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わんこにゃんこ大戦記  ―犬派と猫派の最終決戦をキジとハトが実況解説してみた―  作者: ゆかれっと


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【延長戦】

公方「てゆーか、あいちゃんのネイルかわいいね~!それ、どこでやったの?」

相原「そお?じゃあ、今度、行きつけのネイルサロン教えてあげようか?アイアイしかいないけど」


実況:

アイアイ――いや、相原さんの長い爪には、今風の、オシャレなデザインがほどこされています。

ていうか、アイアイ専門のネイルサロンってなんだ……?


公方「あ、そうだ、あたしの頬袋に溜めてたひまわりの種あげるねっ!とっておきなの!」


実況: ハム太郎だ~!とっとこためるよハム太郎だ~!!

解説: 明日は、も~っといい日になるよねっ、ハム太郎♡

実況: へけっ。


相原「あ、それはちょっといらないかな。どっちかっていうと、わたし、ラミっていう木の実のほうが好みなの。歯で表面をかじって、指でかきだして食べるのよ」


解説:

コホン。

ラミは、アイアイの好物とされる、マダガスカル島特有の木の実のことですな。


公方「そっか~…残念。じゃあ、ミルワームは食べれる?」

相原「あら。ミルワームなら大好きよ!」


解説:

ミルワームとは、飼育動物の生餌いきえにするために飼育・増殖されているゴミムシダマシ科の甲虫の幼虫の総称をいいます。

ペットですとか、動物園ですとか、そういった動物たちが、野生の食料の代わりに食べるのがこのミルワームですね。ハムスターもアイアイも食べられます。


公方「このミルワーム、成城石井で買った高級なオーガニック品なんだ~!」

相原「わ。食べよ、食べよ」


実況: うわ。きもちわる。出すな、出すな。

解説: しかも、これ、さっきまで公方さんが頬袋に溜めていたものですよね?

実況: あ~…まだ動いてるよ~。気持ち悪~い。

解説: 幼虫のモゴモゴと動く姿は、なかなかにグロテスクなものがあります。

実況: 掴むな!でもって食べるな!

解説: 成城石井さん、こんな用途で名前出してごめんなさい!!


犬山「相原ぁああああ~~~~~!!!!」


実況:

あ、犬山さん!

アルミシャーレをくわえた犬山選手が、ものすごい形相でこちらに迫ってきています……相原さんの肩をつかみ……ガルルッとうなる……犬の本能そのものですね。


解説: コンプライアンス委員会発動!これはセクハラ案件です!


犬山「なんで戻ってきたかって、それは、私が犬だからだ!!どんなに遠くからでも帰ってくる。犬になりたい。犬がいい。そうだ犬がいい。私は犬になりた~~~い!!!」


実況:

もう、犬ですけどね。

おっと。

猫田さんが目を覚ましたようです。


猫田「公方ぉ~~~~っ!!!」


実況: こちらも、ものすごい形相。修羅場。修羅場ですっ!


相原「キィッ!」

公方「キュッ!」


解説: いまのは、それぞれアイアイとハムスターの鳴き声です。


実況:

犬山選手と猫田選手。

ものすごい形相のおふたりが、助手を睨みつけ、そして、その視線は遥か上空へと移動し……おや……なんだか様子がおかしくありませんか?

羽鳥さん、これって、我々、いますぐ退散したほうがいいのでは……?


猫田「おい!そこの2羽!さっきから実況とか解説とか言ってるけど、こっちは始めっから、全部聞こえてんだよ!猫の聴覚なめんな!!」

犬山「あと、キジやハトのふりしてるけど、君たちはカラスだよね?」


実況: え。えっと……これは……その……。

解説: カァッ。木島さん、もういいです、いますぐ退散しましょう!!バサバサッ。


猫田「あ!待てコラ、逃げんな!」


犬山「ふうん。このヘッドマイクと録音機、それにこのパソコンを使って、ずっと、いままでの我々の戦いぶりも《実況・解説》していたわけか。黙って聞いてりゃあ、好き勝手いいやがって。もう容赦しねえぞ!!」


実況: 犬山さん、聞こえてなかったくせに……。


犬山「うるせえ!犬はな、聴覚は鋭くなくても、嗅覚が鋭いんだよ!この自慢の鼻で、貴様らの悪事など綺麗さっぱり暴いてくれるわ!」


猫田「実際、ワンちゃんは芸ができるほど頭がいいですし、職業犬として、昔から人間の役に立ってきましたからね。素晴らしい生き物だと思います」


犬山「いやいや、それを言ったら、猫ちゃんだって十分にすごい。自ら狭いところに入っても、ちゃんと自分の身体の大きさは理解してるんですってよ。高いところから落ちたって平気な顔してますし。我々犬にはできないことです。うんうん」


実況: そ、それを言ったら、カラスだって学習能力が高くて……。


解説:

そうですよ。現に、動物の頭の良さを測る『脳化指数』というものがあって、それによると、猫は0.12、犬は0.14、カラスは0.16だそうです。

つまり、あなたがた犬や猫より、我々カラスのほうがずっと頭がいい、と……。


犬山・猫田「「うるせえ!!」」


実況:

だって、犬山さん、猫田さん、あなたがたは遠くのものを見ても判別できますか?

カラスの視力は人間の約5倍。

人間は赤・青・緑の三色から構成されていますが、カラスは紫外線を含む4色を認識できますから、一般的な『虹の七色』も14色くらいで認識できているんですよ!


解説:そう!それに、我々は飛べる!犬や猫は飛べないが、我々は飛べるのです!


実況:

さあ!

故郷の山には、かわいい七つの子が待っていますからね。

あのかわいい子たちを待たせてしまう前に、さっさと帰りましょう。カァー!


解説: ええ、ぜひそうしましょう。カァー!


実況・解説: アホー!アホー! バサバサバサ。



猫田「いま、気付いたよ。君がいなくなった日々は、面白いくらいにつまらない。全力で忘れようとするけど、全身で君を求めてるんだ。君がいなくなった日々も、このどうしようもない気だるさも、心と体が喧嘩して、頼りない僕はネコろんで……猫になったんだよなぁ」


犬山「猫田……、君はもう立派な猫だよ……」


猫田「さっきみたいにさ、たとえどんなに遠くへアルミシャーレを飛ばされても、必ず主人のもとへ帰ってくる。フラッと現れて、そして、私の、この心もとりこにしてしまう。君のおかげで、毎日が楽しいんだ」


犬山「君、そんな風に思っていたのか……」


猫田「ああ、君!!怪我してるじゃないか!!可哀想に……誰にやられたんだい?」


犬山「あ、いや、これは、前半戦でおまえが……」


猫田「さあ、手を出して。手当てしてあげよう。安心していい。獣医の君にはかなわないかもしれないが、私だって、保護猫たちのケアで、こういったことには慣れているから」


犬山「猫田……ありがとう……」


猫田「いえいえ。どういたしまして」



 犬派と猫派、いや、それに限らず、時に自分の信念と相容あいいれないこともあるだろう。

 だが、大事なのは『互いの違いを認め、互いの道を歩いていくこと』なのかもしれない。それがわかっていれば、この世界は、いずれ平和が訪れる。


 犬派よ、永遠なれ!

 猫派よ、永遠なれ!

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