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8.孤児院

そうして馬車を乗り継いで乗り継いで俺は全く知らない土地に来ていた。

まだ5歳の男の子が一人でいるのは目立ってしまうので人がいる場所では常にスキルは使用していた。

そのお陰か、最初の頃はスキルを使うたびに疲れていたが今ではもう自然に使えている。

やっぱレベルとかあるのかな?俺には見えないけど…


道中では色々な街を見てきた。

お金もそんなにないので食べ物は廃棄される残飯を漁ってしのいだ。

あと噴水とかがあればそこで身体を洗い流したり、匂いには気をつけるようにしている。

姿が見えなくても匂いはするだろうし。

今が真冬でなくて良かったな。


小さくて少し寂れている町や、大きいけれど貧富格差の差が大きい街…

商人の馬車に乗らせてもらう事が多かったから街の情報は割と手に入りやすかったのは良かった。

その中でも今いる場所は割と商人からの評判も良く綺麗で広い街だ。

馬車から降りてからは気配を消しつつ街の探索をしてみる。

理想は大きめの孤児院か教会があることなんだけどなー…と街を回る。


少し歩くと賑わっている大通りの少しはずれにお目当ての孤児院を見つけた。

そっと中の様子を伺ってみるとたくさんの子供がいた。

数日の間、気配を消しつつ監視しているとここでは定期的に孤児の受け入りをしているようだった。

環境も良さそうだしなにより子供たちの表情が良い

よし、ここにしよう!

俺は気配を薄くしつつ、次の孤児受け入りの際に潜り込んでこの孤児院のお世話になる事を決めたのだった。


そうして何事もなくシレっと孤児院の一員となった。

この孤児院は割と評判が良かったので、養子として迎えたい里親との顔合わせ的なものが定期的にあった。

子供たちに変な期待をさせないように内緒で行われてはいたが、まぁ気が付いている子は多かったと思う。

みんな可愛くソワソワしてたし。

そんな顔合わせの際も俺は気配を消して誰にも見つからないようにしていた。

ゲームのキャラな事もあり、多分ヴェルは見目が良い。

白い髪、白い肌な事もあり人の目を惹くのだ。

毎回誰にも貰われていく事のない俺に孤児院の大人も不思議がってはいた。

でも誰かと家族になるつもりはなかった。

カインにとって唯一生き残ったはずの弟も殺してしまった俺は家族をもってはいけないと思う。

何よりカイン以外を家族にしたくはなかった我儘もあった。

ありがたいことに一緒に育った孤児院の子の中には、自分が貰われていく家族に掛け合うから一緒に行こう、などと声をかけてくれる子もいた。

その際は俺の方が年上だからお兄ちゃんな!なんて明るく言っていたけれど

俺が兄様として慕いたいのはたった一人だけなんだと思い知らされる。

離れて生きても、想っているのはずっとカインの事しかなかった。

結局その子は、周りからは振られたなと慰められながら暖かそうな家族に貰われていった。


しかしそろそろ俺も将来を見据えなければならない。

孤児院を出た後にどうするか。

家族を持つ気はないが生きていく為には手に職をつけねば。

文字も覚えたし、計算も得意な方だったので真っ当な仕事も探せばきっとあるだろう。

一人で生きていく為に早く大人になりたかった。

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