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わんこにゃんこ大戦記  ―犬派と猫派の最終決戦をキジとハトが実況解説してみた―  作者: ゆかれっと


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2/6

【前半戦】

実況:

いかに犬が素晴らしいか。

いかに猫がすごいか。

長きに渡って議論され続けてきた究極の2択。今夜、ついに頂点が決まります!

興味のない方々には「わりとどうでもいい」と思わせてしまうような今回の戦い……。

だが、負けられない戦いが、ここにはあるッッ!!!

実況はワタクシ、木島きじま雉之助きじのすけ。解説は羽鳥はとり鳩吉はときちさんでお送りします。

――羽鳥さん、今回はよろしくお願いします。


解説: よろしくお願いします。


実況:

あ。それはそうと、

この戦い、録画予約して見てるかたもいらっしゃいますからね。同時視聴リアタイの方々は、ネタバレ厳禁でお願いしますよ?いまは倍速視聴の時代ですからね、我々の実況も1.5倍速で喋りましょうか?


解説: いや。それだとややこしくなるので、普通に喋りましょう。


実況:

わかりました。

えー、では、早速参りましょう。

犬派の主将を務めるのは、犬山いぬやま戌次郎いぬじろうさん。

職業は犬専門の動物病院の獣医さんだそう。ご自身も5歳の頃より犬を飼っておられて、まさに『犬を愛し、犬を愛した男』を体現された方でもあります。


対する猫派の主将は、猫田ねこた猫三郎ねこさぶろうさんです。

保護猫支援団体をたったひとりで営み、日々、50匹以上の猫ちゃんたちとともに暮らしておられる猫のスペシャリストでございます。


また、実況席での様子は、あちらには見えておりません。実況席ですからね。

羽鳥さん、いかがですか。


解説:

ホウホウ。犬は強風を、猫は大雨を起こすことができるといいますからね。

この戦い、かなり熾烈しれつな争いになることは間違いないでしょう。

また、今回の戦いは、決勝戦ということで、特別に応援を呼ぶことも許可されています。この応援は「励ます」という意味の応援ではなくて「助ける」という意味の応援ですから、誰を呼ぶか、どういったサポートをしてもらうかという意味でも大変重要になってくるわけです。両者がどういった相手を呼んでくるのか、というのも見ものですね。


実況:

続いてやってまいりましたのは、その、犬山選手の応援の方、相原あいはら愛子あいこさんです。相原さんは犬山氏が経営する動物病院で看護師を務められている女性です。目鼻立ちがくっきりとした美人で、大きな耳がまた可愛らしいですね。


解説: 黒髪の美女、というのがまた、たまらないですなぁ。クルックー。


実況:

それは……羽鳥さんの個人的な好み、ということでしょうか?

さて、次に参りましょう。

猫田選手の応援としてやってきたのは、公方くぼう星来せいらさんという若い女性の方です。公方さんは、先述の支援団体でボランティアとして働いていらっしゃいます。笑ったときに前歯が見えるのが可愛らしいですね。


解説:

クルックー。丸顔で、ほっぺたが膨らんで見えるのも、非常にかわいらしい。


実況:

……羽鳥さん、さっきからそればかりですね。

まあいいでしょう。

先手は、犬派主将、犬山戌次郎氏から参ります。



犬山「ついにここまで来たか……だが、これも最後だ。まあ、結果は決まったようなものだが。top dogといえばチャンピオン、勝者のことだ。つまり、我々の『犬派』が頂点に立つということ。top catとは言わないからな」


実況:

なかなかのあおり文句です。しかし、いきなり英語で攻めてきましたか。


解説:

資料によると、犬山選手は語学が堪能らしいですからね。まずは自分の得意分野で、ということでしょう。ちなみに、弱者のことは「underdog」というらしいです。


実況: あ……、そちらも犬なんですね。

解説: そうですね。彼が知っていてあえて触れないのか、それとも知らなかったのかは測りかねますが。


犬山「貴様は所詮しょせん、負け……負け……犬……いや、違う……underdog……いや、これも違うな……copycat(まねっこ)じゃないし……fa……fat cat?」


実況: ケーン!いや、それ、絶対違うでしょう!!!

