第二十一話 帰還とルナの秘密
時折瞬間移動を用いて家へと向かう。
行きは7時間程だった道のりが6時間程に短縮が出来た。
家に戻ってきた。
(やべぇ...考えたら自己満足して帰ってきたけどもう少し鍛えて来た方が良かったんじゃないか?)
玄関でそんな事を考えていると、
「あれ?フレア様?」
「ヒエッ」
唐突に声を掛けられたことに驚き情けない声を発するフレア、
「やっぱりフレア様だ、帰ってきてたんですか?」
声を掛けたのはクイサだった。
「あ、あぁ」
「もう少し掛かると思ってましたけど、早かったですね」
「ま、まぁな」
「じゃあ皆様を呼んできますね!」
そうして屋敷に二人で入る。
クイサは皆に伝えに行ってしまったので、久しぶりに自分の家に戻る。
久しぶりの自分の部屋、そこに居たのは自分の下着を頭に被り、ベットで自慰に励んでいるルナだった。
「「え?」」
その唐突な出来事に驚き少し呆気に取られていたが、直ぐに意識を戻しこう言う。
「ごめんな、見なかった事にするからな?」
そして、扉を締め、逃げる。
後ろで、
「違うんです!お兄ちゃん!」
と叫んでるルナが居たとか。
家に帰って自分の部屋に来たは良いけど妹が自慰に励んでました。
こう言う時は一体どうすればいいんだろうか...Q&Aさんなら何とかしてくれるはず!
『家に帰って自分の部屋に来たは良いけど妹が自慰に励んでました。こう言う時は一体どうすればいいんですか』
『頑張って』
珍しくQ&Aさんが、放棄した問題だった。
すると、後ろから声を掛けられる、
「お、お兄ちゃん」
「うわッ!?」
またも驚いてしまうフレア。
「お、お兄ちゃん、さっきの...見た?」
「み、みてないよー」
「見たよね?見ちゃいましたよね?」
涙目で聞くルナ
「見ました...」
流石に正直に話すしか無いため話すフレア。
そして、次にこう言う
「大丈夫、お兄ちゃんはお前のそう言う所もきちんと見てやるからな?」
と、苦笑いしつつ少し後ろに下がって言い放つ。
「お兄ちゃん!そんな表情しても、説得力ないし、引かないで下さい!」
「大丈夫、大丈夫だから...」
「ちょっ、えっ。しょ、しょうがないじゃないですか!」
「そうだよな、しょうがないよな?」
「やめてくださいー!その反応!」
「大丈夫だから、誰にも言わないから」
誰にも言わないと言っているが、実は家の大半の人が、ルナのやっていた事を知っていた。
その事実を知ったルナが更に顔を真っ赤にして、部屋に引きこもったのはこの出来事から僅か数時間後の出来事である。
「フレア様、ご帰還」
「「おめでとうございます!」」
晩飯の時に、態々ケーキを持ち出して祝うという事をやるクイサ筆頭、執事、メイド達。
「えぇ...、いや、そんなに祝わなくても...」
「フレア様の帰還は我々、使用人達が常々思っていたことなので、祝わないわけないじゃないですか」
「そ、そうか」
「フレア」
リーリアが声を掛ける
「はい?」
「貴方が無事帰って来て嬉しいわ、お帰りなさい」
「え、あ、はい」
「そこはただいまと言いなさい」
「あ、えっと、ただいま帰りました」
「後、ルナが来ないのだけど何をしたのかしら?」
「い、いえ?別に何も?」
「あぁ...」
その反応だけで、ルナが見られた事を即座に察するリーリア。
静かに後ろのメイドにこう言う、
「ルナに、もう皆にはバレてるから今更よ、と伝えて頂戴」
「畏まりました」
そんなやり取りがあったとか無いとか。
「で、フレア、どんな化け物染みた技を覚えてきたのかしら?」
「なんで、自分が覚えて来たのは全部化け物染みた技って扱いになるんですかね...?」
「カマを掛けただけなのだけれども...技を覚えてきちゃったのね...」
しまった、と顔にでるフレア。
「じゃあ、見せて貰おうかしらね?」
「はい...」
自分の、直ぐに顔にでる性格を治せないかと、本格的に悩むフレア。
そんな事を考えながら、リーリアと、クイサ、レックス、そしてフレアを加えた四人が訓練場へ向かう。
リーリア等、フレアを詳しく知る人は大体がフレアの事をこう思っている。
彼は勇者や魔王よりも恐ろしい存在なのでは無いか
と、リーリアは性格上、フレアが危ないことはしないと信じているので、疑うことはない。




