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39話 S級試験前日

何とか2本目を上げれました。




紫炎は目の前の事態に困惑している。


「どうか明日の試験、手を抜いては下さいませんかぁー」


何故なら目の前で、転移の日紫炎達を囲っていた騎士達が身につけていた純白の鎧を纏っている中年男性が()()()をしていたからである。


時を遡ること数分前。



朝、いつも通り起床した紫炎。ここ2日クレンとの模擬戦で少し疲労が溜まっているせいかまだ意識がおぼつかない様子。


あの時、ギルド嬢さんから聞いた話。騎士団長が今回の試験に出るという話。万が一にも負けると言う事は無いと思うが、念の為にクレンと対人模擬戦を行っていたのである。


隣でまだ熟睡するクレンを尻目に大きな欠伸をした紫炎。とりあえず起きるかと、ベットから降り、他の面々も同じく起こす。別にする事は無いが、いつまでも寝ていては体に悪い、黒煉

を初め全員を片っ端から起こしていく。


そして朝食を食べるかと扉を開けたその時、開口一番聞こえてきた言葉が、


「どうか明日の試験、手を抜いては下さいませんかぁー」


そして今に至ると言う事だ。


見るからに騎士。そして多分だがムートつまり、騎士団長である。


「なぁ、少しいいか?」


「どうかこのとおり、御容赦をぉー」


「だから話を·····」


「どうか、どうかぁー」


「話を聞きやがれッ!」


最初は頬をかきながら困ったような笑みを浮かべ相手をしていた紫炎もさすがの様子に怒りを露わにして怒鳴る。


「ーッ! すみません。私としたことが人の話を聞かないなんて·····」


周りに泊まっている客もなんだなんだと自室の扉を開けこちらを伺っている。


幸いにもこの宿に既に光達が居ないことがせめてもの救いだろう。光達は王城に全員戻っており、再会は明日の試験である。どうやらクレンの強さを見たいらしく、全員で応援に来てくれるそうだ。


「とりあえず、部屋の中に入れ。要件はそれからだ」


飯を食おうとしていた紫炎にとって、若干の怒りが湧くが話を聞かない限りどうとすることも出来ないので仕方ないと腹を割り部屋に戻る。


「お前らは先に食っててもいいぞ?」


紫炎は1人だけで話を聞こうとしたのだが、何故か全員部屋に戻ってきたので、そんな事を言う。が、


「いえ、マスター。主が頂いていないのに従者である私が先に食べるのはおかしいので」


「お兄ちゃんと一緒に食べるの♪」


「感謝しなさいよねッ!」


「シツと一緒に食べたいの」


「シエ·····シツさんと食べたいです」


「私もシツ様と食べたい」


などと口を揃えて言うもんだから紫炎は苦笑するしかなかった。


「おやおや愛されていますねぇ」


騎士団長。ムートが先程とは違い、その豪快な髭を撫でながら言う。


「それは置いておいて、さっさと要件を話せ」


照れ隠しか、それとも単に腹が減っているのか。紫炎がムートを急かす。


「そうですね。シツさん? でよろしいでしょうか? 貴方には明日の試験を手を抜くか辞退してもらいたいのです」


「答えはNOだ帰れ」


バッサリと要件を断り、話を終わらす紫炎。


「よしッ! 飯を食いに行くか」


「「「「「「おー(はい)」」」」」」


そしてナチュラルに部屋を出ていこうとする紫炎達に放心気味だったムートが待ったをかける。


「ちょっとお待ちください。答えはのー? とは?」


「断るって言うことだ。それで話は終わり」


最初は切羽詰まった様子で土下座をしてくるからきっと大事な用なのだと思っていたのだが、あまりにも馬鹿すぎた発言に呆れ果て紫炎はさっさと飯を食いに行きたいのだけれど、ムートがそれを許さない。


「せめて話だけでも」


「話なら今聞いたよ。答えは断るッ!」


「理由を! 理由を聞いてからでも遅くは·····」

「ったく。分かったよ。だが、簡略化して話せ全部聞くのは面倒臭い」


「分かりました」


何とか紫炎を留まらせることに成功したムートはホッと息をつき、話し始める。


「理由は簡単です。私の()()()()()()()()()。」


凄い真面目な顔でそんな事を口にしたムート。その言葉に頬をひくつかせ怒りに耐える紫炎。クレンも見るとその様子からは怒りが感じられる。


「何故断言出来る?」


「今回の試験にあたり、弟子は大臣様が選らんだ()()()()()だからです」


「だから?」


本物の天才だろうが何だろうが、クレンが必ず負ける要素が見当たらない。だからこそ紫炎は怒りを沈め、冷静な声で聞き返したのだ『だから?』と、その事に驚いたムートは目を丸くしながら答える。


()()大臣様が選んだんですよ? 貴方の弟子に負ける筈がございません」


こんな馬鹿げた物言いに怒りを通り越し呆れが出てきた紫炎。紫炎にとってあのって何処の?と言う感じなのだ。シリスが言っていた大臣に関する事変は相当ヤバそうだ。普通ここまで信用しないだろう。


「だったら見せてみろよ。本番でよ。絶対クレンが勝つ。俺の弟子をナメるなよ?」


だが、幾ら呆れが出ても自分の弟子を、クレンを馬鹿にした事にはやはり言い返さなければと紫炎が怒気を強めた声で言う。


「そうですか。なら本番で見せてあげますよ。大臣様の選んだ人材と私の剣術が以下に凄いのかを」


S級試験が始まる前日。既に対決の火蓋は切って落とされた。

本当はクレンとの模擬戦の様子を書きたかったのですが、あまりいい感じにまとまらなかったので飛んで前日にしました。すみません。


誤字脱字、日本語の不自然な部分があればご報告下さい。

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