炎は、魔法について、まだ詳しく教わっていない、なので主従契約と言われても、小首を傾げるしか出来ないのだ。
しょうがないと、黒煉が説明を入れる。
「主従契約とは、闇魔法の一種でございます。
シルファー様から、闇魔法が全般できると事前に聞いておりましたので·····やり方としては簡単です。<汝、我に従え>と対象に向かって詠唱し対象が承諾すれば契約完了です」
なんと非常に短い詠唱なのだろうか、聞いてみた所、これは、調教系統に含まれている初級魔法のようだ。他にも奴隷契約や、魔物を使役する調教がある。それは、おいおい説明するとして·····。
主従契約は、多少のプライバシーが筒抜けになるだけだ。つまりステータスが分かるという事で、その代わり拘束力は低い。だからこその初級という訳である。
そんな訳で·····
「<汝我に従え>」
「我、黒煉は主である紫炎様に従います」
実に淡々とした作業で、そして、黒煉の手の甲に紋章が浮かび上がる。契約が成功したのだろう。
(今更だが)
「そう言えば、俺と契約してよかったか?まだ主とは認めてなかっただろ?」
「はい、まだ認めては無いのですが、この先お世話になるのも事実なので一応。この魔法は従うだけの初級魔法でございます。当然、絶対服従等の奴隷契約ほど拘束力は強くありません。なので、別に気にしなくてよろしいかと·····私が主と認めた際は、別の魔法を行使します。それまでの仮契約ということでございます」
「分かった」
(とりあえず、黒煉のステータスを確認するか)
黒煉 ?歳
職業 ?
称号 紫炎に仕えしもの 魔剣
レベル?
攻撃 10000000
防御 9500000
抵抗 100000
魔攻力 5000
内容量 1500
能力 擬人化 鋭利 身体力強化 (擬人化状態のみ)
と、このような感じで、チートだった。
(まぁ、可愛いから良いか)
豹変した紫炎に、ここまで言わすなんて、"可愛いは正義"と言うのは、どこでも通用するようだ。
「よし。黒煉行くぞ」
「承知しました。マスター」
そうして紫炎と黒煉は『終焉ノ迷宮』に足を踏み入れたのであった。
少し、説明を『黒煉』と表示する時は刀で、黒煉の場合擬人化しております。
他にもヒロインが登場し、ハーレムメンバー全員がヒロインという枠組みで正ヒロインと言うのは誰だか決めてませんが、強いて言うなら黒煉が正ヒロインです。