3、 歓迎されない場所
今日は、交流会の日
私は、自室で準備をしていた
どんな服装で行けばいいか
何をもっていけばいいのか
何もわからなかったから
昨晩、ことねさんに聞いておいた
服装は、カジュアルめに少しおしゃれにして
持ち物は、特になく
貴重品とハンカチぐらい
よし、これで大丈夫かな
普段は、メイド服を着ているからか
おしゃれには少し疎かった
でも、今考えても仕方ない
私は、残りの準備を終わらせ
部屋にお嬢様を迎えに行った
お嬢様の部屋に入ると同時に
「私は、行かない!」
という声が聞こえてきた
昨日、服装を聞いた時に
ことねさんにあ嬢様の準備を手伝ってほしいと
お願いしていた
さすがは、一番長くいただけある
お嬢様を抑え込んでいる
お嬢様は、抵抗していなかった
……少しやりすぎな気もするけど
こんなに嫌がっている
お嬢様を無理やり連れて行くのが
なんだか可哀想になってきたが
少しでも行動しないと変わらないと思い
私は、玄関へ向かった
「行かない」
「行きますよ」
「いや」
「……」
「諦めた?」
ガチャン
「ドア開けたわ
七海さん頑張って」
「ありがとうございます」
「行かないって言ったのに」
「でも、ついてきているじゃないですか」
「あなたに引っ張られたからね
力強いのよ」
「ありがとうございます」
「褒めてない」
やはり、お嬢様は不機嫌のままだった
それもそうか、無理やりだものね
でも、ようやくお嬢様が
交流会を嫌う理由が知れるという気持ちと
どんなことをするのか楽しみな気持ちがあった
会場に向かっているときも
無言だった
私は、今の空気感を変えたかったが
話題が思いつかなかった
何か話題はないかと考えていると
お嬢様が口を開いた
「あなた、何歳?」
「27歳です」
「嘘でしょ」
「本当です」
「本気?その格好で?」
何となく察しはついていた
私が、私服の時はみんなそういう
これが、メイド服ばかり着ている代償
ファッションに疎い私は
いつも貰い物の服で生活していた
「よく言われます」
「服装がどうにかなれば美人なのにね」
「今、美人って」
「前言撤回、何をしても美人にはならない」
「えぇ……」
「止まって」
「はい、何ですか?」
「ほら、これ貸してあげる」
「これは、ネックレスですか」
「そうよ、それつければ少しは
マシになるんじゃない」
「お嬢様、私のために」
「別にあなたのためじゃない
私の世話係がこんな姿だと
もっと恥をかくから」
「そうですね」
「何、にやにやしてるの気持ち悪い」
そう言うとお嬢様は
先に行ってしまった
こんな、ちゃんとしたネックレスを
つけたことは今まで無かった
私は、ネックレスをつけ
急いでお嬢様の後を追った
交流会の会場は
少し大きめのホールだった
中には人が沢山いた
みんな、おしゃれで
楽しそうに話していた
けど、私たちに気づくと
いや、正確にはお嬢様に気がつくと
突然静まり返った
さっきまでの楽しい雰囲気が
怖い雰囲気になった
さっきまで笑っていたのに
私たちの方を見た瞬間
その口が閉ざされた
まるで、ここにいる人たち全員が
一斉に私たちを拒否しているようだった
帰れ、こっち来るな
そんな言葉が聞こえてきそうだ
その時、ボソボソと話し声が聞こえた
「また、来たよ」
「良く来れるよな」
そんな言葉があちらこちらから聞こえる
お嬢様にも聞こえているみたいだった
徐々にお嬢様はうつむいていく
それでも、周りの人達は止まらなかった
同じくらいの年齢に見える人も
年上の人もみんな同じ雰囲気を出している
私は、この光景に言葉が出なかった
どうすればいいか悩んでいると
お嬢様が服の袖を掴んで
「行こ」
そう一言だけ言って
出ていってしまった
私は、足が動かなかった
でも、ここで一緒に行かないと
私もこの人たちと同じになる
そう思い
お嬢様について行った
お嬢様は、止まることも無く
振り向くことも無く進み続けた
しばらく進んだ時
突然、お嬢様が止まった
私が「どうしました?」と聞くと
「これで、わかったでしょ」
「何もでしょうか?」
「私がどれだけ嫌われているか」
「それは」
「辞めるなら早くした方がいいよ」
「辞めるなんて」
「私がいるとみんなに迷惑がかかるの」
「そんなことは」
「そうなの!みんな言うの!
私は、辞めても止めないから」
そのまま、お嬢様は進んだ
この時私は少し迷ったけど
私は、お嬢様を見捨てたくなかった
自分でもびっくりしている
まさか、迷うなんて
今なら、すぐに辞められる
不安になることはない
でも、やめたくない
私が今辞めたら
お嬢様は変わらない
みんなに嫌われて過ごすことが
どれだけ悲しいことなのか
私は、よく知っている
なのに、助け方が分からない
その時、私はことねさんの言葉を思い出した
そうだ、深く考えなくていい
今の自分の私の方法で
仲良くなればいいんだ
そう、友情を作ろう
私は、不安と少しの自信を持って
世話係として屋敷に戻った




