15.最強
なぜこんなにカインは強いのか。
ゲームでのカインは弱体化してから魔王に乗っ取られる。
身体も精神もボロボロだったから奪われてしまったのだ。
でもだからこそ勇者が倒せるのではないだろうか。
つまり今、万全のカインが魔王の力を取り込んだことによってさらに最強の存在となったのか…?
いやただの憶測でしかないけれど…
カインはため息と共にもう話す事はないとばかりに勇者達に向かって転移魔術を繰り出した。
瞬く間に勇者一行は姿を消していた。
「もう少し交渉の余地はあるのかと思っていたが無駄だったな。煩わしいので大陸外に出して置いた。これを機に他の人間も出しておくか…」
目の前に丸い地球儀のようなものが出てきた。
これはきっとこの世界の全てだ。
その中にあるこの国の上には無数の光があった。
カインはそれを全て集めてつまんで橋の向こうの国へポイっと出した。
先ほどの言葉から察するに、これはもしかして人間なのだろうか。
そしてまた手をかざすと国境の橋近くに大きい山というか絶壁の…崖?のようなものが出来ていた。
そうしてこの国には他者は容易には入ってこれなくなっていた。
「この国を魔の者の国とする。元居た人間やら生物は殺していないから安心しなさい。」
こんな一瞬で人の移動だけでなく地形まで変えてしまうだなんて…
恐ろしいほどの力を持っている。
冗談ではなく世界征服など簡単に出来るだろう。
今も膝の上に乗る俺を可愛がりながら片手間で国を変えてしまったのだから。
「さてこれでもう邪魔するものはいない」
誰もいなくなって正式に俺だけと向き合うカイン
急に心臓がドッとなる…
先ほどまでは生きるか死ぬか緊張の中にいたのに
今では生で動くカインが目の前に…
安心してしまったら気を張っていた反動が一気に来たようで一気にこみ上げてくるものがあった。
いや感動とかではなく物理的に
「…ぅぷっ」
俺は我慢できずに吐血していた。
あぁそうだここ瘴気強いんだった。
俺の身体はまだ完全に適応していないのだ。
汚してしまうから離れたかったがカインは許してくれなかった。
だんだん意識もぼんやりしてくる。
いっぱい聞きたい事あったのに…
いっぱい話したい事あったのに…
いきなり血を吐いた俺にカインは驚くかと思いきや、こうなる事を見越していたようだった。
口回りの血を舐めとりながらやさしい声でずっと焦らなくて大丈夫だとささやいてくれていた。
舐めた勢いでちゅっちゅっと顔面にキスもされていた。
あれ?これファーストキス?なんて思う間もなく俺の意識は落ちて行った。




