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25話 再会。そして·····

遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。今後もよろしくお願いします。





それは突然起きた。紫炎は、いつも通りクレンの周回を見届けユグとシルを抱きながら、


黒煉とサミリア、ルファー、テスタそれとクレンと共に終焉の森から出て、クイシーの街に向かい『月下の宿場』へ向かった時であった。


そう、いつもの事だ。だがその日はいつもと違かった。宿に入る寸前ある声が聞こえてきたのだ。


「本当に、紫炎って何処にいるの?」


「分からないでも、まだ死んでないから探す」


「そうだねぇ」


紫炎にとって最も懐かしき声。だが、少しめんどくさい声でもある。姫、千歌それに萌衣だ。


「ん? ·····あれ? あいつ紫炎じゃない? 白髪の·····イフリートが言ってた通りじゃん」


「うん、本当に紫炎ッ!」


「紫炎君だぁー」


街を歩き回って疲れたのか、姫が壁に寄りかかった瞬間。目の前に宿に入りそうになっている紫炎に気づいたのだ。その事に紫炎が動揺を隠せない。まるで浮気がバレた夫のように。ぎこちない声で紫炎が話しかける。


「なんで、お前らがここに居るんだ?」


当然、幾らステータスが壊れている紫炎でも予期しなかった事態だ。そして、感動の再会であろうこの場面がこんなサバサバとした感じになっている事に更に衝撃を覚える。もしかして俺ってそこまで心配されなかった·····? と。


紫炎は自分が失敗した精霊をまさか光が契約しているなんて思っていなかったので、当然こんな思考になったのだ。しょうがないだろう。


「あんたの事を探してたに決まってんでしょうがッ!」


そんな紫炎に怒鳴りながら詰め寄ってくる姫。その声に周囲の人々の視線が集まる。それを気にしながら千歌と萌衣が追いかける。そして、姫が鼻先がくっ付くと思われる場所まで来ると、両手を上げ、紫炎が思い出したくない奴を頭に浮かばせながら話す。


「あ、ああ、あのクソ大臣ね何? これから王城へ戻れとか言い出すの?」


予期せぬ事態だったが、直ぐにいつもの調子に戻った様子の紫炎。すると目と鼻の先にいる姫が小首を傾げながら


「う〜んそうだけど·····戻らないの?」


やっぱり? という感じで聞き返す。だが、それもそのはずであろう。何故なら紫炎は殺されかけた国にわざわざ行くのだから。


(試験ならまだしも、わざわざ王城に行くのはなぁ。でも今のうちに大臣殺しときたいしな)


あっさり"殺す"という言葉が出てくるあたり、余程大臣が憎たらしいのだろう。当たり前である。


「別にいつの日か王城には行こうと思ったからな。行ってもいいんだが先にクレンが先かなぁ」


「「「クレン?」」」


見事にシンクロを見せつけた三人がジト目で後ろに控える女性陣に目を向ける。そんな目にクレンがビクッとなった。


ステータスが紫炎と似たようなぶっ壊れでも、今、三人から放たれる気には耐えられないのだろう。それぐらいハモった時の三人の気は尋常ではなかった。


「まぁ、俺の弟子だ」


「はっ!? 無能だった紫炎ので·····」


姫のセリフが最後まで言いきれることは無かった。何故ならお次は紫炎側にいる女性陣の殺気が放たれたからだ。この場面を沢山の目が野次馬となって見ていたがあまりの殺気の強さに見て見ぬふりをしたのは言うまでもない。


「確かに、俺は無能だったけど頑張ったんだぜ」


「へ、へぇー」


信じられないのか、はたまた殺気が怖いのか分からないが若干声が震える姫。だが、負けじと萌衣が質問する。


「紫炎君。さっきから気になるんだけど後ろの女性たちは何?」


「私も同感」


もはや『誰?』で無く『何?』という所に恐怖を覚えるが、聞こえない振りをして紫炎が紹介を始める。


「こいつらは·····」


女性陣の紹介は紫炎の経緯と共に話されたので、その壮絶までのエピソードが三人に驚愕を覚えさせる。


「そ、そんな事が·····ゴメンねぇ·····近くに居なくて·····友達じゃないよね。こんなんじゃ·····」


萌衣の至ってはその目に涙を浮かべている。先程の野次馬がまだ居たならば紫炎にブーイング殺到だろう。紫炎にとってそこまでの反応をされるとは思わなかったので、少し対応に迷ったがつい、いつもの調子で頭を撫でてしまった。


「えっ?」


気づいた時にはその頭に手を乗せて、さすっていたので今更後には引けない。色々な気持ちで胸がドキドキなる鼓動を抑えながら出来るだけ平常心で紫炎は言葉を口にする。


「大丈夫だ。こうして探しに来てくれたんだろ? それだけでも嬉しいよ」


そして、サッと手を引っ込め様子を伺う紫炎はもう既にない感触に浸りながら頭を両手で触る萌衣に、やはり気持ち悪かったと感じ謝罪する。


「ゴメン。キモかったわ·····とりあえず友達だから気にしないでくれ」


「えっ!? 違·····フシュー」


聞いたことも無い声をあげ、色々な情報が頭を駆け巡った萌衣は、その場に倒れてしまった。どうやら、頭を撫でられた。謝られた事に対する拒否。それが交互に繰り広げられたようだ。


急いで、千歌と姫が支える。若干羨ましそうに見つめていたのは紫炎の気のせいだろうか。いや、気のせいだと思い込み、話を切り替える。


「とりあえず、今すぐ大臣を殺すのもいいんだけど。あいつは神聖魔法を使えるはずだからなぁ」


「その神聖魔法ってやつで対抗出来ないの?」


「それがなぁ·····少しめんどくさいんだよ」


神聖魔法は精霊魔法のように神を呼び出し契約させることでは無いのだ。


直接神自身に会い、相互の同意の上契約が成される。なので、神国に行くかもしくは下界に降りた神に会わなくてはならない。


神国とは、簡単に言えば天空の城ラ○ュタである。いつも移動する天空城で、場所を特定するのは難しい。だからと言って飛行石などという物は無く、肉眼で捉えようにも神が視界妨害魔法を常時使っているので難しい。


「そうなのか。でも光なら行けるんじゃないの?」


「それは無理」


「なんで?」


姫が光なら行けるのでは? と思い紫炎に提案するが速攻で却下された。


理由として勇者は神に愛されている者なのだが、だからと言って神聖魔法が出来るという訳ではないからだ。


神聖魔法は神が気に入った者が契約の上で出来るものだと先程説明しただろうが、


勇者のあの称号とは言わば、


「ちょっとこの子イケメンじゃない?」


「本当だ、超タイプ〜」


みたいな感じで贈られた称号なのだ。そのぐらいの称号なので、イコール神聖魔法が使えるとは限らないのである。その話で思い出し、光達の存在を思い出す紫炎。


「そう言えば、光達は何処なんだ?」


「それも今から説明するわよ。それじゃあ、あんたの部屋に案内して貰える? ちょっと肌寒くて·····」


こうして、紫炎達は宿へ向かったのであった。

投稿が遅くなりました。

理由としては、親戚の集まりや、その他で時間が無かったのと、勇者sideが上手く書けずに何度も書き直した挙句、結果今回のような形で書いたことです。勇者sideは、次の話で説明するので、すみません。

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