聴覚障害者の日常 日常生活音編
日常生活であふれている(?)音について、今回は長めです。
日常の生活音についての聞こえる人と聞こえない人の違いは、音に対する感じ方の違いだけではなく、関わり方の違いも大きいように思う。
たまたまみたNHKの番組で、ろう者監督が映画を作成するのに聴者のカメラマンと共同してつくりあげるという話があった。
その中で双方が音の捉え方の違いを初めて知ることになるわけだ。
番組では、クーラーの音、ドアの開閉、机などのきしみなど、うるさくて会話が聞こえづらいことがあるといっていた。そして収録のやり直しをする。
カメラマンと、通訳者だけが聞こえる人で、演技者、裏方、監督が聞こえないので、映画製作に音を入れるのは大きな試みだったろう。
ろう者監督がこんなにも生活音が溢れていることにビックリするといっていたが、私も家族と一緒に生活していなければ感じなかったかもしれない。お知らせアラームなんかはしょっちゅうだけれど、補聴器をつけていても全くきこえないので、アラームのなる機器については自分一人の時は確認をするようにしているんだよね。例えば冷蔵庫のドア開けっ放し。コンロの消火。オーブンレンジの加熱終了。洗濯機の終了等々。他にも換気扇や扇風機、エアコン、テレビ等音を出すもののオンオフにも気を付けている。でもこれは、会話が絡むわけではないから、なかなか意識しなかったんだけど、生活音が意外に会話の邪魔になるんだな、とこのテレビ番組で気づかされた。
つい最近だが、朝、シャコシャコ歯を磨いている娘に話しかけた。歯磨き終わった娘に、歯磨きしているときは歯磨きの音で聞こえないから話しかけるな~っていわれたのだ。
歯磨きの音なんてそんなに大きく聞こえないんだけど、本人の中では歯磨きの音がうるさく響くみたい。
それもまたよく実感できないことなのだけど、自分が発生させる音をまとわりつかせると、外の音は聞こえないんだな、なんて勝手に解釈している。
収録といえば、学園祭の出し物で、天文同好会に在籍していたとき、自作自演のスライドショーだったが、セリフの録音の際、わたしの呼吸音がうるさいと取り直しになったことがあった。自分では聞こえなかったので、自分の呼吸音って人よりうるさいんだ、とショックを感じた。まだうら若い女子学生、それなりにはじらいもあったし、それはずっと心に残っていた。
ダーに番組の話をしたら車の中で聞いていたといったので、学園祭であったことを話し、それ以来、自分は恥ずかしいんだけど、鼻息荒いんだよね、と。
「いや、君は普通だよ。収録の時は、おそらく、みな、息を止めたり、気を付けていたんじゃないかな。」
ン十年恥じらっていた時間を返せ~~っておもったとかおもわないとか。いや、恥ずかしいことでもなんでもないということは千差万別だろうけど、聞こえない乙女な女子ってのはイロイロと大変なんですよ、うん。
ロボットが手話を通訳してくれるというのがニュースになっていました。うーん、ロボットが生活音を知らせる日も近いのかな。そもそも生活音を知りたいという欲求は強くはないんだろうけど……。