情報屋は異世界出身者5
あの依頼を立て続けに受けた翌日。
「んー、流石に起きるよ……」
なにかにつつかれて、少女は起き上がる。まだ眠たい目を擦り身支度を整えるとホテルを出た。
今日は休もう。
そうだ、せっかくだしこの街の遊ぶ場所へ行ってみよう。
まずは腹ごしらえ。甘いものが食べたいなぁ。
有名なパンケーキのお店に向かう。開店前だか多少人が並んでいた。
数組の後ろに並び店内へと入る。学生やOLさん、若い男子も居るようだ。
カウンターで季節のフルーツパンケーキを注文し、スマホを開く。
細々した依頼は随時返し、焼き上がりを待った。
そして。
「おいしーい」
ナイフが要らないほどのふんわりと柔らかなパンケーキを堪能する。
新鮮なフルーツもちょうどいい甘さの生クリームも最高だ。
ペロリと平らげて外に出る。
◇ ◇ ◇
次に向かったのは映画館。
久しぶりに映画を見ようと思い立った。
ラインナップから恋愛物を選択して、席につく。周りにはカップルも居るが、1人で来ている客も居る。自分然り。
綺麗な絵と素敵な音楽で世界観に浸りながら2時間楽しんだ。
若いっていいなぁ〜。がむしゃらに誰かを愛せるって羨ましい。
シスルにはまるで人形のようだと言われたが、外に出ないだけだ。
勿論「過去の記憶」が人を信用しないということに繋がっているのもあるが。
◇ ◇ ◇
さて、次は何処に行こうか。
それとも、そろそろ気づいていることを伝えてあげようか。
「そうだねぇ、これ以上ストーカーされるのも嫌だし」
ふふっと笑うと路地裏へと歩みを進める。