4、 味方という言葉
1晩考えてみたが
どうやって友情を作ろう……
昨日は、なんでも出来そうだ!
なんて思ってたけど
人の頭って寝ると整理されるって言うけど
本当なのね
どんな方法か考えてなかった
「私って馬鹿ですよね……
えぇ!そうよ!馬鹿よ!
分かってますよ〜そんなことくらい!」
……
ひとりで何してるんだろう
はぁ……友情を作るって
こんなに難しいことなのね
それに、今はお嬢様に話しかけにくい
そのわけは
昨日私がお嬢様の部屋に行った時
「あら、帰ってきたの」
「ダメでしたか?」
「いや、そうじゃない
初めてだったから帰ってきた人」
「そうなんですね」
「何か用?」
「いえ、その戻りましたとご報告を」
「そう、ならご苦労様」
「失礼します」
あんな雰囲気で1日終わった
次の日にどうやって仲良くなれって言うのよ!
「悩んでるわね」
「あ、いつの間にいらしたんですか?」
私が悩んでいると
隣には弥生さんがいた
少し前からいたみたいだった
「椅子に座ってもいいかしら?」
「どうぞ、どうぞ」
「あなたがここにいるのは珍しいわね」
「あはは、いろいろありまして」
「昨日、交流会に行ったのでしょう」
「あ、はい」
「どうだった?」
「どうだったと言うと」
「どんな雰囲気だったかしら?」
「なんだか、歓迎されてないように
感じました」
「そうね」
「なんで、来たんだって」
「それが、叶恵お嬢様が
交流会に行きたがらない理由よ」
「そうですよね、昨日見てすぐわかりました」
「昔は、あんな感じじゃなかったのだけれど」
「そうなんですか!」
「あ、この話は叶恵お嬢様から
聞いてちょうだい」
「なぜでしょうか」
「私が話すと怒られるからよ」
「そうなんですか」
「叶恵お嬢様は、自分の過去のことを
話されるのを嫌がるのよ」
「わかりました」
弥生さんと話していると
キッチンから人がでてきた
「声がすると思ったら弥生さん
じゃないですか」
「あら、彩音ちゃん」
彩音さんって料理を作っている
お嬢様のことで頭がいっぱいになり
彩音さんのことを聞くのを忘れていた
「あなたは、七海さんですか」
「はい!あの、歓迎会の時のお料理
すごく美味しかったです!」
「まぁ、ありがとうございます」
彩音さんは、顔も性格もおっとりしていた
突然、彩音さんは「そうだ!」と言い
キッチンの方へ行ってしまった
しばらくして、彩音さんが戻ってきた
手にケーキを2つ持っていた
「これ、良かったら食べてみてください」
「え、いいわよそんな気を使わないで」
「遠慮しないでください
明後日、婚約者との食事会があるんですよね」
「そうね」
「その時に、出す予定のケーキなんですけど
味見してみて欲しくて」
「あら、そうだったの
じゃあ、いただこうかしらね」
「はい!」
食事会、婚約者?
お嬢様は、そんな年齢なのか
見た目は幼く見えるが
それとも、こういう家系では普通なのか
「あ、七海さんもどうぞ!」
「ありがとうございます」
「これ、美味しいです!」
「やっぱり上手ね」
「ありがとうございます
頑張ったかいがあります」
ケーキを食べている時も
私の頭の中では
婚約のことでいっぱいだった
次第に聞かずにはいられなくなり
声を出してしまった
「それにしても、お嬢様って婚約される
年齢なんですね」
そう言った瞬間
弥生さんも彩音さんもビクッとなった
そして、弥生さんが少し下を見ながら
「……違うわよ」
と弥生さんがポツリと言った
「え?」
「叶恵お嬢様は、そんな年齢じゃない
言ってしまえば明後日の食事会は
姉の京香様とその婚約者の
ために行われる予定だったの」
お嬢様に姉がいた事にも驚きだが
それよりも、なぜ姉のための食事会を
お嬢様がするのかが分からなかった
「お嬢様にはお姉様がいらしたのですか」
「えぇ、今はいませんが」
「今は?」
「交通事故でお亡くなりに」
「え……」
その瞬間私は言葉を失った
全身の力が抜けそうになる
そんなこと一言も聞いていない
いや、話さないのが普通なのかもしれない
だけど、この時私は違和感を覚えた
何かがおかしい
何がおかしいのか分からない
思いつくことが多すぎる
「叶恵様が手足を失った理由は
ご存知ですか?」
「はい、交通事故で」
「その時なんです、京香様が
亡くなられたのは」
私は、息が苦しくなった
何故か分からないが
この話を今は聞きたくなかった
何か、話題を変えたかったが
何を話せばいいのか分からない
その時、弥生さんが口を開いた
「あなたなら、できるわ
叶恵お嬢様を助けて欲しいの」
「本当に私で大丈夫でしょうか」
「大丈夫よ、方法はなんでもいいわ
七海さんは、まだ来たばかりだから
でも、私たちはずっとここにいるわ」
「それは、どういう意味でしょうか」
「そのうち、わかるわ
とにかく、今は明後日の食事会ね
それが終わってしまえば少し余裕ができるわ」
「あの、お嬢様と仲良くなれば
いいのですか?」
私は、何が何だか
分からなかった
でも、弥生さんならヒントをくれる
私は、そう思っていた
「えぇ、叶恵お嬢様の心を開いて
そうすれば、きっと話してくれるわ
大丈夫、私たち使用人は味方だから」
「わかりました、頑張ってみます」
「ありがとうね」
その日の夜
私は、ベッドの中で考えていた
色々気になることはあるが
「使用人たちは味方」
その言葉が、妙に胸に残っている
まるで、使用人以外は
敵のように言っている
お嬢様は、私が思っている以上に
酷い環境にいるのかもと感じた
自分はどうすればいいのか
よく分からない状況にいる
それでも、ただ、ひとつはっきりしていた
私は、お嬢様を放っておけない




