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36話 テスタの心情

ようやくテスタの心情です。後今回一人称です。




私は、テスタ・シーヴァ。昔、帝国の王女でした。当時、この世界は混沌で包まれ、嘆きと絶望の声が聞こえてきます。そんな中私の母も命を落としてしまいました。


それが原因で私は、部屋に閉じこもり、ずっとずっとこの終焉(ラグナロク)が終わることを祈っていました。ですがある時、ある噂を耳にしたのです。


世界最強のクラン。異界の勇者率いるクランがこの大戦を終わらせる為、魔王であるシルファーを討伐する旅に出るという噂を、


最初私は抵抗がありました。あんな恐ろしい場所には行きたくないと、ですが母のような犠牲者などを出さない為に私は決意しました。クランに入ると·····。


クランの長である。セツさんという方は、強くそして面白く、時に私の緊張をほぐしてくださいました。


副長である。アズトさんは、周り、特に女性の方々から定評があり、その定評通りに優しい方でした。そんなアズトさんが私をダンジョン攻略に誘って下さったのは、確か戦が一段落つき、休憩をしていた時でした。


「気分転換にさ、レベルアップがてらダンジョンに行かない?」


私は、今回の戦。ステータスが足りず、レベルが不足気味でしたので、躊躇いなく了承し、ダンジョンの『終焉ノ迷宮』と言う所に行きました。


この選択は失敗でだったなと思います。『終焉ノ迷宮』に潜り、無事ボス部屋前まで到達したはいいもの、そのボスの圧倒的強さはただただ絶望を覚えるしかありませんでした。


終いにはボスに呪いまでかけられ、その強さからにアズトさんは意気消沈、絶望で肩を震わし、遂には泣いてしまいました。その姿に私はもうこの場から逃げることすら出来ないのだと確信し、人生で初めて涙を流しました。


母が死んだ時でさえ、我慢し、父やメイド達に不安にさせない為に、溢れ出る感情を押し殺し、泣かなかったのに·····。


ですが、今とはなってはそれでも良いのかなと思う私がいます。


こんな絶望しかない呪いを解いてくださった方。実際解呪(ディスペル)したのはサミリア。つまりあのボスでありましたが、そんなボスを降し解呪(ディスペル)させたのは紛れも無いシエンさんでした。


昔、大戦の時代。敵兵士に襲われ、それを助けてくれた味方兵士に恋した友人がいました。その時は馬鹿なと、そんな事がある筈ないと思いましたが、私は今、その気持ちが分かるような気がします。


長く苦しめていた呪いを、初めて流した涙の要因であった呪いを解いてくださったシエンさんは凄くカッコよく思え、そしてこれが初恋だと、これが一目惚れと言うやつだと私は分かったのです。


本当はもっと複雑だと、もっと難しいものだと思っていた恋は、実に簡単で単純でいいものなのだと知りました。


それから私は適当に理由をつけ、この人と一緒に行動することに決めました。クイシーの街ではハントとか言うモブキャラなども出ましたが、私にとってとても楽しい時間をシエンさんには頂き嬉しい限りです。


最初は抵抗があったサミリアさんとは、今では仲良くなり、他の方々とも楽しく過ごさせてもらっているのですが·····今日は少し悔しかったです。ヒメ達と王城へ行っている隙に、黒煉さんやサミリアさんに先を越されるとは不覚でした。


もちろん王城でも楽しいひと時を過ごしました。グレス様もテレス様もお人が良くて、残念ながらシリス様には出会えませんでしたが。後、シエンさんのおっしゃってた大臣は途中下卑た目で私達を見ていたのでさっさと殺して欲しいと思ったのですが·····。


とりあえず楽しいひと時でした。ですがこれとそれとは話が別ですッ!


宿に戻っても、シエンさんの姿は無く、帰ってきたと思ったら、満足そうな笑みを浮かべた黒煉さんとサミリアさんがそしてそれぞれに、ネックレスと指輪があったのです。


当然、これから導き出せる仮説に嫉妬をしてしまいました。私には無く黒煉さん達にはあるもの。それがたまらなく羨ましいと感じてしまったのです。


「あっそうか、お前も宝石が欲しかったのか?」


そしてこの鈍感さにも多少腹が立ってしまいましたが、気持ちを素直にしていない私のせいでもあります。とりあえずプレゼントを要望して、これからどうやってシエンさんに気持ちを伝えるかと頭を悩ます私でした。

これでテスタが書き終わりました。そしてルファーやユグとシル、クレン、姫達など、勇者も含めまだまだ書いてないことが多いので、いつか書きたいと思います。


誤字脱字、日本語の不自然な部分があればご報告下さい。

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