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四葉と双葉に友情を  作者: 榊みつば
2章 過去
17/17

17、また、どこかで

花は、いつか枯れる

遅かれ早かれ少しずつ

私が、育てていた花が

冬になった途端枯れた

この頃は、植物の勉強をしていたため

育てていた花が夏の花だったのだとわかった

そして、冬に花は育てないことも知った

何とか、先生日頼んでみたがダメだった


私の気持ちも花のように枯れていた

植物のことを知れば知るほど

次から次に学ばないといけないことがある

それは、ほかのことでも一緒なのは

理解してるし問題はそこじゃなかった

専門家になるためには

人が沢山いるとこに行って

常に、会話をしないといけない

それは、どこも一緒なのも

当たり前なのも知ってる

けど、今の私には難しかった

月日が流れる度

どんどん人が怖くなる

友達の何気ない言葉

先生が怒った時の強い言葉

母の嫌味

それが、全部深く心に刺さって抜けない

忘れることが出来たと思っても

ふとした時に蘇ってくる

そうなれば、ずっと頭の中に居座る

そんな、日々を過ごしていると

次第に私は、私自身に言葉を刺すようになった

何も出来ない自分はダメなんだ

辛いなら辞めればいい

それすら、出来ない自分は弱い

そんな言葉を毎日

自分に刺している

止めることが出来なかった

まるで、違う自分がいるみたいだった

私は、高校生活を暗い気持ちで過ごし

そのまま、卒業した


結局、大学や専門学校に行くことが出来ず

高卒となった

この頃の私は、専門家になることを

諦めていた

そして、1年何も出来ず時間だけが流れた

そんなある日、久しぶりに外に出て

少し散歩をしていると

ある家にチラシが貼られているのが目に入った

そこには、メイド募集と書かれていた

仕事内容は、家政婦や家事代行と同じだった

家は、大きい方ではあったが

メイドを雇うほどの大きさではなかった

私が、チラシを見ているあいだも

人は通ったが誰も見向きはしない

それもそうだろう

メイドなんて海外かアニメのイメージが強い

それに、他人の家で家事をするのが嫌だという

人も中にはいるだろう

ただ、家の外装を見るとオシャレが好きな

人だとわかる

だから、メイドという言い方を

しているのだろう


私は、少し迷ったが

チラシの下に書いてあった


「お手伝いをしていただくだけで嬉しいです

会話も無理にしなくて平気です

多分、難しいので」


この言葉に目が止まった

会話をしなくてもいい仕事

これが、私が求めていた仕事

黙々とできる

相手の顔色も伺わなくて済む

それに、衣食住は保証してくれるらしい

それなら、家からも出れる

早速インターホンを押した

家から出てきた人は、優しそうな女性だった

私は、少し戸惑いながらも

チラシを見たことと働くことを伝えた

すると、女性はすごく喜んでくれた

そして、いつから働けるかと聞かれ

私は、少し迷った

働きたいですなんて言ったものの

母には言ってないし

なんて言われるかも分からない

もしかしたら、また嫌味を言われるかも

いやでも、家にずっといるよりマシだと

その時の私は思っていた

女性には準備などもあるため

1週間後だと伝え家に帰った


私は、すぐに準備を始めた

バレないようにこっそりと

この家から出られる

そう思うだけで

準備が捗った


そして、1週間後

私は、早朝に家を出た

一人夜道を歩いている

夜で歩くことのなかった私は

新鮮な気持ちで景色を見ていた

夜空は綺麗で

朝よりも空気が良く感じた

周りに誰もいない静かな時間

その時間をゆっくりと噛み締めながら歩いた

距離があり

女性の家に着いた時には

7時を回っていた

まだ、寝ているかなと思いながら

外から眺めていると

人影が見えた

私は、起きていると思い

インターホンを押した

すると、出てきたのはあの時の女性ではなく

別の女性だった

私が戸惑っていると


「あぁ、ここで働く人ですか」

と私の荷物を見ながらその人は言った

私が返事をすると

「どうぞ」と言って

歩き始めた

私は、その人について行った


「今は、奥様もおば様も寝ているので

静かにお願いします」

「わかりました」


ほとんど会話もしていないのに

私の中に苦手意識が出てきている

すごく物静かな人

冷静で何を考えているのか分からない

そんな人が私は苦手だった

どんな言葉が行動が

その人の怒りの沸点になるか分からないから

少しビクビクしながらついて行くと


「ここがあなたの部屋になります」

と扉の前で止まった

私は、急に止まった拍子に

腕にかけていたコートを落としてしまった

慌てていると

女性は、サッとコートを取り

渡してくれた

コートを受け取った時


「怖かったですか」

と女性に聞かれた


「え?」

「怖がらせていたならごめんなさい

私、感情を表に出すのが苦手で

だから、みんなからも怖がられて」

「そうだったんですね」


確かに、私も最初は怖かった

でも、今の彼女の顔は

少し悲しそうだった

だから、私は笑顔で


「コートありがとうございます

初めての場所で少し緊張していただけです」

と言った


「そうなんですね、ここに住んでる方は

優しい方なのですぐ慣れますよ」

「私達も仲良くなれますかね」

「……私、ここの仕事辞めたんです」

「あ……そう、なんですね」

「はい」

「わざわざ、案内ありがとうございました」

「いえいえ、時間ですね

私は、行きます」

「お元気で」

「あなたも」


少し寂しい気持ちがあった

やっと、仲良くなれそうな人と出会えたのに

すぐにお別れなんて

そう思った時

彼女は、玄関の前で足を止めて

こっちを見ていた

私と目が合うと


「また、どこかで会えたら

その時は、気軽にお話しましょ」

と笑顔で言い

玄関を出た


彼女の笑顔は不思議だった

優しいのにどこか冷静沈着にも見えて

少しだけ無邪気さもありそうで

きっと、彼女も

人間関係で悩んだ人なんだ

だから、仲良くなれそうだと思った

名前も知らない

一緒にいた時間も1時間もないのに

私の心に記憶に

彼女が深く刻まれた


そして、これから始まる

私の新しい生活

気持ちは、不安でいっぱいだった

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