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四葉と双葉に友情を  作者: 榊みつば
1章 距離
1/2

1、 拒まれた手のひら

私が新たにお世話するお嬢様は


「初めまして、今日からお嬢様の

担当になる七海(ななみ)

言いますよろしくお願いいたします」

「ほら、叶恵(かなえ)ご挨拶しなさい」

「……」

「ごめんなさいね」

「いえ、平気です」

「部屋戻るわ」

「あ、叶恵お嬢様車椅子を」

「触らないで!自分で行けるわ」

「反抗期なのかしらね」


お嬢様は、手足が1本ずつしか無かった

義手や義足をつけておらず

車椅子で生活をしているみたいだ


「そうだ、七海さん」

「はい」

「部屋は、見たかしら?」

「いえ、まだ」

「あら、そうなの?

じゃあ、見てくるといいわ

その間に準備するわね」

「準備ですか?」

「えぇ、あなたの歓迎会よ」

「そんな、お気になさらず」

「遠慮しないの」

「ありがとうございます」

「ほら、部屋を見てらっしゃい

案内してあげてちょうだい」

「はい、奥様」


私がお世話する神崎叶恵お嬢様は

気難しい方だった

奥様から聞いた話によると

昔、交通事故で右手と右足を失ったそうだ

それから、お嬢様は

人と関わるのを嫌うようになったそう

過去にも世話係は雇ったが

その全員がすぐに辞めていったそうで

原因は、お嬢様の性格だと

そう聞いている


でも、私は違う理由があると思っている

お嬢様には、何か望みがあると

私は、思っていた


とにかく、私は

奥様も使用人の方たちも

優しい方ばかりで安心した

これで、全員お嬢様みたいな

性格の人だったら

どうしようかと思ったが

そんなことは無かった

これから、歓迎会を開いてくれる

私は、楽しみだった


歓迎会は、外で開催された

今日は、星がよく見えるからと

奥様が提案してくださった

外に出ると

空には、大量の星が

キラキラと輝いていた

この光景に私はワクワクしていた

もしかしたら、お嬢様と仲良くなれるかも

そんな期待をしていた


「お!今夜の主役が登場だ!」

「まぁ、よく似合っているわね」

「ありがとうございます、奥様」

「今日は、あなたが主役よ

存分に楽しんでちょうだい」

「はい!」

「七海さん」

「あ、はい」

「初めまして、私は弥生(やよい)

と申します」

「初めまして、杉野七海です」

「あなたを、仲間として歓迎します

叶恵お嬢様は、気難しいですが

これから、一緒に頑張りましょう」

「はい!」


弥生さんは、リーダーだと聞いている

この仕事のベテランらしい

優しそうな人で良かった

歓迎会は楽しいけど

やっぱり気になるのは

お嬢様のことだった

出席はしているが

誰とも喋らず

1番端っこのテーブルにひとりで

ジュースを飲んでいた

私は、世話係としても

これから、一緒に過ごす相手としても

仲良くなりたいと思い

食事を持ってお嬢様の元へ行った


「お嬢様、改めて世話係の七海です」

「……」


お嬢様は、相変わず無言のまま

そっぽを向いてジュースを飲んでいる

それでも、私は諦めなかった


「お嬢様、お食事はされましたか?

お料理全部美味しいですよ」

「そりゃそうよ、彩音(あやね)

作ってるもの」

「彩音さんですか」

「えぇ、この家の料理長」


彩音さんという方の手料理

私は、後でどなたなのか聞いて

お礼を伝えようと決めた

それは、置いといて

今は、お嬢様と仲良くならなくちゃね


「お嬢様、星が綺麗ですね」

「そうね」

「私、星空好きなんですよ」

「そうなの」

「はい」


お嬢様から返ってくる返事は

素っ気ない言葉だった

それでも、話してくれるだけで

私は、嬉しかった


「そうだ、お嬢様一緒に……」

「あなたも、みんなと同じなのでしょう」

「え?」

「私を、バカにするのよね」

「いえいえ!バカにするなんて」

「隠さなくていいわよ

慣れっこだから」


そう言うと

お嬢様は、部屋へ戻ってしまった

ふと、周りを見ると

使用人達がヒソヒソと

何かを話していた

そして、空気が重くなるのを感じた

こんな空気になるのは

あの性格だからしょうがない

なんて、思いたくは無い

でも、話してみてわかった

あのままでは

お嬢様は、一生1人のまま

私は、ここで会ったのも

何かの縁と思い

絶対にこの仕事はやめないと誓った


次の日から

私の生活は、お嬢様によって

慌ただしくなった

毎朝、お嬢様の部屋に行くと

車椅子に乗せろと命令してきて

車椅子を押そうとすると

押すなと怒られ

廊下を移動している時に少しでも近づくと

離れろと怒られ

こんな、日々が続いた

そして、お嬢様は私のことを

世話係と呼ぶようになった


それでも、私は気にしなかった

それよりも、お嬢様と仲良くなりたいと思った

そんな私のことを

お嬢様は、気に入らなかったらしい

命令は、日に日にエスカレートし

ついには、限度を超える命令をしてきた


「世話係!」

「はい」

「これを弥生に渡して」

「箱ですか?」

「そうよ、びっくり箱よ」

「……」

「これで、弥生を驚かせて」

「その命令には従えません」

「何よ!世話係のくせに」

「世話係でも、拒否権はあります」

「いいから、渡して!」

「こんなことをしてはいけません」

「……何よ、説教して」

「あ、お嬢様!」


お嬢様は、部屋から出てしまった

私が命令を拒否した時

なんだか、表情が寂しそうだった

あの表情を見た時

心臓が痛くなった

これで、良かったのかと不安な

気持ちと同時に

お嬢様には、何かあるのかと思った

けど、私は、お嬢様のことを何も知らない

なら、もっと知ろうと思い

行動を観察してみることにした

ただ、仲良くなれたら

そう思うだけじゃダメなのかもしれない

それでも、私は諦めたくなかった

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