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聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる  作者: 中編程度
二度目の生
35/76

35 祠

まず、サーラに祠について尋ねてみることにした。

「ねぇ、サーラ。祠って知ってる?」

「祠……にございますか」

サーラは深く考え込んだあと、ああ、と頷いた。


 「創造神の一柱である、ガレイオス神を祭った祠がございますね」

「私、その祠に行きたいの」

その祠にいけば、私も力に目覚めるかもしれない。そうすれば、魔王を助けることができる。


 しかし、サーラは表情を曇らせた。

「その祠は、転移魔法を使わないとたどり着けない場所にありまして。……残念ながら、私は転移魔法を使えませんし。陛下や、王弟殿下ならばお使いになられるとは思いますが」


 巫女の日記を私に渡してくれたのは、魔王だ。また忙しいのに、悪いと思うけれども、魔王に連れていってもらおう。


 サーラに緊急の用件で、会いたいという言付けを頼むと、すぐに魔王はやってきた。

「どうした、巫女?」

魔王に初代巫女の日記を読んだこと。そして、初代巫女は祠で力を目覚めさせたことを話した。そして、私をそこに連れていって欲しいとも。


 「……だが、巫女、私は貴方を利用するつもりは──」

「私が、陛下の力になりたいのです」

魔王の目をまっすぐみて言う。聖女としてアストリアにいたときは、ただ言われるがままだった。けれど、このままでは、私は大切な人たちを失ってしまう。まだ、クリスタリアにきて一年間を過ごしたわけではない。でも、この国を、この国に住まう大切な人たちを思う気持ちは、本物だ。


 魔王は暫く唸っていたが、やがて観念したように頷いた。


 「……わかった。貴方を祠に連れていこう」

差し出された魔王の手をとる。瞬きする間に、私の部屋から移動した。


 目を開けると、そこは洞窟だった。この先に祠があるらしい。洞窟は、霊感が特にない私でも、襟を正さなければ、と思うほど神聖な空気に満ちていた。

 何となく、繋いだ手はそのままに、洞窟の中を進む。


 すると5分も経たないうちに、祠にたどり着いた。祠は石造だった。祠の目の前の床に何か魔方陣のようなものがかかれている。その真ん中に立ち、祈りを捧げてみる。


 ──私は、日本という国から来た美香と申します。もし、私が巫女だというのなら、クリスタリアを聖女から守る力をお与えください。


 すると、穏やかな声が私の頭の中に響いた。


 ──よくぞ参った、私の巫女よ。神たるこの私では、この世界に介入することができない。だからこそ、貴方が来るのを待っていた。


 介入ができない? 神様なのに? 私が疑問に思っていると、ガレイオス神は答えた。



 ──カスアンに……我が妹神に私は追放されたのだ。その惑星の名を地球という。貴方が、生まれ育った星でもあるな。


 「……え?」

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