54話 竜人の里
間が空いてしまった事反省しております。週一のペースで上げていくのでよろしくお願いいたします。
「にしても竜人の里のイメージがちげぇな」
手がかりが無くなった紫炎は仕方なく、竜人の里を訪れた。
眼前にそびえる竜人の里にイメージしてたのとは違かった光景に疑問符をうかべる。
なんかこう、和風なイメージがあったのだが、目の前に広がる竜人の里は、地球で言うところのラブホ街だった。
「ピンクが多く、ネオンまで使われてるよ」
入るのが躊躇われるが、サティとの約束もある。門番らしき人にステータス見せ、入ろうとしたが耳に入ってくる門番の声。
「おい、あんな人数とヤルなんて羨ましすぎだろ」
「やばいな、あぁあの子可愛くねあの奴隷の子」
「やばいのはお前の頭だ! ロリコンかよお前」
なんて会話をしてんだ! ボケェと言わんばかりに紫炎の目力が強くなり、それに気づいた門番たちがビクッと姿勢を正しくする。
とりあえずと、竜人の里を歩いていくと、やはり娼婦が多く、露出が高い服装で里中をあるいている。見ると、娼婦が相手しているのは竜人だけで、人間はもとより獣人一人さえいない。
サティは確か、長の娘だったことから、一番奥に建築された大きなビルだろうと思い、足を早めるが疑問が浮かんでくる。
(こんなビルやラブホが多いのに獣人にはバレないんだな)
この里に入るには山に入る必要があったが、外からではビルの影一つなかった。黒煉の案内の元ようやく着いた時に、ビルやラブホが姿を見せたのだ。
「と、ここが長の家ってのか?」
疑問について考えているうちにどうやら辿り着いたようで、大きなビルに目線を巡らせる。
ネオンで派手に設計されており、着色は他とは落ち着いているものの、派手さは残っている。
見た目は高層マンションのようで、恐らく最上階にサティがいるのだろう。そのためにと早速はいるが、それは叶わなかった。
「止まれ」
屈強な男がそれを阻止したからだ。
「なんでだ?」
「ここは長の敷地だ。許可なく入ることは許さない」
最もな意見だが、あいにくこちらはそちらの許可があるのだ。文句を言われる筋合いはない。
「許可は貰っている。中にいるであろうサティを呼べば分かるよ」
長の娘であるサティを呼び捨てにしたことから、屈強な男は殺気を放つ。それに呼応し、紫炎も殺気を放った、瞬間、突然現れた人影に襲われた。
「マスター!」
後ろにへと控えていた黒煉が、叫び声を上げるが、それを手で制し、顔を向けると
「久しぶりだなサティ」
「うん、久しぶりだねシエン!」
そして、ギュッと抱きつく力を強める。ぷはっと息を確保出来た紫炎が、先程の屈強な男に目線を向けると、開いた口が塞がらないようで、口をパクパクしている。
このままサティに抱きつかれてもいいのだが、そろそろ、サミリアや黒煉、しかもクレンまでもが殺気を放っているので引き剥がす。
「久しぶりの再会だな、サティ。約束通り来てやったぞ」
「うん♪ ありがとうシエン」
そして、再度抱きつこうとするサティを黒煉が止める。
「そこまでにしてくださいマスターが苦しがってました」
「あの時は会えなかったけど、これがシエンの言ってた黒煉ちゃんなんだね」
そして目をバチバチと火花をチラつかせる二人にサミリアやクレンまでもが参戦する。
「おいおい、やめろよ」
「その通りですよ、サティやめなさい」
紫炎が後ろを見るとクロリアが立っていた。
「はぁーい、お父さん」
「それと、シロア君も戻っていいですよ」
そしてシロアと呼ばれた屈強な男は悔しそうにこちらを見ながら去っていった。
「さて、小僧。ようこそ竜人の里へ」
そして、クロリアは先程までの笑みとはかけ離れた、笑ってない笑みを浮かべたのだった。