解説:

fat catとは有力者。平たく言えば、お金持ちのことです。犬山選手、動揺のあまり猫田選手を『リッチな有力者』と褒め称えてしまいましたね。これでは敵に塩を送るどころか、敵に高級キャットフードを送っているようなものです。


実況: おや。犬山選手、早くもネタ切れでしょうか?


猫田「過ちて改めざる、これを過ちという」

犬山「は?」

猫田「自ら過ちを犯しておいて認めないとは。これを、本当の過ちというのだ」

犬山「な、なに言って……」

猫田「巧言令色こうげんれいしょくすくなじん、だな。貴様のような口先だけの人間は、人を思いやる心がないということだ」

犬山「なに言ってるのか、さっぱりわからん」

猫田「分かれよ!!」


解説:

『過ぎて改めざる』および『巧言令色』は、古代中国より、孔子先生のありがたいお言葉をまとめた『論語』の一節ですね。まさしく『犬に論語』ということでしょうか。


実況:

なるほど。確かに、それなら犬山選手が理解できないのも頷けますね。


相原「犬山先生~っ!例のもの、持ってきました~!」

犬山「ああ……戻ってきたか。ふむ。じゃあ、早速、作戦通り頼むよ」

相原「わかりました~!」


実況:

おや?助手の相原さんが持ってきたものは、肩に担げるくらいの大きな袋ですね。いったい、何が入っているのでしょうか。


相原「そ~れっ。枯れ木に花を、咲かせましょう~!」


解説:

日本昔話『花咲かじいさん』の決まり文句ですね。犬が登場する昔話としてもおなじみです。


実況:

相原さんがバラまいているのは、灰……ではなく、これは、札束ですか!?いや、札束ですよ!万札、ドル札、世界各地のお札がバラまかれています!よく見れば、札束の中には電子決済のQRコードらしきものも見えます……えっと、なになに……『いまなら、電子決済割引で初診料が10%オフ』……?うわ!セコい!この期に及んで宣伝ですか!?まさか、これが犬山選手の作戦……?


相原「枯れ木に花を、咲かせましょう~!」


実況:

猫田選手の様子はというと……おおっと、これはまた、まったく動じていません!札束を前にして動じない生き物が存在するんですね!?


解説:

ホッホー、それはきっと、猫田選手が『猫』だからでしょう。ほら、よく言いますでしょう。『猫に小判』と。猫田氏にはお札の価値なんて理解できないでしょうからね。


犬山「なぜだ……なぜ動じない……!」

猫田「ふんっ。それしきのことで動じると思うなよ」


実況: 猫田選手、余裕の表情ですね。

解説: たぶん価値がわからないだけだと思いますけどね。


公方「猫田さん、例のアレ、セットしてきました!」

猫田「うん。ありがとう」


実況:

例のアレ、とは……?

おおっと。あれは!棒です!3メートルは優にあろうかという長い棒が、いま、まさに、犬山選手の進行方向をふさぐかのごとく突き立てられています!犬山選手、そのまま進むと当たっちゃいますよ!?ああっ、当たったー!正面からぶち当たったぁああ!!!

解説: 『犬も歩けば棒に当たる』ですな。


犬山「いったぁあああ……貴様ら、よくもやってくれたなぁ!?あぁん?」

猫田「ふんっ。油断しているほうが悪いのだ」


実況: あっ、『猫に鰹節』だ。

解説: 猫は鰹節が大好きですから、そんな猫の前に鰹節を置くなんて、油断も隙もあったもんじゃないという意味ですね。

実況: この場合、猫の前に置かれていた鰹節ではなくて、犬の前に置かれていた棒ですけど。


犬山「うっ……こんなところで……しかも、こんな奴にやられて死ぬなんて……それこそ犬死いぬじにじゃないか」


実況: 犬山選手、まさか、さっきの一撃で致命傷を!?

解説:

犬死とは無駄死のことです。「9つの命を持つ」と言われる猫でしたら、多少の傷なら平気でしょうけれど、犬山選手は犬ですからね。命だって1つしかありません。


実況:

それはそうと、もう、2時間経ちましたか。早いですね。

腹が減っては戦はできぬ。

そろそろ食事休憩といたしましょう。

犬山選手、猫田選手、それぞれの昼食はなんでしょうか?


解説: 我々もお腹が空いてきましたね。

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