第二十五話 魔王軍
レベル上げやらなんやらを終えて帰ってくると、家にサヤカが居た。
「やっと帰ってきたわね、待ってたわ」
と、言ってきた。
いったい何の用なのだろうか?と考えていると、多分そんな考えが表情に出ていたのだろう。
「貴方に少し協力して欲しいことがあるのよ」
「協力ですか?」
俺の協力なんて必要なさそうだが?
「魔王軍が本格的に侵略を始めたのよ」
マジか!?冗談だったら笑えないぞ?
「本当ですか?」
「本当よ」
「自分の協力って必要あります?」
サヤカだけで何とかなりそうなんだが...
「いや、少し強いのが居たからそっちに自分が行こうと思っててね」
「それで細かい雑魚は自分に任せると」
「そゆこと」
「自分はそんな強くないデスヨー?」
「今更そんな冗談は遅いわよ」
「そっすか」
「じゃあ今から行きましょうか?」
え!?今から?
「ちょっと待ってください!まだまともに準備終えてないんですけど?」
「もうすでにある程度戦えそうな装備してるから大丈夫よ」
「そういう問題じゃないんでs...ちょっと!引っ張らないで!行きますから!」
「よろしい」
門の方へやって来た。
なんかこっちに視線がすごい来てるぞ?何でだろうか...
「あれって学園長と...学生?」
「なんで学生がこんなところに居るんだ?」
「知らないのか?お前ら、彼は学園で今話題になってる期待のルーキーって奴だ」
「話題になってるのって『勇者』じゃないのか?」
「下手したら『勇者』より強い疑惑がある奴だぞ、あいつ」
「マジで!?」
そういうことか...
元々は静かに暮らせたら良かったのになぁ...
なんでこんなに話題になってるんだ...
「失礼ですが、そちらがイフリール様の推薦でやって来た学生ですか?」
「そうだね」
ん?この声どっかで聞いたことあるぞ?
「私の息子に見えるのは見間違いでよろしいでしょうか?」
あ、お父さんだ。
「お久しぶりです」
「お前...やっぱりフレアか?...なんでそんな趣味の悪い服を来ているんだ...」
失礼な、黒ローブに黒ズボンは別に趣味は悪くないだろうに
「趣味は悪くないと思うんで「悪いよ」え?」
「その黒ローブに黒ズボンはかなり趣味が悪いと思うよ、フレア君」
「え?」
「そうだな、その服は正直親ながら無いと思うぞ」
「え?」
なん...だと...!?結構格好良くないか?格好良いと思うんだけど!?
「ジョセフ様、報告がございます」
あぁ問い詰める時間がぁタイミング悪いなこの女の人
「リアか、どうした?」
「魔王軍があと1km辺りまで進軍してきております」
「そうか...イフリール様、フレア、頼んで良いか?」
「任せておきなさい」
「まぁはい」
「どうした、フレア?何か不安な事があるのか?」
「いや、結構格好良いと思ってたんですけどねぇ」
「...その話は後にしようか」
サヤカと一緒に500m地点までやって来た。
「大丈夫?」
「いや、大丈夫です、むしろ何故か気持ちが高ぶってますね」
「それはそれで大丈夫?」
「駄目かもしれませんね...」
大量に迫る魔物に思わず口角が上がってしまう。何故かは分からないが。
「まあ良いか、では、これから、上級の魔術を使い、あの軍を潰すという、抜き打ちテストを行います」
「抜き打ちテストって...了解です」
「じゃあフレア君が長期休みに鍛えた魔術を見せて貰おうかしら?」
魔法を使うのも良いんだが、正直威力が怖くてやってなかった魔術の実験に試させて貰おうと思う。
その魔術の詳細は、
まず、魔力を使い、擬似的な魔方陣を作る(この時点で並の人には不可能)
次に詠唱を始まる。
「我が魔力を用いて」
「五属性の力を発現させよ」
「火炎を司りし力達よ」
「水氷を操りし力達よ」
「自然を我が物にせん力達よ」
「光を編み出し力達よ」
「闇を抱えし力の権化よ」
「奴等に裁きの鉄槌を」
「『自然の脅威』」
最後に敵の方向に放って終わり。
ちなみに、名前は適当に付けたので、カタカナでは無い。
フレアが魔術を放つ。
サヤカは、まず、詠唱の時点でこれの脅威を悟っていた。
まず、魔力を用いて魔方陣を書き始める、その技術はサヤカも出来る。
次の詠唱、この時点で理解が消えた。
何故かと言うと、まず、五属性というのをサヤカは知らない。
全属性を使えるのは、あくまで希少の属性のお陰で、スキルの五属術を知らないのだ。
次に、闇、光である。
普通は、闇と光は相容れぬ存在で、同時に発動等はそもそもが難しい。
その上、火炎、水氷、自然、といった訳の分からない力も使っている。
ほぼ全てが、サヤカの理解を越えていた。
しかし、魔術は詠唱だけではない。
業火が魔王軍に向かっていく。
その範囲は魔王軍のほぼ全域に及んで居ただろう。
業火によって、燃やされ、灰になるものがかなりの量出ている。
だが、まだ生きているのは居た。
生きた彼等が見たのは絶望だった。
津波の用な水がやって来て、そこが流れた後は全てが凍りつく。
凍りついた魔王軍の下からは、木、岩、土と様々な形の自然が競り上がって来る。
そこへやって来る高濃度の光のレーザー。
まだ生きているのは居ただろう、もうかなり少ないが、ギリギリ範囲を逃れられた者、自分の能力を使い生き残った者、様々な形で生きていた者は少なからず居た。
彼等を覆うのは闇、光を通さない絶望とも言える色。
魔術が通った後はもう何も残らなかった。
その一部始終を目の前で見せられていたサヤカが呟く。
「化け物だ...」
その一言がやけに通って聞こえたのは、回りに人が居なかったからだろうか?それとも自分が自覚していたからなのだろうか?
理由は何であれ、フレアの心には、その言葉が、突き刺さっていた。
尚、フレア君はここまでとは予想してなかった模様。




