チート能力の中身を決めよう
さて、小説に関する能力か。具体的には何を願えばいいんだろう。
語彙が増えれば、もう少し魅惑的な文章を書けるんじゃないだろうか。
……でも単純に語彙だけが増えても文章の上達は難しそうだ。
それならいっそ『文章が上手くなる』という願いはどうだろう。
だが、小説屋になろうでは死ぬほど文が上手くてもブックマークがギリギリ3桁とか、少し評価が微妙な作品がかなりある。
単純に文章が上手ければ、それだけで良いとは行かなそうだ。
では、『作品が注目される』とかどうかな。
まてよ、どうせなら得点が欲しい『俺の作品を見たら必ず評価を入れる』これならどうだ。
点数が入るとランキングに載り人目に付く。そして俺の作品を覗くとさらに点数が入り、雪だるま式に点数が増えていく。
急にローファンタジーの能力っぽくなってきた。こんな能力はチートだな。
おっと、チート能力の中身を決めていたんだっけ。
いいな、この能力、欲しいな。
……でもたしか作品の評価は1~5点の点数制だよな。あまり良いと言えない作品は、1点という最低得点を入れられてクソ作品だと酷評されるのだが、もし俺の作品の評価が1点だらけならどうだろう。これは心が折れそうだ。
もう少し考えてみるか。なんかもっと良い案はないかな。
……うーむ。そうだ、書籍化はどうだろう?
この目標は、なろうで投稿する作家の最終目標とも言えるな。
『自分の作品がなんと書籍化してしまう』という能力。
おお、なんということでしょう。
俺の書いた作品が書籍化され、本屋の棚に並んでしまう。
数ある人気作と肩を並べて、俺の作品がそこにあるんだ。
この光景には感動を覚えずには居られないはずだ。
売れっ子のあの作品やこの作品の間に、俺の作品がある。……俺の作品?
いや、これ、俺の本は売れるのか?
俺の本を買うぐらいなら、他の本のを買うだろう。だって他の本の方が面白いんだもの。
これ無理だ。書籍化になる能力も駄目そうだ。
ならどうすりゃいいんだ。小説屋の道が次々と絶たれるぞコレ。
えーと、整理しよう。要は書いた作品が一定の評価をされる。
できれば書籍化されて、さらに売れればいい訳か。
『書いた作品が次々に好評価をされ、書籍化されて飛ぶように売れる』という能力か。
そんな都合の良い願いがかなうのか? もし実現したらベストセラー作家になれるなコレは。
……そうだ!!
『ベストセラー作家になれる』コレだ。
だが、こんな都合の良い能力が身につくのか?
とりあえず女神様に聞いてみるか。
「女神様、『ベストセラー作家』になれるようなチートっぽい能力はできますか?」
「ええと、その能力とは『売れっ子作家』になれる。『作品の書籍が次々に売れる』と認識しても良いですかね?」
「そうですね、そのとおりです」
「わかりました。では『ベストセラー作家』のチート能力を授けましょう」
「やった。よろしくお願いします」
女神様は何か呪文のような言葉を唱えだした。
俺は光に包まれて、次の瞬間に体がフワッと浮いて意識が途絶えた。