情報屋は異世界出身者9
エレベーターは止まっている。無理矢理抉じ開けると、エレベーターの天井扉を開けた。
そこから上の階へ跳躍する。二階のエレベーター扉を手で開いた。
途端に煙が視界を遮る。スプリンクラーも回っているようだが、火の元があるわけではない。一階の煙が昇ってきていた。
再び風で煙を外へと押し出す。
「………たすかった?」
「非常階段が使えます。早く逃げてください」
姿勢を低くして身を守っていた従業員たちに声をかけ、この階の爆弾を探す。
――――あっちだよ
声に従っていくとそれは自販機の横に置かれていた。ウロボロスが描かれた箱は残り時間が2分を示す。
「このマーク………」
いや、今考えるのは止そう。
―――我が意に従って、守れ
結界の中に爆弾を閉じ込める。恐らくこの威力なら爆弾しても結界内部のみとなるだろう。
少女は次の階へと移動した。
◇ ◇ ◇
14階建てのホテルを各フロア周り、非常階段へ誘導しつつ爆弾を結界で纏っていく。
最上階のスイートに彼女は泊まっていた。その部屋へと向かう。
中に彼女の荷物は置いていないので、なにかを取りに戻ったわけではない。
彼女の勘が告げていたのだ。―――なにかがある、と。
扉の前で立ち止まる。そこには今までの爆弾と同様ウロボロスが描かれている紙が貼り付けられていた。
「あの国と同じ」
ぽつり、少女は溢す。
その紙を手に取り、胸元に仕舞った。
◇ ◇ ◇
屋上の扉を開ける。
「!?ご無事で!!」
途端に駆け寄ってくる人影。避難誘導するよう依頼した桐谷だ。
「貴女がフロアで誘導してくれた人達も避難完了しました。間も無く消防車が到着するでしょう」
そう言って膝間付く。流石の彼女も動揺した声を出す。
「えっ!あの、どうしたんですか?」
「俺、いえ私はかつて貴女の部下でした。―――私はミルバ帝国直属第一魔術部隊騎士長のセイの生まれ変わりでございます。アイーダ様」
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