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四葉と双葉に友情を  作者: 榊みつば
1章 距離
5/12

5、同じじゃない

今日は、朝からバタバタだった

明日の食事会のための準備をしていた

その間も少しでもお嬢様の気持ちを

知ることは出来ないかと考えていた

そして、休憩時間にスマホで障害者に

ついて調べたが

どれもこれもピンと来なかった

理解はできるがなんだか

お嬢様とは、違う悩みのように感じた

しばらく考えてから

調べても分からないのなら

体験してみればいいと思った


そこで、私は右手と右足を使わずに

仕事をしてみた

実際にやってみて大変なことはすぐにわかった

まず、片足だけで移動することが出来ない

全くできない訳じゃないが疲れるし

上手くバランスが取れない

そして、片手だけで洗濯物を干すのも

洗濯物を落とした時は落ち込んだ

落とした洗濯物を拾った時

ふと、視線の先に車椅子が

少し見えた気がしたが

弥生さんに声をかけられ

私は、仕事を再開した


物を運ぶのも上手くいかない

片手でしか持てない分

いつもより、持てる量が少なくなる

何より重い


私は、どれだけ生活しやすい

体で生まれてこれたのか実感した

それと同時に

なぜ、お嬢様は1人でやりたがるのか

疑問がでてきた

こんなに大変なのに

誰の手も借りない

その理由が私には分からなかった

私は、もう少し片手片足で仕事を続けた


「ほんとに何やってるの世話係は

やっぱり、他の奴らと同じ」


午後になった

お昼ご飯を食べ

次は、お嬢様の部屋に行った

半日で疲れ切ってしまった私は

普通に仕事をすることにした

私の部屋とお嬢様の部屋は

真反対にあり距離があるからという理由もある


部屋の前まで行き

声をかけても返事がなかった

何度か声をかけたが

なにも返ってこない

鍵は開いていた

中には誰もいなかった

私が部屋を出ると

ちょうどお嬢様が前から来た

私が声をかけようとしたが

お嬢様の方からかけてきた

私は、嬉しい気持ちになったが

その気持ちも一瞬で消えた

お嬢様が怒っていた


「あなたね!私をバカにして楽しい?」

「え、どういう」

「さっきの行動はなに!」

「さっきのですか?」

「そうよ!片手片足で仕事して」


なるほど、見ていたのか

それで、私が馬鹿にしていると勘違いを


「馬鹿になどしません

私は、大変さが分からないので

自分なりに体験してみようと」

「体験したって分からないでしょ!

あなたには、手足が2本ある!

私には、ないの」

「ですが、同じ人間」

「なんで!なんで、あなたのような人が

私の世話係になるのよ!」


お嬢様は、そう言い残し

行ってしまった

電動車椅子が見たこともない

スピードで離れていく

私は、唖然としてしまった

やっと、わかったと思ったのに

逆に怒らせてしまった

今思うと、そうなのかもしれない

自分の真似をされると

イラッとくる時がある

私は、その事を忘れていた

夜、謝ろう

ちゃんと謝って誤解をとこう

解けるか分からないし不安だけど

少しでも、良くなれば


その日の夜

お風呂担当は

弥生さんに変わってもらった

なんだか、気まずかった

弥生さんに今日は全部やろうかと言われたが

お風呂以外は私が担当すると言った

面と向かって謝らないと伝わらない


夕食の後

私は、お嬢様の部屋に行った

お嬢様は、すんなり部屋に入れてくれた

が、気まずい沈黙が続いた

しばらくして、お嬢様が口を開き


「なに?」

と一言放った

声色は不機嫌のままだった

私の鼓動は早かったが

ゆっくりと話した


「あの、朝はごめんなさい

本当に馬鹿にするつもりはなくて

えっと、その」


自分で言っていて

何を言えばいいのか分からなくなってきた

正直、理解してもらえるなんて

思ってもないし

絶対にして欲しいとも思っていなかった

ただ、聞いて欲しかっただけ


「……ねぇ、世話係」

「はい!」

「ネックレス持ってる?

あの時の、四葉のネックレス」

「あ、ごめんなさい返し忘れてました

今、持ってるのでお返ししますね」

「待って」

「え?」

「それ、付けてみて」

「今ですか?」

「そう、はやく」

「わかりました」


訳が分からないまま

私は、お嬢様から交流会の時に

借りたネックレスをつけた

そして、お嬢様に見せると

しばらく見たあと

そっぽを向いて


「それ、世話係にあげる」

と言い放った

私は、訳が分からず

呆然としていると


「私、ネックレスいっぱいあるから

それに、四葉はあなたの方が合ってるし」

「えっと」

「こういう時は、何も考えずに

受け取ればいいの」

「あ、ありがとうございます」

「あと、朝のことはもういい」

「本当ですか?」

「いいから、早く出て」


私は、半ば強引に

部屋から出された

でも、私の気持ちは嬉しいで溢れていた

その時、感じた

お嬢様のとこを理解するんじゃなくて

寄り添うことが必要だったのかもと

それなら、友情を作れる

世話係じゃなくて友達に

そうと分かれば

できることは沢山ある

それに、お嬢様は意外と付き合ってくれる

気がする!

私の予想が当たっているのなら

好き勝手にやるだけ

こんな感じで、1人で盛り上がりながら

部屋に戻った


この時の私は、明日の食事会で

どんなことが起こるのか

誰も知らなかった


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