28話 精霊王を賭けた勝負!? そして·····
そして、紫炎は語った。大臣に転移魔法で、終焉の森に飛ばされてからの出来事を、それを終始聞き入っていた光達は、各々、思うことがあるのか反応を示す。
「嬉しいよ。紫炎」
と、光が、何せ、小学校からの付き合いだ。
あの出来事で、多少紫炎が変わったとしても大事な友達なのだろう。
「俺達も強くなったと思ったんだけどな。お前が更にその先にいるのか·····それにこんな可愛い女の子達をお前羨ましいぞッ!」
と悟が、後半ほぼ嫉妬が故の発言であったが·····
「ちょっと、悟君? 私がいるでしょ? ·····でも私の主なんだから、やっぱりハーレムの1つや2つ作らないと·····」
とウンディーネが、後半の発言が若干おかしいのだが·····聞かなかった事にしよう。
それぞれ、反応を見せる。ウンディーネは、精霊王については一応納得している。
が、ここに1人納得出来ていない奴がいる。そうイフリートだ。
「お待ち下されッ! 精霊王様ならば我が主である光殿と契約下されッ!」
イフリートは、気まぐれで紫炎と契約したユグとシルに文句があるのだ。
「分かった」
ユグのこの言葉に安堵の息を漏らすイフリートであったが、次の言葉に驚愕する。
「主である紫炎にそこの光と共にお主が戦い、見事勝てたのなら認めよう」
イフリートが驚愕したのは、負けを覚悟したからてはない、勝ちを確実だからだ。
紫炎の実力を制限かけれた状態でしか知らない、イフリートは、光と2人なら余裕だと思ったのだ。
「本当にその条件でよろしいので?」
「あぁ、幸いにもここはダンジョンである。ちょっとやそっとでは壊れんだろう?」
そう言いながら、ユグは、サミリアを少し見る。そして頷いたのを確認してから向き直り告げる。
「光とやら、本気の限りを尽くせ」
「わ、分かりました」
「シルもそれでいいな?」
「ん? お兄ちゃんが負ける訳ないから良いの」
こうして、精霊王をかけた勝負が始まる。終始黙っていた姫達もあまりの急展開に驚くが気楽な声で会話をする。
「どっちが勝つ?」
「紫炎君じゃないかなぁ?」
「ふん! 光も強くなったんだし、それは無いわよッ!」
姫だけは、その性格が故に素直に応援ができず光の味方をしてしまうが·····
とりあえず、勝負の火蓋が切って落とされた。
「だりぃな」
そう場違いな声を漏らすのは、紫炎である。
余程余裕なのだと見える。それは相手方である光達にも伝わったようで油断している今がチャンスとばかりに先に仕掛ける。
「ふッ! イフリートやれ!」
「御意にッ!」
光が、自身の剣を振りさげ、イフリートが紫炎の背後に周り、炎を纏った拳で攻撃を決める。
彼らは、このコンボで全てが終わると思っていたのだが魔王になった紫炎には、それは子供の遊戯と差ほど変わらないのであった。
「『黒煉』光の剣を折れ」
『承知しました』
光の剣を黒煉に折らせ、紫炎は、後ろのイフリートに回し蹴りを打ち込む
「なぁ!?」
光は、驚きを隠せずに声に出した。それもそのはずである、何故なら目の前に少女が現れ、素手で、自身の剣を折られたのだから·····
そして、回し蹴りをくらったイフリートはと言うと、遥か後方に吹き飛びその顔を苦痛で歪めている。
「マスター、これで終わりでしょうか?」
「ん〜、終わりじゃね?」
こうして、精霊王を賭けた勝負は、実に呆気なく、1分未満で終わったのである。




