大人気 書籍化作家
~ 第328話が公開されました ~
ブックマーク数164,012件。総合評価328,024ポイント。累計ランキング6位。
俺はなろう界隈では名の知らぬモノは居ないほど、人気作家になった。
小説『ファンタスティック・ファンタスティック』は売れに売れ、7巻まで発売。累計発行部数は40万を越える。
投稿を終えた俺はコーヒー入れ、それを楽しむ。
今回の投稿で話しは一区切りついた。出版社の担当にメールで連絡を取っておこう。
『第328話を上げました、これで第8巻も刊行できるハズです。チェックをお願いします』
簡潔に要件のみを記したメールを投げる。
するとすぐに担当の方から返事がきた。
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入稿、ありがとうございます。
さっそく誤字脱字のチェックをさせて頂きます。
先月末までの売り上げの数値がでました。
発行部数 販売数 消化率
第1巻 90,000 82,000 91%
第2巻 70,000 61,000 87%
第3巻 60,000 52,000 86%
第4巻 50,000 45,000 90%
第5巻 50,000 47,000 94%
第6巻 40,000 37,000 92%
第7巻 50,000 48,000 96%
在庫が切れかけており、近々増刷させて頂きます。
今後もよろしくお願いします。
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先ほどの返事と、さらに売り上げ一覧の情報が返ってきた。
しかしこれは自分でも怖いくらいの売れ方だ。刷った分だけ売れていく。
俺もまさかここまで売れるとは思わなかった。
消化率は9割超えているんじゃないかなコレは。
ただ、販売数を見ていて気になった点がある。
4巻より5巻のほうが販売数が多い。おなじく6巻より7巻のほうが売れている。
普通は1巻から順に買っていく。いきなり最新刊だけを買うヤツはいないだろう。
こんな事があり得るのだろうか?
少し気になり、担当に電話を入れてみた。
「はい、こちら角巛 dooks 編集部です」
「作家の習志野ですが、少し気になる点がありまして、質問よろしいでしょうか」
「はい、いつもお世話になっております。なんでもおっしゃって下さい」
「売り上げ一覧を見たんだけど、4巻より5巻のほうが、6巻より7巻のほうが販売数が多いんだけど。こういうことって起こるの?」
「すいません、品切れを起こしている店が多いらしくて、作品をみかけたら途中を飛ばしてでも購入する方が多いらしいです。
紙媒体のメディアだと、こういった事は起こりませんが、先生の作品はネットで公開されているので、途中を飛ばしてもネットの方を覗けば良いので、特に問題にはならないようです」
「あっ、はい、わかりました。そういう理由なら大丈夫です」
「はい、すいません。なるべく早く増刷をかけるので、今後ともよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
俺は挨拶をして、電話を切る。
なるほどね、ネット特有の現象か。
そうなると、途中まではネットで見ていて、書籍が発売されると紙媒体で見るようになったり。
逆に紙媒体から入って、最新話が気になりネットの方を見始めたりとか、いろいろパターンがありそうだな。
『アクセス解析のページ』をこの頃は全く見てなかったけど、たまには覗いてみるか。
『アクセス解析のページ』には『部分別』というアクセス情報があり、日付を指定すると、
『第1話は何人に見られました
第2話は何人に見られました
第3話は……』
と、話数ごとの閲覧者数が見る事ができる。
この情報を解析すれば、読者の傾向が少しだけ分る。
なぜなら、どの話がどのくらい読まれるかが分れば、途中で飽きて読まなくなったりする割合や、最新話を常に読んでくれている読者のおおよその数が把握できるたりするという訳だ。
さっそく『部分別』をクリックして、情報を引き出してみよう。
マウスのカーソルを合わせて、クリックをすると……
何も表示されない。
おかしいな。たしか閲覧者が無い場合は表示されないハズだが、ブックマーク数164,012件で毎日のように更新している俺の作品の閲覧が無い訳がない。データーが多すぎて、まだ解析が終わってないのかな。
古い日付なら、もうデーター解析が終わっているだろう。
二週間くらい日付を遡り、データを表示する。
……何も表示されない。
なんだコレ? バグか?
試しに昔に書いた作品を見てみるか。
昔の作品のアクセス解析のページを、ほんとうに久しぶりに覗いてみた。
ページを開くと、累計PVの情報が目に飛び込んできた。
『累計PV 3,124』
うぉ、ぜんぜん増えてない。
あんな人気作品を書いていても昔の作品は見向きもされないのか……
まあ、いいや、今は『部分別』のデータの確認だった。覗いてみよう。
アクセスのあった日を見つけ出し、情報を表示する。
『第1話は2人に見られました
第2話は1人に見られました
第3話は1人に見られました』
情報が出てきた。痛々しい数字だが、データはちゃんと表示される。
うーむ『ファンタスティック・ファンタスティック』の解析情報が多すぎてデーターが飛んでいるのか?
見られていないハズは無いし『小説屋になろう』の怠慢だな、コレは。
「あ、そうだ。どうせならちょっと遊んでやれ」
この状況に陥った事で、俺はあるイタズラを思いつく。