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30話 精霊界の出来事。それと·····




幻想的な光が7色に輝く、未知の世界。空は暗く、夜を思わせ、輝く星々は綺麗にその地を照らしている。


ここは、精霊界。そう精霊王が統率するもう1つの世界。そんな世界のある丘の上、人影が2つ。イフリートとウンディーネである。


「それにしても、イフリートを倒すなんて驚いたわ」


「あのガキ、あれで手加減しやがってた。なめられたものだ」


苛立ちを露わにするイフリート、余程、あの戦いが悔しかったのか、イフリートの髪は逆立ち、周りには火の粉を生成している。


「落ち着いてよ、それぐらいの実力なら、別に申し分ないじゃない」


軽く火の粉を消し、諌めるウンディーネ。余程、悟から離れたくないのか、早く話を切り上げて戻りたいのだろう。


「それで? 要件は」


数分前に、イフリートに呼ばれ、渋々悟の元から離れたウンディーネは、話を切り出す。


「精霊王であるユグ様とシル様は、()()()()()()に必要な存在である。故に、何らかの処置を取りたいのだが、如何せんその案が浮かばん。なので今すぐ、意見を求める為王都へ向かいたいのだが」


「信頼でも築いとけって?」


「そうだ。俺が今から築くのは難しいがお前なら何とかなるだろう。俺のフォローも踏まえよろしく頼む」


「分かったわよ」


こうして、秘密裏に計画が進む。


時は過ぎ、場所は変わって、宿『月下の宿場』

ある一室に叫び声が響く。姫の叫び声である。


「っ! うるせぇな。何だよ姫」


そんな叫び声に反応して、重い瞼を開ける少年。紫炎は目元を擦り、欠伸をする。


「うるさいもこうしたも無いわよッ! あんた、本当にプレイボーイだったの!?」


頬を真っ赤に染め、姫がまたもや叫ぶ。


どうやら、昨日の事を謝りたかくて、朝、紫炎の部屋を訪ねた所、この魔王様の所業を目にしてしまったという事だ。


「は!? お前何言って·····」


そんな姫の叫びに、ようやく気づいたのか、辺りを見渡す紫炎。そして現状を確認する。


乱れた布団。左右には、黒煉とサミリア。胸元には、幼女3人の顔。ユグとシル、そしてクレン。足元には、テスタが満足そうに寝ていて、頭の付近にはルファーが寝ていた。


「クソ、頭痛が痛くなってきた」


極めておかしい言葉を発し、頭を抑える紫炎。紫炎にとってこの現状は、叫びや興奮·····では無く、目眩と頭痛が襲ってくるようだ。


要は、性欲より保護欲が勝ってしまったという事だ。ここまで来ると紫炎には流石に凄いの一言しか出てこない。


そう安安、女性は、添い寝なんかしないのに·····


「とりあえず姫、落ち着け。俺は決して手なんか出してない。おかしいのはこいつらなんだ」


「あんたが今、平然でいられるのが1番おかしいわよッ!」


見事なツッコミを入れ、息を切らす姫。


「で、なんか用なのか?」


もう完全にこの場に適応している紫炎は姫にここに来た用件を聞くが、


「もう、別にいいわよ」


すっかり謝る気が失せた姫は、溜息しか吐けなかった。



朝から疲れた姫は部屋へ戻り、紫炎は今なお寝ている少女達を起こす為に必死に肩を揺さぶるがなかなか起きず、紫炎は目元をひくつかせ、声を張る。


「とりあえず、起きろお前らッ!」


そんな、紫炎の叫び声でようやく少女達は目を覚ましたのであった。

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